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連載
237.
ソフィアちゃんと私だけで歩いて歩いて半日ぐらい。
もちろん間にはちゃんと休憩を挟んでおります。
私たちはようやくコンゴミール村にたどり着いた。
ソフィアちゃんの魔法を使えばひとっ飛びなんだけど、あくまで冒険者学科の実習なわけだしそれはやめておいた。
たどり着いたコンゴミール村は、なんというか、一言で表現すると寂れた場所だった。
村の建物は古びていて、木の色褪せ具合が、なんとも陰気な空気を漂わせている。さらにここに来るまでの道も草に侵食されて、ところどころ消えかけてるくらいの有様だった。
「ルヴェンド付近にもこういう村があったんだねぇ」
「はい、周辺の村や町も発展しているイメージがあったので、私も驚きました」
私たちは驚きながらも村に入っていく。
すると村の中央に人が集まって何やら揉めていた。
「くっ、冒険者はまだ来ないのか!」
「どうなっておるのじゃ、エリックよ」
「ま、間違いなく依頼書を紛れ込ませましたから必ず来るはずです……」
なーんか、とってもきな臭い会話をしている気がする……。
よく見ると、エリックと呼ばれた青年は見覚えがあった。あの冒険者ギルドにて、カウンターからこそこそでてきて、すぐに店を出て行った人だ。
「こんばんは~!」
こそこそしてても仕方ないので、私は挨拶しながら彼らに近づいていった。
「な、なんだ!?」
「落ち着きなさいよ、あんた子供じゃないかい。でも、なんでこの村に子供が。誰かの親戚かい?」
「旅行客かの……」
「まさか、この村に旅行客なんて……。一名、来てますけど……」
そんな彼らに近づいて、私は依頼書を差し出し、挨拶する。
「コンゴミール村の依頼を受けてきました、冒険者のエトワです」
「そのお付きのソフィアです!」
私たちの挨拶に、村人さんたちは驚いた顔をしたあと、エリックという青年に噛み付いた。
「ちょっと、どうなってるんだい! エリック!」
「な、なんでこんな子供がやってきたのじゃ……! これでは村が……!」
「そんな、だってそこに入れておけば将来有望な冒険者が依頼を受けてくれるって封筒に確かに僕は——」
それを聞いて、私は手を挙げて言った。
「どうも~、冒険者科のある小学校に通って現在勉強中の将来有望の冒険者のエトワです~」
「そのお付きです!」
自己紹介する度にソフィアちゃんがいちいち後ろでぐっとアピールしてくれる。
それはとてもかわいい。
それを聞いて何か察したのか、村の人たちは頭を抱え出した。
「ああああ、なんてことだ。頼りにしてた冒険者が! こんな、こんな小学生だなんて……」
「こ、この村はおしまいじゃ……」
「エリック、なんてことをしてくれたんだい!」
そして私の方も事情をだいたい察知できてしまった。
だっていろいろダダ漏れなんだもの。私はどおどおとエリックさんを責めようとする村人を諌める。
「まあまあ、エリックさんだけが悪いわけではないと思いますよ。そもそもお話をお聞きするに、間違っていたら失礼ですが、依頼料を誤魔化されようとしたようですね?」
「うっ……」
子供だからと油断してたのか、私たちの前で事情そのものをベラベラ話してた村の人たちは、あらためて私からその指摘を受けて青い顔になる。
「それで私たち小学生が受けさせてもらえるはずだった依頼書の中に、勝手にあなたたちの依頼を混ぜて解決してもらおうとしたと、そいうことで間違いありませんよね」
「…………」
沈黙しか返って来ないのが答えだった。
私は指を立てて、少し厳しい声で彼らに告げる。
「依頼をするのなら、冒険者ギルドにちゃんとお金を払ってください。そうしなきゃ問題を解決できるしっかりした冒険者なんて来るはずがありません。今回もどういった困りごとかは知りませんが、きちんと依頼しなおしてください」
「し、しかし、我々の村は見ての通り貧乏な村でして……。しかも昨年の不作で借金までありまして、冒険者ギルドにだすお金が……」
「それならちゃんと冒険者ギルドの大人に相談すべきだったと思います。見ての通り、私たちは小学生なので力になれません。それでは」
