ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました

たぬきち

文字の大きさ
11 / 26

11

しおりを挟む
「あ、あの…ど、どなたですか?ぼ、僕に…何かご用でしょうか…?」

 僕は椅子から降りて立ち上がると、ミアを後ろに控えさせたまま男性に向かって一歩前に出た。
 見た目の雰囲気からして、いきなり殴っては来ない…と信じている。だけど、こんな人見たことない。薄い金色の髪、青い瞳、これじゃあまるでー

「アレン!パパがね、アレンにお礼言いたいんだって!」

 男性の後ろの方から泣きじゃくっていたステラがボロボロの顔で小走りで俺たちの方にやってきた。
 確かに、髪の毛や瞳の感じはステラやフェリシアに似ているが、俺は前世でこの人間を見たことがないからハッキリと断言ができない。
 ただ、特徴はある…しかもステラがパパと呼んでいるんだ。

「お、お父さん?」

「アレン君。フェリシアを助けてくれてありがとう。あの子が無事でいられるのは、間違いなく君のおかげだ。我が家は君に大きな恩を負った。だがどうか、まずはこの気持ちだけは受け取ってくれ。」

 戸惑う俺のことをよそに、俺の手を取ると汚い土の地面に膝をつき、涙を浮かべながら強く手を握ってくれた。
 そうだ。思い出した。前世では直接会ったことがないんじゃなくて、会えなかったんだ。
 フェリシアが失踪してしまってから魔道具の開発まで、確かこの人は魔導研究所に入り浸っていてほとんど外に出てはこなかったんだ。話したこともなかったし、魔導研究の第一人者ってことで警備も厳重だったし、多分家にもほとんど帰ってきてないんじゃなかったかな。子供時代にもほとんど記憶にないし。

「フェリシアのお父さん…お礼なんて、とんでもありません。僕はただ、大切な友達を守りたかっただけなんです。それに…彼女のスカートまで破いてしまって、足にも傷をつけてしまいました。むしろ謝らなきゃいけないのは僕の方です。本当に…申し訳ありません。」

 スカートをめくって足を触った事は話す勇気がなくて怪我をさせてしまった事と、スカートを破いて包帯代わりに使ってくれた事への感謝とお詫びだけは入れてみた。頼む!子供がしたことなんだ。大目に見てくれ。もう二度と近づかないし触らないから許してくれ。人生まだ終わりたくない!

「本当に君は勇敢なんだな。それに薬学の知識もある素晴らしい才能だ。ロザーク家は素晴らしいご子息を持ったな」

 彼は立ち上がると、少し後ろで椅子に座るフェリシアを連れて戻ってきた。

「フェリシアの足を切ったのは遅効性の毒がある植物で、君の処置が遅かったら彼女の足はもっと大きく腫れて最悪切断した可能性もある」

 そう言うとフェリシアのスカートを少しまくり上げると、傷の周りがまだらに赤紫色に変色していた。
 もしあの時、キズに気が付かなかったら?傷に薬を塗るのをためらったら?フェリシアは結果命を落としていたかもしれない。時間という見えない敵は人攫いからフェリシアを救う、というミッションクリアだけではなく、遅効性の毒でフェリシア殺しに来た、という事か。偶然見つけて、偶然持っていたからよかったが、少しでも迷っていたら危なかったな。これが未来を変えるという事なのか…。

「その、さっきは…ごめん。……‥…ありがと」

 小さい声でごにょごにょと話すフェリシアは、恥ずかしそうに謝って、小さく最後に「ありがと」と言うと駆け付けたロザーク家の従者に傷の治療のため先に戻ります。とのことで一足先にフェリシアは帰っていった。抱きかかえられたフェリシアが俺に向かって何かを話しかけようとしていたが、気恥ずかしそうにまたそっぽを向いたまま連れていかれてしまった。

「君が持っていた毒に効く薬草、ゆっくり一肌の温度ですりつぶし、すぐに患部へ塗る。完璧な処置だ。改めて言おう。娘を助けてくれてありがとう。どうだろう?何かお礼をさせてくれないか?どんなことでも私にできることは惜しまず協力しよう」

 魔導研究の第一人者がお礼をしたい。だなんて、こんなラッキーボーナス、二度とないぞ。何か、今後未来を変えるために必要な知識や材料が欲しい。俺は非力だ。いくら前世の記憶があっても立ち向かう力がない。
 魔道具のことを教えて、開発を速めてもらうとか?でもあの人さらいの親分も魔道具の量産化を知っていたし、下手に刺激して未来が大きく変わってしまうのは避けたい。それ以外で、何か俺が生きていく上で必要なものは…。

「おじさん…。その話、もう少し待ってもらってもいいですか?ゆっくり考えてみたいです」

「ルシアンと呼んで構わない。君とはもう他人ではないのだ。友人として接してくれ。いつでもいいんだ。よく考えてもらって構わない。…そうだ。近いうちに家に来ないか?ささやかだが食事会に君を招待させてほしい。」

 食事会!?なんだそれ。ステラの家にすら行った事がなかったのに、前世ではなかったイベントがあるぞ。
 行かない…、よりは行った方がいいのだろうか?まだ人さらいの件が落ち着いたとは言い切れない。念のために行くべきだろうか。

「ステラやフェリシアも喜ぶと思うんだが、どうかな?」

 考えに夢中になってしまい、ルシアンの誘いの返事が遅くなってしまった。ここは、行った方がなにか収穫があるかもしれないな。

「はいっ!ありがとうございます!ぜひお伺いしたいです!」

 俺はルシアンの差し出している手を両手で握りしめた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~

かくろう
ファンタジー
【ためて・放つ】という地味スキルを一生に一度の儀式で授かってしまった主人公セージ。  そのせいで家から追放され、挙げ句に異母弟から殺されかけてしまう。  しかしあらゆるものを【ためる】でパワフルにできるこのスキルは、最高ランクの冒険者すらかすんでしまうほどのぶっ壊れ能力だった!  命からがら魔物の強襲から脱したセージは、この力を駆使して成り上がっていく事を決意する。  そして命の危機に瀕していた少女リンカニアと出会い、絆を深めていくうちに自分のスキルを共有できる事に気が付いた。 ――これは、世界で類を見ない最強に成り上がっていく主人公と、彼の元へ集まってくる仲間達との物語である。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

処理中です...