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第二十二話 悪魔の囁き
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水曜日の仕事帰り。
駅前のいつもの百貨店に、吸い込まれるように入っていく明日香。今日の目的は、七階に入っている大型書店だ。
あれから大輔とは連絡を取っていない。彼からも一切、ラインは入ってきていない。
律儀な彼のことだから、勉強の邪魔にならないように、試験が終わるまで連絡するつもりはないのだろう。
エスカレーターに乗って書店のフロアに出ると、そのまま語学コーナーに向かう。
試験が近いせいだろうか、TOEICに関連する本が手前に平積みにされていた。
こんな本を買わずとも、家にいくらでも対策本はあるのだが、一応最近の傾向というものはチェックしておきたい。池袋のスクールでも対策講座はあるのだが、別料金だし、最近少しご無沙汰なので顔を出しづらい。
『TOEIC L&Rテスト スコアアップ究極テクニック』
陳腐なタイトルだが、ついつい手に取ってしまう、この手の本。
パラパラと頁をめくっていると、トートバッグの中のスマホが震えた。
鞄の中で画面を確認すると、嘗ての恋人、健斗からのラインだった。
『明日香、久しぶり。元気だった?』
『ずっと連絡ないから、どうしたのかと思って』
『来週の月曜日、誕生日だろ? 一緒にお祝いしよう』
突然思い出したようにラインしてきて。
わざとらしいったらありゃしない。四ヶ月近く、音沙汰なかったくせに。
おおかた、新しく出来た彼女に振られでもしたのだろう。
無視、無視。
あんなエゴの塊みたいなセックスする男、二度と御免だわ。
今の私は、大輔さんと最高のセックスを愉しんでいるのだから。
既読がついたことに気付いたのか、健斗から立て続けにメッセージが入ってくる。
『明日香、俺のところ来たがってただろ?』
『今度の土曜日、うちに来ないか?』
『うちで、明日香の誕生日の前祝いしよう』
明日香は黙って画面を見つめていた。
このままだと、大輔とは誕生日を迎えられないだろう。一人寂しい誕生日を迎えることになるのだ。
だったら気心の知れている健斗と、適当にケーキでも食べて過ごすのも悪くない。
ただ、ケーキを食べるだけでは当然済まされないだろう。
あれだけ渋っていた自宅にまで招こうとしているのだから、かなり前のめりになっているのは確かだ。彼の部屋に行けば、確実にセックスになる。
彼と寝たら、大輔を裏切ることになるのだろうか。
元はといえば、セフレになろうと言って始まった関係だ。大輔は本気だと言ってくれたが、自分はまだ正式に返事をしていない。
むしろ健斗とはきちんと別れていないのだから、大輔と寝ることの方が浮気だと言えるのではないか。
大輔は、自分の望むような愛情を与えてくれない。
彼は私がそばに居なくても平気だと言った。私が夢を叶えることを優先したいと。
それじゃ、まるで保護者じゃないか。
私は彼と、一分一秒でも長く一緒に居たいのに。
「何があっても、君の手を離さない」と。
「一生、君のそばにいるよ」と。
そう言って、抱きしめて欲しかったのに。
◆◆◆◆
「久しぶり。ちょっと痩せた?」
有楽町線の要町。
改札口を出て来た明日香に対し、健斗は開口一番にお世辞を口にした。
最寄り駅まで迎えに来た健斗。色あせたTシャツに、ショートパンツという出で立ち。足元はインソールが有名な、ドイツ製のサンダルを履いている。
自宅から歩いてたった数分なのだから、適当な格好で来るのは予想できたが、あまりにやる気のない姿に、明日香は溜息をついた。
デートのときはメチャクチャ格好つけてくるのに、部屋着はこんなものか。