本当はソフィアちゃんがいれば、ほとんどの問題は解決できるだろうけど、冷たいようだけど、今回は厳しく当たるのが正解じゃないかと思えた。そもそも、私たちの封筒に当たらなかったら、他の子たちが巻き込まれてたのだ。
どういう依頼なのかまだ聞いてないけど、大人の冒険者が必要な事案なら、危険な目にあってたかもしれない。
私たちのパーティーだってリリーシィちゃんがエルフィスちゃんが病気しなければ、二人が危険なことに巻き込まれてたかもしれない。さすがにいいですよ、気にしないでください、と助ける気にはなれなかった。
私が頭をぺこりと下げて、コンゴミール村を立ち去ろうとする。
すると——
「はっはっはっは、その嬢ちゃんの言う通りだ!」
急に大きな笑い声があたりに響いた。
声のした方を向くと、そこに立ってたのはおじいさん。もう七十歳ぐらいの年頃に見えるけど、恰幅がよく、健康に見える。着ている服も、センスはともかく、仕立ての良さが村の人たちとは違っていた。そして週刊誌の裏の広告にいる人がつけてそうな金色の指輪をつけている。
一言でまとめると、成金ファッションのおじいさんだった。
村の人たちがその姿を見て叫ぶ。
「ぜ、ゼイラードさん!」
「そう、俺は人呼んで小金持ちのゼイラード! 若い頃、仕事で貯めた金で悠々自適に暮らす、ちょっとお金を持ってるお爺さんよ!」
ゼイラードさんはポーズを決め、金の指輪を光らせながら自己紹介する。
「なんなんですか……あの人……」
「一週間前から村にやってきた客人じゃ……。村唯一の酒場でたくさん注文してくれるので助かってはおるのじゃが……ちょっと怪しい人物での……」
思わず私が呟いた疑問に、村長さんと思わしきおじいさんが答えてくれた。
ゼイラードさんは村人たちに高笑いしながら言う。
「だから言っただろう。ただで依頼を受けてもらうなんて考えるなって。冒険者だって商売なんだよ。困ってるなら、小金持ちな俺が金を貸してやるよ」
「いや……さすがにそれは……申し訳ないというか……」
金を貸すと言ってるゼイラードさんへの村の反応は、遠慮していると言うより、完全に警戒している風だった。まあ、実際、ゼイラードさんの風体はとても怪しい。
信用してない相手からの借金は怖いものだ。何を要求されるかわからない。土地か、財産か、それとも別の何かか……。悪い想像が膨らんでしまう。
ただじゃあ、自分たちの困りごとに、小学生を巻き込みかけた村の人たちに同情する気になるかというと……まあ……もう少しはしちゃってるんだけどね……。
「すみません、私たちは帰りますね」
仕方ないから、一旦、帰ったふりをして、外から様子を見て、本気で困ってるなら陰から助けてあげるべきかなって思った。
しかし、そんな私をソフィアちゃんが止めた。
「お待ちください、エトワさま!」
「どしたの、ソフィアちゃん」
そう言いながらも、私はなんとなくこういったパターンも想定していた。ソフィアちゃんを連れている時点でなんとなくね……。
「確かにエトワさまのお怒りもわかります。この村の人たちがやったことは褒められたものではありません。ですが、住んでる街の近辺の村がこんな窮状にあったことを知らなかったのはフィン侯爵家に属するものとして責任を感じます。私にこの村を助けさせていただけませんか」
「お、おお……それは助かりますが……」
村人たちはソフィアちゃんが自然と放つ高貴なオーラに圧倒されながらも、その幼さに問題解決能力があるのか懐疑的な表情だった。
しかし、ゼイラードさんの方はソフィアちゃんを興味深そうに見つめ。
「はは、なるほど、フィン侯爵家か。それは面白れえ。嬢ちゃんたちがこの村の困りごとを解決できるか見させてもらうぜ……」
そう言って、酒場らしき扉の方に引っ込んでいった。
私はというと、ソフィアちゃんがそう言いだしたら、頷こうかなとは決めていた。
「まあ、仕方ないね……」
ため息をついて了承する私に、ソフィアちゃんが笑顔になって言った。
「ありがとうございます! エトワさま!」
※これが課題だったら冒険者学校へ批判が来るかなと思って
こういう展開にしてしまったのですが、あんまり書いてみてよくないですねぇ……。
ちょっと書き直すかもしれません。キャラへのヘイトを恐れすぎてるんでしょうね。
