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座敷童子
23話:あさこちゃん その1
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ほんと驚いたわよ、と栄子は笑う。
「だって3人で出かけたのに、帰って来た時には1人入れ替わってたんですもの」
家を出かけた時は男の子1人、女の子2人だったはず、けれど帰って来た時は、女の子3人になっていたのだ。
美園と夏美が神社の奥で出会ったのは、ドロドロの服を着た女の子。美園が落としたカステラを鷲掴みで奪い取り、むしゃむしゃと口に運びだした。
その様子から、ずいぶんお腹を空かしていたことが伺える。何日もお風呂に入っていないのか、体も随分汚れており、匂いもきつかった。
美園と夏美は神社で出会った女の子を「可哀そう」という理由で家まで連れて帰ってきてしまったのだ。
「驚いたわよ。見た感じこの辺の子じゃないし。時間も夜の7時近くなってたから、この子の親は今頃神社で探し回ってるんじゃないかって」
「わしが見に行ったんじゃ」
祖父のケンジが答える。
「そうそう、とりあえずおじいちゃんに神社に様子を見に行ってもらって、あたしたたちはその子の名前とかを聞こうとしたんだけど」
『あなたのお名前は?』
『…………』
『この辺の子?』
『…………』
『見たところ美園より少し下くらいかしら。6歳くらい?』
『…………』
『今日は誰と遊びに来たの? お母さん? お父さん? おじいちゃんかな?』
『…………』
『電車で来たの? 車に乗った?』
『…………』
「本当に困っちゃったわよ。黙ってて何にも答えないの」
女の子の体は泥だらけで、肩まで伸ばした髪もボサボサだった。
来ていたジャンパスカートも色褪せており、ずいぶん着古した印象だった。
「しばらくしておじいちゃんが帰って来たんだけど、受付にもその子らしい迷子の届け出がないって」
「うむ。いちおうその子の特徴を伝えて、親が探しにきたら連絡してほしいと伝えたんじゃがのぉ」
「このままだとあたしたちが人さらいみたいになっちゃうから、とりあえず警察に来てもらったの」
通報から10分後、男女2人組の警察官が世良田家を訪れ、女の子への聞き取りが始まった。
「警察の方たちも女の子の様子を見て、何か事件に巻き込まれたんじゃないかっていろいろ聞き出そうとしたんだけど何も答えなくって。そうこうしてたら元樹さんが血相変えて帰ってきたの」
「びっくりしたからだよ。家の前にパトカーが停まってるから、子供たちに何かあったんじゃないかと思って」
元樹もその時の様子を思い出し、会話に交じる。
「で、聞いてみたら美園が迷子の子を連れて帰って来たって話で。あの時は肝が冷えたよ」
「そうそう、玄関開けるなり、子供たちは無事か~!って」
栄子は口元隠すように上品に笑う。
「当たり前だ。だいたい子供だけでお祭りに行かせるなんてどういうつもりなんだ」
「なによ、本当はあなたが帰ってきて一緒に行ってあげる約束だったでしょ」
「仕方ないだろ、俺は仕事で忙しかったんだ」
「そうよね、あの頃あなたクラブのママさんとねんごろになってたんだものね」
「バカ、それはもっと後だよ」
「あ、認めたわね。恥ずかしげもなく」
唐突に話が脱線し始めたため、美園が慌てて物語の舵を引き継ぐ。
「で、結局その子は1カ月半ほどうちで一緒に暮らしてたの」
「1か月半も?」
つかさが怪訝そうに眉を顰める。
「だって3人で出かけたのに、帰って来た時には1人入れ替わってたんですもの」
家を出かけた時は男の子1人、女の子2人だったはず、けれど帰って来た時は、女の子3人になっていたのだ。
美園と夏美が神社の奥で出会ったのは、ドロドロの服を着た女の子。美園が落としたカステラを鷲掴みで奪い取り、むしゃむしゃと口に運びだした。
その様子から、ずいぶんお腹を空かしていたことが伺える。何日もお風呂に入っていないのか、体も随分汚れており、匂いもきつかった。
美園と夏美は神社で出会った女の子を「可哀そう」という理由で家まで連れて帰ってきてしまったのだ。
「驚いたわよ。見た感じこの辺の子じゃないし。時間も夜の7時近くなってたから、この子の親は今頃神社で探し回ってるんじゃないかって」
「わしが見に行ったんじゃ」
祖父のケンジが答える。
「そうそう、とりあえずおじいちゃんに神社に様子を見に行ってもらって、あたしたたちはその子の名前とかを聞こうとしたんだけど」
『あなたのお名前は?』
『…………』
『この辺の子?』
『…………』
『見たところ美園より少し下くらいかしら。6歳くらい?』
『…………』
『今日は誰と遊びに来たの? お母さん? お父さん? おじいちゃんかな?』
『…………』
『電車で来たの? 車に乗った?』
『…………』
「本当に困っちゃったわよ。黙ってて何にも答えないの」
女の子の体は泥だらけで、肩まで伸ばした髪もボサボサだった。
来ていたジャンパスカートも色褪せており、ずいぶん着古した印象だった。
「しばらくしておじいちゃんが帰って来たんだけど、受付にもその子らしい迷子の届け出がないって」
「うむ。いちおうその子の特徴を伝えて、親が探しにきたら連絡してほしいと伝えたんじゃがのぉ」
「このままだとあたしたちが人さらいみたいになっちゃうから、とりあえず警察に来てもらったの」
通報から10分後、男女2人組の警察官が世良田家を訪れ、女の子への聞き取りが始まった。
「警察の方たちも女の子の様子を見て、何か事件に巻き込まれたんじゃないかっていろいろ聞き出そうとしたんだけど何も答えなくって。そうこうしてたら元樹さんが血相変えて帰ってきたの」
「びっくりしたからだよ。家の前にパトカーが停まってるから、子供たちに何かあったんじゃないかと思って」
元樹もその時の様子を思い出し、会話に交じる。
「で、聞いてみたら美園が迷子の子を連れて帰って来たって話で。あの時は肝が冷えたよ」
「そうそう、玄関開けるなり、子供たちは無事か~!って」
栄子は口元隠すように上品に笑う。
「当たり前だ。だいたい子供だけでお祭りに行かせるなんてどういうつもりなんだ」
「なによ、本当はあなたが帰ってきて一緒に行ってあげる約束だったでしょ」
「仕方ないだろ、俺は仕事で忙しかったんだ」
「そうよね、あの頃あなたクラブのママさんとねんごろになってたんだものね」
「バカ、それはもっと後だよ」
「あ、認めたわね。恥ずかしげもなく」
唐突に話が脱線し始めたため、美園が慌てて物語の舵を引き継ぐ。
「で、結局その子は1カ月半ほどうちで一緒に暮らしてたの」
「1か月半も?」
つかさが怪訝そうに眉を顰める。
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