これから誕生日を祝おうっていうのに、やる気があるんだか、ないんだか。やる気があるのはセックスだけか。
今日の彼女のスタイルは、薄いグリーンのツイードのワンピース。健斗が苦手な、背中にファスナーのあるタイプだ。
あれこれ悩んだあげく、明日香は自分の中の悪魔の囁きに屈した。
「健斗がどれだけワンピを脱がすのに時間がかかるのか、改めて確かめてみたい」
「自信たっぷりに自分のモノを自慢する姿を、もう一度見てみたい」
「歴代の彼女たちが、満足度百パーセントと言い切ったセックスを、今一度体感してみたい」
「確実に腕を上げたフェラチオで、驚かせてやりたい」
気が付くと明日香は、健斗へ了解のラインを送っていた。
彼が小さな白い箱を持っていることに、ふと気付く。
「もしかして、ケーキ買ってくれたの?」
「うん。来る途中にケーキ屋あったから」
その左手に着けた、シルバーの細いバングル。
明日香がクリスマスプレゼントとして贈ったものだ。健斗はそれを気に入ったようで、デートの度にそれを着けてきた。
あのバングル、捨てないでいたんだ。
今日着けてきたのは、私へのおべっかかな。
それとも、本当に気に入っていたのかな。
こうやって思い出すと、健斗は決して悪い男ではなかったことに気づく。
条件は良かったし、優しくて紳士的で、争いを好まない人だった。
ぱっちりとした二重の瞳、ぽってりとした唇、程よく焼けた肌、アッシュグレーのショートヘア。世の女性の大半が、「イケメン」の部類に入れるはずの男性だ。
彼の隣で歩いていると、何となく自分までレベルが上がったような気がしていた。
そもそも私は、なんで健斗と別れたんだっけ?
セックスが全然気持ち良くなくて。言いたいことがきちんと伝わらなくて。
それで私が苛々して、彼が怒って……。
健斗は私とまだ、繋がってるって思っているのかな。
思ってるんだよね。
だからこうやって連絡をよこしてきたんだ。
「明日香。こっち、こっち」
彼女の腰に手を回して歩き出す健斗。
健斗は彼女と歩く時は大抵、こうやって体を密着させたがった。
明日香はそれがいつも嫌だった。人前でイチャイチャするのは、どうしても抵抗があった。
暫くすると、健斗はくすんだレンガ色の建物を指差した。
「俺ん家、あそこ。狭いけど、ちゃんと掃除したから、綺麗だよ」
健斗は彼女の目を見て嬉しそうに微笑んだ。
◆◆◆◆
健斗の部屋に入るなり、明日香は脳天の髪の毛が、アンテナのようにピンと立ったような気がした。
この部屋、女が出入りしている。
具体的にどこがどうという理由はない。女の直感というやつだ。
自分が大輔の家に毎週通っているせいだろうか。同じような空気がこの部屋に漂っているのが、ぼんやりとわかる。
同棲しているわけではないだろう。
部屋の内装も家具も、小物も、男が選びそうなものばかりだ。少しだけ開いたクローゼットからも、ビジネススーツや男物の服しか見えない。
しかし、そう安易に騙されるほど、自分は子供ではない。
きちんと分別されたゴミ箱、並べられている食器の種類、衣装ケースから透けて見えるタオルの柄。そういったものから、女の匂いが漂ってくる。
それと、微かに香る、タバコのにおい。健斗は喫煙者ではないはずだ。
明日香はハンカチを手にして立ち上がった。
「ちょっと、お手洗。借りて良い?」
「いいよ」
三点式のユニットバスに入ると、中は想像通りだった。
百均の小物や便利グッズなどを駆使して、狭いながらも使い勝手のいいスペースになっている。どれも柄のない地味なものを使っているが、女の仕業に間違いない。
トイレタンクの上にある、蓋のついた小物入れに目が留まる。少し背の高い、籠の小物入れだ。
蓋を取って中を覗くと、コンビニで売っているプチプラの化粧水が入っていた。量はかなり減っている。クレンジングシートやコットン、シートマスクまで入っている。
