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森の中は思ったよりも明るかった。普段から人が出入りしているようで、人が通るような道がなんとなくある。完全な獣道を想像していたが、思ったよりも進みやすそうだ。
うちのグループはエルドが先頭を歩き、その後ろがフェリシア、ステラ、最後に俺。という順番だ。イマイチ子供の接し方がわからないから、このまま距離を取りながら今は様子見をするのがいいだろう。
「エルドのバカ!ステラがいるんだからゆっくり進めって言ってるでしょ!あっ、そこ!その枝!どけてから行くの!」
「ふんっ!騎士たるもの――弱者を守るのは当然のことである!任せるのである!このエルド様が先を切り開いてやるのだ!」
前の方は騒がしい。改めて見ると、フェリシアの過保護具合…こんなだったか。子供の視線と大人になった視線では感じ方が違うのか。
エルドはなんで急に『騎士たるもの』とか言いだしたんだ?騎士団ごっこか。
お姫様ポジのステラはオロオロとしながらフェリシアの後ろをついていく。
ステラ・ブランシュ、フェリシア・ブランシュの家は確か、国内でも少ない魔術研究関係だったと記憶している。20年後には『魔道具』という誰でも簡単に魔法を使えるアイテムも開発されているが、それにはブランシュ家が関わってたような…。違ったような…自分には無縁の話過ぎて細かいところは覚えていないぞ。
(まぁ、前世の俺はこの2人とそもそも接点がなかったしな。今回の人生ではなにかしら接点が持てるといいんだけど)
俺は3人が歩いたあとの道で、傷薬、鎮痛剤にもなる薬草をいくつか採取して袋に入れる。まぁ、前世では雑貨屋で働いていた時が少しあって、その時に草の種類や特徴なんかは少し覚えたしな。あとでステラに教えてあげたら『アレン君すごーい!』とか言ってもらえるかな。
「ちぇっ……“薬草とか、食べられるものとか探してこい”って言われたけどさぁ。ぜんっぜん落ちてねぇじゃんかよ……。葉っぱばっかで、どれが役に立つんだか分かんねぇし……!」
「そ、そんなことないよ……。私たちじゃ届かないけどその、ほら……あの木の上にある木の実食べられるよ。…えっと、届かないんだけど……ね。」
「あー!本当だ!あれ、見たことある!家の食器棚にも同じようなの置いてあったぞ!ステラ、すげーじゃん!よく見つけたな!!」
「え、えへへ……その、きのう、お父さんの本で見た実に……似てるなって。ま、間違ってなくてよかった…」
自分の特技を見せられて嬉しそうに笑うステラを残し、無言でフェリシアが木の根元に近寄っていく。
「ステラってすごいね。あんな高いところまで見てたなんて思わなかったよ。ぼくなんて、足元の薬草ばかり見てたから……気づけなかった。」
「そ、そんなことないよ…!アレンくんは薬草のことたくさん知ってるみたいだから……すごいなって。わたし、あんまり分からないから今度教えてもらえたら嬉しいな」
「ちょっとアレン!こっち来て手伝いなさいよ!もぉ……いいから早く!」
せっかくステラといい感じに話していたのに、フェリシアがわざわざ俺をご指名してくださったので、ステラを残してフェリシアのもとへ向かった。それにしても、俺がちょくちょく薬草を拾っていたのを見ていたのか。すごい洞察力だな。
「なぁに?フェリシア」
「……あの木の実、わたしが取ってくるわ。いいから黙って肩、貸しなさい。さっさとよ!」
フェリシアはステラが指差した木の実を取りに行くようだ。しかも、肩を貸せって言ってるけど要は、肩を足場にさせろ、と言っている。足場にするならガタイのいいエルドの方がいいだろう。どう見ても俺は役不足だ。
「ぼ、ぼくじゃなくても……エルドの方が……その……。高いところ届くだろうし……えっと……。」
「私はあんたがいいって言ってるのよ!なんで分かんないの!?……それとも、まさか……私に足場にされたくないって言うわけ……!?」
そりゃ誰でも嫌だろうよ。肩を踏まれて足場にされるのなんて。…いや待て、ステラにならまぁ別に仕方ないというか、されたいというか…。
「い、いや……い、イヤだってわけじゃ……ない…よ。そ、そもそも……なんで僕なの……?」
ちょっと考える間があったけど、あまり不自然にならないように諦めて、しぶしぶフェリシアの言う事を聞くことにした。エルドたち3人の会話を聞いていると、子供の時の俺はクラス内でも立場が弱かったんだろうと思うから、あまり逆らったり意見はしない方がよさそうだ。
「……じゃ、じゃあ。あの枝に乗るから……アレン、そこで……しゃがんでてよ。」
言われるがまま、俺は木の下にしゃがみながらステラの土台となった。
「お姉ちゃん……だ、大丈夫?むりしちゃだめだよ……。ほかのものでもいいんだから」
「なによステラ、大げさなんだから!私は平気よ!ちゃんと見ててよね!」
ステラの心配をよそにフェリシアは俺の両肩に立ち上がると、木の枝を掴み器用によじ登っていく。
木の実までもう少し、という所でバランスを崩したフェリシアは足を滑らせて木の反対側に態勢を崩して落下しそうになった。
「お姉ちゃん!!」
