武装学園―乱舞―

グリプス

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第五章

夏祭りでの災難

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 あー、やっと海の家での依頼が終わった。ラムさんにはからかわれてばっかりだったからなぁ、色んな意味で疲れた。
 冬霧が家に戻って、背中を伸ばしていると携帯が突然鳴ったので冬霧は誰かと思い出てみると篠文からだった。
『ねぇ瞬輔、今日夕方空いてる?』
「空いてるけど、なんかあるのか?」
『えっと、今日一緒に花火大会に行かない?私はもうこの後仕事無いから暇になっちゃって』
「別にいいぞ、何時にするんだ?」
『じゃあ五時に神社の前で!』
 篠文は喜こばしい声をしながら電話を切った。
 花火大会か、確か穴場があったような気がする。
 冬霧がベッドにごろりと仰向けに寝転ぶと同時に携帯が鳴った。
「もしもし、なんの用だ?絢香」
『ねぇシュンちゃん、今日一緒に花火大会行かない?』
 こいつはタイミングが良いのか悪いのかわからないな。
 いや、その前にこのまま一緒に行くと言ったら前みたいに説教されるぞ。
 でも、今の俺は傷が完治してるから説教なんて甘っちょろいものじゃない。
 でも断るのはなんか気が引けるし、今回は由佳も一緒に行く事を言っておこう。
「別にいいけどただ………」
『分かった、じゃあ五時に鳥居の下でね』
「あ、ちょっと待て!……切られた。なんで最後まで話を聞いてくれないんだよ!」
 いや、でも今のは俺が悪いんじゃない絢香が最後まで話を聞いてなかったから悪いんだ。
 冬霧はそう自分に言い聞かせていると外に妙な気配を感じた。
 姉貴の気配じゃねぇな、学園の奴らの気配でも無い、誰なんだ?絢香の家の前にいるのは。
 冬霧は少し嫌な予感がしたので、対策を練る為に大谷に電話をかけた。
『もしもし、大谷ですけど………』
「圭人一つ頼みがある」
『なんだよ急に』
「実は………」
 冬霧は大谷に頼み事の内容を説明した。
『分かった、やってやるよ。どうせ暇だったし』
「恩に着る」
 冬霧は電話を切った後、考え事をした。
 あの気配、確かどこかで………。
「やばっ!もう四時三十分じゃねぇか!」
 冬霧は急いで私服に着替えると、走って家を出ていった。もちろん武器は服の中に忍び込ませて。
「ま、間に合った…」
 冬霧は肩で息をしながら鳥居の下で二人が来るのを待っていた。
 それにしても二人共五時に鳥居の下なんて…もしかしてあいつら協力してるのか?
「おまたせ、瞬輔!」
「おお、由佳……か」
 冬霧は篠文の浴衣姿に数秒見惚れていた。
「どうしたの?瞬輔」
「あ、いや浴衣姿が似合ってたから見惚れてた」
 その言葉を聞いた瞬間、篠文の顔が真っ赤に染まった。
「お世辞なら、やめてよね」
「お世辞なんかじゃねぇよ、今のは本心だ」
「本当になんでこの男はこうもすらすら恥ずかしい事が言えるかな」
 篠文は冬霧に聞こえないように、小さな声で独り言を喋った。
「由佳、一つ言っとかないといけない事が……」
「シュンちゃん、おまたせ!ってなんで由佳までいるの?」
 なんだ、こいつら協力してたんじゃないのか。じゃなくて!とりあえず話しておこう。
「絢香、お前には俺を説教する権利はないぞ」
「なんで?」
「お前が俺の話を最後まで聞かずに携帯を切ったからだよ!」
 これで納得するわけないが、俺の身は守れた。
「今回はいいよこのままで、ほら早く屋台に行こっ!」
 冬霧は二人に手を引っ張られながら、色々な屋台に向かった。  
 だが途中で春宮の姿が見えなくなったが、通りすがりの子供に一枚の紙を渡された。
[貴様の家族は預かった、返して欲しければ廃墟の倉庫まで来い]
「由佳、行くぞ!」
「私は瞬輔の行くところはどこまでもついていくよ!」
 まさか嫌な予感がこうも的中するとは、間に合ってくれよ!
 冬霧達は廃墟の倉庫に着き、中に入ると誰もいなかった。
「どういう事だ?」
「あんたを誘き出すための罠だって事さ」
「なるほど、やられたよ臀蝦蟇本家の幹部さん」
 そうだ、あの気配は臀蝦蟇の連中のものだ。
「私がなんで幹部だと?」
「勘だよ、大抵最初に話しかけてくるのはリーダーか幹部だからな」
「そうかい、ならやっちまいな!」
 部下達か、でもこの数なら余裕でいける。
「冬霧流双剣術三式〝乱れ桜〟」
「さすがは〝双剣の騎士〟と言ったところか。でもこれならどうだい?」
 今の俺の武器は安全装置を解除している、なら壊れる心配はない。でもなんだ?あいつの不敵な笑みは何を狙ってるんだ?
「ぐはっ……、絢香そういう事か」
「はははっ、ざまぁないね〝双剣の騎士〟」
「そいつはどうかな?」
 春宮は冬霧の背中からナイフを刺し、冬霧は死ぬのだとこの場にいた者達はそう思っただろう。
 だが、
「冬霧流幻術〝陽炎〟」
「幻術だと?」
「悪いな〝陽炎〟は幻を作り出す技なんだ。だからさっき絢香が刺したのは幻の俺だ」
 そう冬霧は倉庫に入る前に〝陽炎〟を使ってもう一人の冬霧を作り、先に入らせたのだ。
「お前は知らないだろうが、春宮絢香の家族の命がかかっているのだぞ?お前を殺せば助けてやるという約束だったが、もう駄目みたいだな!」
「俺がなんの対策もしないでこんな事するとでも思ってんのか?」
「なんだと?」
「華連様、暗殺部隊が何者かに全滅させられました!」
 上手くいったな、後で圭人になんか礼をしとかないと。
「今回は見逃してやる、だが次は無いと思え!」
 臀蝦蟇の連中は、一瞬にして姿を消した。
「ごめん、シュンちゃん」
「なんでお前が謝るんだよ」
「だって、シュンちゃんを殺そうとした」
「それはお前が家族を守る為にやった行動だ、それに家族は圭人が守ってくれたんだ」
 仮に俺が殺されてても悲しむ奴はいないだろうし、でも絢香の中で罪悪感を持ち続けることになるな。
「ほら、もう行くぞ。花火が始まる」
「そう……だね」
 冬霧を含めた三人は花火を見る為に河原へ向かったが人が多くて安易に見る事が出来なかった。
「しょうがない、あそこに行くか」
「あそこってどこに行くの?」
「まあ、言ったら穴場みたいなとこだ」
 篠文は不思議そうな顔をしていたが穴場に着くとその顔は一瞬にして変わった。
「こんな所あったんだ」
「姉貴に一度だけここに連れられてな、だからここを知ってるのは俺と姉貴だけだ」
 春宮はまだ暗い顔をしている。
「絢香、お前の大切な人は家族だろ?」
「そ、そうだけど?」
「なら大切な家族を守る為にとった行動をいつまでも思い詰めるな。自分の行動に自信を持て」
「そうだね、ありがとうシュンちゃん」
 春宮はいつも通りの顔に戻った。
「俺が言えた義理じゃねぇな。俺は大切な人すら守れなかったんだ」
 冬霧は二人に聞こえないように話した。
                                                                              

                                                               第六章へ続く

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