113 / 147
連載
238.
しおりを挟む「それでどのようなことを依頼しようとしたんですか?」
主役は私たち冒険者見習いから移り変わってソフィアちゃん。
ソフィアちゃんは村長さんに、今回の依頼の内容をあらためて確認する。私たちに渡された依頼書では、コンゴミール村に来て欲しいことしか伝わってない。
彼らが何に悩んで、こんな依頼を出そうとしたのかはわかってなかった。
私もソフィアちゃんの後ろで、彼らの話を一応聞いておく。
「私たちの村は三週間ほど前から巨大な魔物に狙われているのです」
「巨大な魔物ですか?」
巨大な魔物……。
巨大な魔物と聞いて、一番に思いつくのはオーガだ。体長5メートルほどの人型の魔物で、知能は低く、とてつもない怪力を誇る。おおむねゲームに出てくる通りのステータスの魔物だ。
ただ今回は聞いた話だけでも違うかなって思った。
オーガは攻撃性が高く現れたなら、すぐに被害報告がでて討伐依頼がだされる危険な魔物だ。きっと三週間前から狙われてるなんて悠長な話はできないだろう。
強さはそこまででもなく、中級の冒険者グループなら倒せちゃう程度らしいけどね。
狙っているという行動から考えられるのは、知性のある魔獣や、特定のパターンの行動をとることがあるゴーレムみたいな魔物かなと思う。
「巨大な魔物というと人型ですか? それとも獣のような姿でしたか?」
ソフィアちゃんも同じ考え方なのか、さらに魔物の特徴をたずねはじめた。
そして今回はたぶん獣型の可能性が高いと思う。
そう考えた理由は村の周辺に広がる森の木々の低さにある。
この村周辺の木の高さは、魔獣ならぎりぎり隠れられる高さだけど、人型のモンスターだと体がはみ出てしまう高さだからだ。
実はその地域の木の高さと、遭遇するモンスターの大きさは、相関性があることが報告されてる。簡単に要約すると、高い木のあるところほど、大型のモンスターの生息域になりやすい。
その理由として考えられてるのが、モンスターの発生と伝播のメカニズムだ。
定期的に冒険者や騎士、貴族なんかに討伐されるモンスターが、なぜ時間がたつとまた現れるのか。それは特定の場所で発生して、そこから伝わってくるからだと考えられている。
その発生箇所とされてるのが、国内の八つほどの危険地帯と、一番の原因とされている魔族たちの領域、北の大地だった。
ちなみに私がSランク冒険者の人たちと冒険した迷いの森も、その危険地帯のひとつだ。
そしてその場所から魔物が伝わってくるのは、基本的に森を介してだと言われている。
魔物が森以外を通らないわけではない。でも、森以外を通った魔物は、早期に発見されて討伐されると考えられてるのだ。
特にこの国は魔物を倒せる人間が多く、その傾向は強い。
うまく森に隠れて移動できた魔物が、その地域に定着して、討伐されるまでの間また繁栄することになる。
そんなこの国の魔物事情なので、基本的に木から顔がでる魔物は、危険地帯以外では目撃されないと考えていい。ルヴェンド周辺で見つかる魔物も、小型なものばかりだ。
それでも大型の魔物だというのなら、今回はどちらかというと二足歩行より、四足歩行の相手なんだと思う。
「け、獣のような魔物ですじゃ。茶色い長い毛に覆われて、とても大きな体をしているんです」
案の定なようだった。
村長にはその大きさがよっぽど衝撃だったようで何度も体が大きいことを強調した。その分、あんまりその獣の特徴が伝わってこない。
基本的に四足となると魔獣だろうか。知性があって、ある程度の意思疎通が取れる分、敵対すると厄介な相手でもある。
「話を聞くかぎりでは魔獣なのでしょうか……。魔獣といっても種類が多いので、実際見て確かめるしかないですね。その魔物はいつごろ現れるんですか?」
「夜に……この村をうかがうように現れるのです。森の中から、わしらを獲物を狙うようにじっと見つめるんです。村の者たちはいつ誰が喰われるかと、恐ろしくて恐ろしくて、見張りの者も最近は立つのを嫌がって……なんとか村の人間を守るためと説得して……」
「わかりました。私が確認もかねて、今日の見張りを引き受けます」
「私も付き合うよ~」
とりあえず、村の人に聞いても苦労話以外は聞けそうにないので、実際に見て見ることにした。夜更かしすることになりそうなので、私も一緒に付き合うことにする。
181
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。