「私も、舐められたもんだわ……」
明日香は無意識につぶやいた。
健斗が自分をここに来させなかったのは、女がいたからだ。
自分は二股を掛けられていたと考えるのが、自然だろう。いつからなのか、ということは自分の自尊心の為に考えないでおく。
今回許可が下りた理由は分からないが、その彼女とは現在進行形で繋がっているはずだ。もし切れているとしたら、こんなものをいつまでも放置している、健斗の神経を疑う。
それにしても。
私が来るというのに、こんな小物を隠しもしないなんて。私も相当舐められている。
この化粧水を彼に見せたら、どう弁解するつもりなのだろう。「妹のだよ」とか「昔の女が置いていった」とでも、言うつもりなのだろうか。そんな言い訳が通じると思われている時点で、腹が立つ。
明日香は軽くなっている化粧水の容器を手にとり、上下さかさまにして元の場所に戻した。
あなたの彼氏、他の女連れ込んでますよ。
駅前のいつもの百貨店に、吸い込まれるように入っていく明日香。今日の目的は、七階に入っている大型書店だ。
あれから大輔とは連絡を取っていない。彼からも一切、ラインは入ってきていない。
律儀な彼のことだから、勉強の邪魔にならないように、試験が終わるまで連絡するつもりはないのだろう。
エスカレーターに乗って書店のフロアに出ると、そのまま語学コーナーに向かう。
試験が近いせいだろうか、TOEICに関連する本が手前に平積みにされていた。
こんな本を買わずとも、家にいくらでも対策本はあるのだが、一応最近の傾向というものはチェックしておきたい。池袋のスクールでも対策講座はあるのだが、別料金だし、最近少しご無沙汰なので顔を出しづらい。
『TOEIC L&Rテスト スコアアップ究極テクニック』
陳腐なタイトルだが、ついつい手に取ってしまう、この手の本。
パラパラと頁をめくっていると、トートバッグの中のスマホが震えた。
鞄の中で画面を確認すると、嘗ての恋人、健斗からのラインだった。
『明日香、久しぶり。元気だった?』
『ずっと連絡ないから、どうしたのかと思って』
『来週の月曜日、誕生日だろ? 一緒にお祝いしよう』
突然思い出したようにラインしてきて。
わざとらしいったらありゃしない。四ヶ月近く、音沙汰なかったくせに。
おおかた、新しく出来た彼女に振られでもしたのだろう。
無視、無視。
あんなエゴの塊みたいなセックスする男、二度と御免だわ。
今の私は、大輔さんと最高のセックスを愉しんでいるのだから。
既読がついたことに気付いたのか、健斗から立て続けにメッセージが入ってくる。
『明日香、俺のところ来たがってただろ?』
『今度の土曜日、うちに来ないか?』
『うちで、明日香の誕生日の前祝いしよう』
明日香は黙って画面を見つめていた。
このままだと、大輔とは誕生日を迎えられないだろう。一人寂しい誕生日を迎えることになるのだ。
だったら気心の知れている健斗と、適当にケーキでも食べて過ごすのも悪くない。
ただ、ケーキを食べるだけでは当然済まされないだろう。
あれだけ渋っていた自宅にまで招こうとしているのだから、かなり前のめりになっているのは確かだ。彼の部屋に行けば、確実にセックスになる。
彼と寝たら、大輔を裏切ることになるのだろうか。
元はといえば、セフレになろうと言って始まった関係だ。大輔は本気だと言ってくれたが、自分はまだ正式に返事をしていない。
むしろ健斗とはきちんと別れていないのだから、大輔と寝ることの方が浮気だと言えるのではないか。
大輔は、自分の望むような愛情を与えてくれない。
彼は私がそばに居なくても平気だと言った。私が夢を叶えることを優先したいと。
それじゃ、まるで保護者じゃないか。
私は彼と、一分一秒でも長く一緒に居たいのに。
「何があっても、君の手を離さない」と。
