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238.
「それでどのようなことを依頼しようとしたんですか?」
主役は私たち冒険者見習いから移り変わってソフィアちゃん。
ソフィアちゃんは村長さんに、今回の依頼の内容をあらためて確認する。私たちに渡された依頼書では、コンゴミール村に来て欲しいことしか伝わってない。
彼らが何に悩んで、こんな依頼を出そうとしたのかはわかってなかった。
私もソフィアちゃんの後ろで、彼らの話を一応聞いておく。
「私たちの村は三週間ほど前から巨大な魔物に狙われているのです」
「巨大な魔物ですか?」
巨大な魔物……。
巨大な魔物と聞いて、一番に思いつくのはオーガだ。体長5メートルほどの人型の魔物で、知能は低く、とてつもない怪力を誇る。おおむねゲームに出てくる通りのステータスの魔物だ。
ただ今回は聞いた話だけでも違うかなって思った。
オーガは攻撃性が高く現れたなら、すぐに被害報告がでて討伐依頼がだされる危険な魔物だ。きっと三週間前から狙われてるなんて悠長な話はできないだろう。
強さはそこまででもなく、中級の冒険者グループなら倒せちゃう程度らしいけどね。
狙っているという行動から考えられるのは、知性のある魔獣や、特定のパターンの行動をとることがあるゴーレムみたいな魔物かなと思う。
「巨大な魔物というと人型ですか? それとも獣のような姿でしたか?」
ソフィアちゃんも同じ考え方なのか、さらに魔物の特徴をたずねはじめた。
そして今回はたぶん獣型の可能性が高いと思う。
そう考えた理由は村の周辺に広がる森の木々の低さにある。
この村周辺の木の高さは、魔獣ならぎりぎり隠れられる高さだけど、人型のモンスターだと体がはみ出てしまう高さだからだ。
実はその地域の木の高さと、遭遇するモンスターの大きさは、相関性があることが報告されてる。簡単に要約すると、高い木のあるところほど、大型のモンスターの生息域になりやすい。
その理由として考えられてるのが、モンスターの発生と伝播のメカニズムだ。
定期的に冒険者や騎士、貴族なんかに討伐されるモンスターが、なぜ時間がたつとまた現れるのか。それは特定の場所で発生して、そこから伝わってくるからだと考えられている。
その発生箇所とされてるのが、国内の八つほどの危険地帯と、一番の原因とされている魔族たちの領域、北の大地だった。
ちなみに私がSランク冒険者の人たちと冒険した迷いの森も、その危険地帯のひとつだ。
そしてその場所から魔物が伝わってくるのは、基本的に森を介してだと言われている。
魔物が森以外を通らないわけではない。でも、森以外を通った魔物は、早期に発見されて討伐されると考えられてるのだ。
特にこの国は魔物を倒せる人間が多く、その傾向は強い。
うまく森に隠れて移動できた魔物が、その地域に定着して、討伐されるまでの間また繁栄することになる。
そんなこの国の魔物事情なので、基本的に木から顔がでる魔物は、危険地帯以外では目撃されないと考えていい。ルヴェンド周辺で見つかる魔物も、小型なものばかりだ。
それでも大型の魔物だというのなら、今回はどちらかというと二足歩行より、四足歩行の相手なんだと思う。
「け、獣のような魔物ですじゃ。茶色い長い毛に覆われて、とても大きな体をしているんです」
案の定なようだった。
村長にはその大きさがよっぽど衝撃だったようで何度も体が大きいことを強調した。その分、あんまりその獣の特徴が伝わってこない。
基本的に四足となると魔獣だろうか。知性があって、ある程度の意思疎通が取れる分、敵対すると厄介な相手でもある。
「話を聞くかぎりでは魔獣なのでしょうか……。魔獣といっても種類が多いので、実際見て確かめるしかないですね。その魔物はいつごろ現れるんですか?」
「夜に……この村をうかがうように現れるのです。森の中から、わしらを獲物を狙うようにじっと見つめるんです。村の者たちはいつ誰が喰われるかと、恐ろしくて恐ろしくて、見張りの者も最近は立つのを嫌がって……なんとか村の人間を守るためと説得して……」
「わかりました。私が確認もかねて、今日の見張りを引き受けます」
「私も付き合うよ~」
とりあえず、村の人に聞いても苦労話以外は聞けそうにないので、実際に見て見ることにした。夜更かしすることになりそうなので、私も一緒に付き合うことにする。
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