モデルファミリー <完結済み>

MARU助

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いざ、ユグドリアへ

83話:空港にて

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 ここは都内の飛行場。
 沈痛な表情をした世良田一家は、政府が用意した小型飛行機の到着を待っていた。

 事態の深刻さを受け、家でのんびり時代劇鑑賞をしていたケンジとタキ、一匹で留守番は嫌だとゴネた犬のあんこが、見送りに駆けつけてきていた。
 一家はこれからユグドリアに向かうことになっている。

「おい、気にくわねぇな。犬まで滑走路に通していいのか? 麻薬探知犬じゃあるまいし」

 呆れたように勇治が言うと、

「あんこは特別待遇よ。なんてったってモデルファミリー代表なんだから」

 美園がにべもなく言う。
 なるほどそんなもんかと納得しかけた勇治だが、ざまぁみろ、という顔をしてあんこがこっちを見上げたような気がして、やっぱり気に食わない。

 白くてふわふわの尻尾がむやみやたらにふりふり動き、周りに愛嬌を振りまいている。
 勇治があんこに無理やりお座りをさせようとして噛みつかれている姿を横目に見ながら、美園はつかさに視線を移す。

 ケンジと囲碁仲間になったお陰で、すっかりタキにも気に入られた様子で、何やら握手をして激励を受けている様子。
 美園に言わせれば、当たり前の顔して一家に溶け込んでいる進藤つかさの方が気に食わない。

 どうやら、ユグドリアにまで同行するようで、それに対し、一家から異論は出なかった。
 むしろ、一人でも味方がいた方が心強いと感じてしまった自分が腹立たしい。

 ちょうどそこへ、何やら騒がしい一団が近寄ってくる。
 大型のテレビカメラや機材を抱えた男たち数名。どうやらマスコミの連中らしい。
 
 その最後尾から片手にマイクを持ったアロハシャツ姿のガラの悪いレポーターが登場。
 遠目からでも分かる、無精ひげにパンダ並みの鋭い瞳。一度握ったネタは相手が血便を出すまで調べつくすと怖れられているヤクザ……もといゴシップ記者。

「親父」

 つかさが一歩前に出る。
 息子の姿を見つけた進藤仁は、軽く手を挙げて挨拶すると、世良田一家の前にやってきた。

「いやいや、みなさんお揃いで。この度は大変な目に遭われてますなぁ。心中お察しします」

 思ったよりも低姿勢で言葉をかけてきた。

 元樹は家長の役目だと、腰がひけている他の家族に代わって、仁の相手をすることにした。
 仁の姿はテレビでよく目にするが、こうやって面と向かって会うのは3年前のあの記者会見以来だった。
 世良田一家にとっては死ぬほど嫌いな相手だが、元樹はついつい感慨深くなり「お久しぶりです、進藤さん」と言葉を返す。

 仁は一瞬虚を突かれたように目を見開くが、

「あ、これはこれは、ずいぶんご無沙汰をしております、世良田さん。今、息子がお世話になってるみたいで」

 そう言ってつかさに目を向ける。
 つかさは黙って父親を見ていた。
 テレビカメラが周りを取り囲み、女性レポーターたちが栄子や美園にインタビューを始めたようだ。
 その様子を横目にして、元樹は「ちょっとこっちに」と仁をカメラに映らない場所へ誘い込んだ。
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