「お、落ちるぞ!!」
その場に悲鳴が響いた。
うちのグループはエルドが先頭を歩き、その後ろがフェリシア、ステラ、最後に俺。という順番だ。イマイチ子供の接し方がわからないから、このまま距離を取りながら今は様子見をするのがいいだろう。
「エルドのバカ!ステラがいるんだからゆっくり進めって言ってるでしょ!あっ、そこ!その枝!どけてから行くの!」
「ふんっ!騎士たるもの――弱者を守るのは当然のことである!任せるのである!このエルド様が先を切り開いてやるのだ!」
前の方は騒がしい。改めて見ると、フェリシアの過保護具合…こんなだったか。子供の視線と大人になった視線では感じ方が違うのか。
エルドはなんで急に『騎士たるもの』とか言いだしたんだ?騎士団ごっこか。
お姫様ポジのステラはオロオロとしながらフェリシアの後ろをついていく。
ステラ・ブランシュ、フェリシア・ブランシュの家は確か、国内でも少ない魔術研究関係だったと記憶している。20年後には『魔道具』という誰でも簡単に魔法を使えるアイテムも開発されているが、それにはブランシュ家が関わってたような…。違ったような…自分には無縁の話過ぎて細かいところは覚えていないぞ。
(まぁ、前世の俺はこの2人とそもそも接点がなかったしな。今回の人生ではなにかしら接点が持てるといいんだけど)
俺は3人が歩いたあとの道で、傷薬、鎮痛剤にもなる薬草をいくつか採取して袋に入れる。まぁ、前世では雑貨屋で働いていた時が少しあって、その時に草の種類や特徴なんかは少し覚えたしな。あとでステラに教えてあげたら『アレン君すごーい!』とか言ってもらえるかな。
「ちぇっ……“薬草とか、食べられるものとか探してこい”って言われたけどさぁ。ぜんっぜん落ちてねぇじゃんかよ……。葉っぱばっかで、どれが役に立つんだか分かんねぇし……!」
「そ、そんなことないよ……。私たちじゃ届かないけどその、ほら……あの木の上にある木の実食べられるよ。…えっと、届かないんだけど……ね。」
「あー!本当だ!あれ、見たことある!家の食器棚にも同じようなの置いてあったぞ!ステラ、すげーじゃん!よく見つけたな!!」
「え、えへへ……その、きのう、お父さんの本で見た実に……似てるなって。ま、間違ってなくてよかった…」
自分の特技を見せられて嬉しそうに笑うステラを残し、無言でフェリシアが木の根元に近寄っていく。
「ステラってすごいね。あんな高いところまで見てたなんて思わなかったよ。ぼくなんて、足元の薬草ばかり見てたから……気づけなかった。」
「そ、そんなことないよ…!アレンくんは薬草のことたくさん知ってるみたいだから……すごいなって。わたし、あんまり分からないから今度教えてもらえたら嬉しいな」
「ちょっとアレン!こっち来て手伝いなさいよ!もぉ……いいから早く!」
せっかくステラといい感じに話していたのに、フェリシアがわざわざ俺をご指名してくださったので、ステラを残してフェリシアのもとへ向かった。それにしても、俺がちょくちょく薬草を拾っていたのを見ていたのか。すごい洞察力だな。
「なぁに?フェリシア」
「……あの木の実、わたしが取ってくるわ。いいから黙って肩、貸しなさい。さっさとよ!」
フェリシアはステラが指差した木の実を取りに行くようだ。しかも、肩を貸せって言ってるけど要は、肩を足場にさせろ、と言っている。足場にするならガタイのいいエルドの方がいいだろう。どう見ても俺は役不足だ。
「ぼ、ぼくじゃなくても……エルドの方が……その……。高いところ届くだろうし……えっと……。」
「私はあんたがいいって言ってるのよ!なんで分かんないの!?……それとも、まさか……私に足場にされたくないって言うわけ……!?」
そりゃ誰でも嫌だろうよ。肩を踏まれて足場にされるのなんて。…いや待て、ステラにならまぁ別に仕方ないというか、されたいというか…。
「い、いや……い、イヤだってわけじゃ……ない…よ。そ、そもそも……なんで僕なの……?」
ちょっと考える間があったけど、あまり不自然にならないように諦めて、しぶしぶフェリシアの言う事を聞くことにした。エルドたち3人の会話を聞いていると、子供の時の俺はクラス内でも立場が弱かったんだろうと思うから、あまり逆らったり意見はしない方がよさそうだ。
「……じゃ、じゃあ。あの枝に乗るから……アレン、そこで……しゃがんでてよ。」
言われるがまま、俺は木の下にしゃがみながらステラの土台となった。
「お姉ちゃん……だ、大丈夫?むりしちゃだめだよ……。ほかのものでもいいんだから」
「なによステラ、大げさなんだから!私は平気よ!ちゃんと見ててよね!」
ステラの心配をよそにフェリシアは俺の両肩に立ち上がると、木の枝を掴み器用によじ登っていく。
木の実までもう少し、という所でバランスを崩したフェリシアは足を滑らせて木の反対側に態勢を崩して落下しそうになった。
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その場に悲鳴が響いた。
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