もちろん間にはちゃんと休憩を挟んでおります。
私たちはようやくコンゴミール村にたどり着いた。
ソフィアちゃんの魔法を使えばひとっ飛びなんだけど、あくまで冒険者学科の実習なわけだしそれはやめておいた。
たどり着いたコンゴミール村は、なんというか、一言で表現すると寂れた場所だった。
村の建物は古びていて、木の色褪せ具合が、なんとも陰気な空気を漂わせている。さらにここに来るまでの道も草に侵食されて、ところどころ消えかけてるくらいの有様だった。
「ルヴェンド付近にもこういう村があったんだねぇ」
「はい、周辺の村や町も発展しているイメージがあったので、私も驚きました」
私たちは驚きながらも村に入っていく。
すると村の中央に人が集まって何やら揉めていた。
「くっ、冒険者はまだ来ないのか!」
「どうなっておるのじゃ、エリックよ」
「ま、間違いなく依頼書を紛れ込ませましたから必ず来るはずです……」
なーんか、とってもきな臭い会話をしている気がする……。
よく見ると、エリックと呼ばれた青年は見覚えがあった。あの冒険者ギルドにて、カウンターからこそこそでてきて、すぐに店を出て行った人だ。
「こんばんは~!」
こそこそしてても仕方ないので、私は挨拶しながら彼らに近づいていった。
「な、なんだ!?」
「落ち着きなさいよ、あんた子供じゃないかい。でも、なんでこの村に子供が。誰かの親戚かい?」
「旅行客かの……」
「まさか、この村に旅行客なんて……。一名、来てますけど……」
そんな彼らに近づいて、私は依頼書を差し出し、挨拶する。
「コンゴミール村の依頼を受けてきました、冒険者のエトワです」
「そのお付きのソフィアです!」
私たちの挨拶に、村人さんたちは驚いた顔をしたあと、エリックという青年に噛み付いた。
「ちょっと、どうなってるんだい! エリック!」
「な、なんでこんな子供がやってきたのじゃ……! これでは村が……!」
「そんな、だってそこに入れておけば将来有望な冒険者が依頼を受けてくれるって封筒に確かに僕は——」
それを聞いて、私は手を挙げて言った。
「どうも~、冒険者科のある小学校に通って現在勉強中の将来有望の冒険者のエトワです~」
「そのお付きです!」
自己紹介する度にソフィアちゃんがいちいち後ろでぐっとアピールしてくれる。
それはとてもかわいい。
それを聞いて何か察したのか、村の人たちは頭を抱え出した。
「ああああ、なんてことだ。頼りにしてた冒険者が! こんな、こんな小学生だなんて……」
「こ、この村はおしまいじゃ……」
「エリック、なんてことをしてくれたんだい!」
そして私の方も事情をだいたい察知できてしまった。
だっていろいろダダ漏れなんだもの。私はどおどおとエリックさんを責めようとする村人を諌める。
「まあまあ、エリックさんだけが悪いわけではないと思いますよ。そもそもお話をお聞きするに、間違っていたら失礼ですが、依頼料を誤魔化されようとしたようですね?」
「うっ……」
子供だからと油断してたのか、私たちの前で事情そのものをベラベラ話してた村の人たちは、あらためて私からその指摘を受けて青い顔になる。
「それで私たち小学生が受けさせてもらえるはずだった依頼書の中に、勝手にあなたたちの依頼を混ぜて解決してもらおうとしたと、そいうことで間違いありませんよね」
「…………」
沈黙しか返って来ないのが答えだった。
私は指を立てて、少し厳しい声で彼らに告げる。
「依頼をするのなら、冒険者ギルドにちゃんとお金を払ってください。そうしなきゃ問題を解決できるしっかりした冒険者なんて来るはずがありません。今回もどういった困りごとかは知りませんが、きちんと依頼しなおしてください」
「し、しかし、我々の村は見ての通り貧乏な村でして……。しかも昨年の不作で借金までありまして、冒険者ギルドにだすお金が……」
「それならちゃんと冒険者ギルドの大人に相談すべきだったと思います。見ての通り、私たちは小学生なので力になれません。それでは」
本当はソフィアちゃんがいれば、ほとんどの問題は解決できるだろうけど、冷たいようだけど、今回は厳しく当たるのが正解じゃないかと思えた。そもそも、私たちの封筒に当たらなかったら、他の子たちが巻き込まれてたのだ。
どういう依頼なのかまだ聞いてないけど、大人の冒険者が必要な事案なら、危険な目にあってたかもしれない。
私たちのパーティーだってリリーシィちゃんがエルフィスちゃんが病気しなければ、二人が危険なことに巻き込まれてたかもしれない。さすがにいいですよ、気にしないでください、と助ける気にはなれなかった。
私が頭をぺこりと下げて、コンゴミール村を立ち去ろうとする。
すると——
「はっはっはっは、その嬢ちゃんの言う通りだ!」
急に大きな笑い声があたりに響いた。
声のした方を向くと、そこに立ってたのはおじいさん。もう七十歳ぐらいの年頃に見えるけど、恰幅がよく、健康に見える。着ている服も、センスはともかく、仕立ての良さが村の人たちとは違っていた。そして週刊誌の裏の広告にいる人がつけてそうな金色の指輪をつけている。
一言でまとめると、成金ファッションのおじいさんだった。
村の人たちがその姿を見て叫ぶ。
「ぜ、ゼイラードさん!」
「そう、俺は人呼んで小金持ちのゼイラード! 若い頃、仕事で貯めた金で悠々自適に暮らす、ちょっとお金を持ってるお爺さんよ!」
ゼイラードさんはポーズを決め、金の指輪を光らせながら自己紹介する。
「なんなんですか……あの人……」
「一週間前から村にやってきた客人じゃ……。村唯一の酒場でたくさん注文してくれるので助かってはおるのじゃが……ちょっと怪しい人物での……」
思わず私が呟いた疑問に、村長さんと思わしきおじいさんが答えてくれた。
ゼイラードさんは村人たちに高笑いしながら言う。
「だから言っただろう。ただで依頼を受けてもらうなんて考えるなって。冒険者だって商売なんだよ。困ってるなら、小金持ちな俺が金を貸してやるよ」
「いや……さすがにそれは……申し訳ないというか……」
金を貸すと言ってるゼイラードさんへの村の反応は、遠慮していると言うより、完全に警戒している風だった。まあ、実際、ゼイラードさんの風体はとても怪しい。
信用してない相手からの借金は怖いものだ。何を要求されるかわからない。土地か、財産か、それとも別の何かか……。悪い想像が膨らんでしまう。
ただじゃあ、自分たちの困りごとに、小学生を巻き込みかけた村の人たちに同情する気になるかというと……まあ……もう少しはしちゃってるんだけどね……。
「すみません、私たちは帰りますね」
仕方ないから、一旦、帰ったふりをして、外から様子を見て、本気で困ってるなら陰から助けてあげるべきかなって思った。
しかし、そんな私をソフィアちゃんが止めた。
「お待ちください、エトワさま!」
「どしたの、ソフィアちゃん」
そう言いながらも、私はなんとなくこういったパターンも想定していた。ソフィアちゃんを連れている時点でなんとなくね……。
「確かにエトワさまのお怒りもわかります。この村の人たちがやったことは褒められたものではありません。ですが、住んでる街の近辺の村がこんな窮状にあったことを知らなかったのはフィン侯爵家に属するものとして責任を感じます。私にこの村を助けさせていただけませんか」
「お、おお……それは助かりますが……」
村人たちはソフィアちゃんが自然と放つ高貴なオーラに圧倒されながらも、その幼さに問題解決能力があるのか懐疑的な表情だった。
しかし、ゼイラードさんの方はソフィアちゃんを興味深そうに見つめ。
「はは、なるほど、フィン侯爵家か。それは面白れえ。嬢ちゃんたちがこの村の困りごとを解決できるか見させてもらうぜ……」
そう言って、酒場らしき扉の方に引っ込んでいった。
私はというと、ソフィアちゃんがそう言いだしたら、頷こうかなとは決めていた。
「まあ、仕方ないね……」
ため息をついて了承する私に、ソフィアちゃんが笑顔になって言った。
「ありがとうございます! エトワさま!」
※これが課題だったら冒険者学校へ批判が来るかなと思って
こういう展開にしてしまったのですが、あんまり書いてみてよくないですねぇ……。
ちょっと書き直すかもしれません。キャラへのヘイトを恐れすぎてるんでしょうね。
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