「一生、君のそばにいるよ」と。
そう言って、抱きしめて欲しかったのに。
◆◆◆◆
「久しぶり。ちょっと痩せた?」
有楽町線の要町。
改札口を出て来た明日香に対し、健斗は開口一番にお世辞を口にした。
最寄り駅まで迎えに来た健斗。色あせたTシャツに、ショートパンツという出で立ち。足元はインソールが有名な、ドイツ製のサンダルを履いている。
自宅から歩いてたった数分なのだから、適当な格好で来るのは予想できたが、あまりにやる気のない姿に、明日香は溜息をついた。
デートのときはメチャクチャ格好つけてくるのに、部屋着はこんなものか。
これから誕生日を祝おうっていうのに、やる気があるんだか、ないんだか。やる気があるのはセックスだけか。
今日の彼女のスタイルは、薄いグリーンのツイードのワンピース。健斗が苦手な、背中にファスナーのあるタイプだ。
あれこれ悩んだあげく、明日香は自分の中の悪魔の囁きに屈した。
「健斗がどれだけワンピを脱がすのに時間がかかるのか、改めて確かめてみたい」
「自信たっぷりに自分のモノを自慢する姿を、もう一度見てみたい」
「歴代の彼女たちが、満足度百パーセントと言い切ったセックスを、今一度体感してみたい」
「確実に腕を上げたフェラチオで、驚かせてやりたい」
気が付くと明日香は、健斗へ了解のラインを送っていた。
彼が小さな白い箱を持っていることに、ふと気付く。
「もしかして、ケーキ買ってくれたの?」
「うん。来る途中にケーキ屋あったから」
その左手に着けた、シルバーの細いバングル。
明日香がクリスマスプレゼントとして贈ったものだ。健斗はそれを気に入ったようで、デートの度にそれを着けてきた。
あのバングル、捨てないでいたんだ。
今日着けてきたのは、私へのおべっかかな。
それとも、本当に気に入っていたのかな。
こうやって思い出すと、健斗は決して悪い男ではなかったことに気づく。
条件は良かったし、優しくて紳士的で、争いを好まない人だった。
ぱっちりとした二重の瞳、ぽってりとした唇、程よく焼けた肌、アッシュグレーのショートヘア。世の女性の大半が、「イケメン」の部類に入れるはずの男性だ。
彼の隣で歩いていると、何となく自分までレベルが上がったような気がしていた。
そもそも私は、なんで健斗と別れたんだっけ?
セックスが全然気持ち良くなくて。言いたいことがきちんと伝わらなくて。
それで私が苛々して、彼が怒って……。
健斗は私とまだ、繋がってるって思っているのかな。
思ってるんだよね。
だからこうやって連絡をよこしてきたんだ。
「明日香。こっち、こっち」
彼女の腰に手を回して歩き出す健斗。
健斗は彼女と歩く時は大抵、こうやって体を密着させたがった。
明日香はそれがいつも嫌だった。人前でイチャイチャするのは、どうしても抵抗があった。
暫くすると、健斗はくすんだレンガ色の建物を指差した。
「俺ん家、あそこ。狭いけど、ちゃんと掃除したから、綺麗だよ」
健斗は彼女の目を見て嬉しそうに微笑んだ。
◆◆◆◆
健斗の部屋に入るなり、明日香は脳天の髪の毛が、アンテナのようにピンと立ったような気がした。
この部屋、女が出入りしている。
具体的にどこがどうという理由はない。女の直感というやつだ。
自分が大輔の家に毎週通っているせいだろうか。同じような空気がこの部屋に漂っているのが、ぼんやりとわかる。
同棲しているわけではないだろう。
部屋の内装も家具も、小物も、男が選びそうなものばかりだ。少しだけ開いたクローゼットからも、ビジネススーツや男物の服しか見えない。
しかし、そう安易に騙されるほど、自分は子供ではない。
きちんと分別されたゴミ箱、並べられている食器の種類、衣装ケースから透けて見えるタオルの柄。そういったものから、女の匂いが漂ってくる。
それと、微かに香る、タバコのにおい。健斗は喫煙者ではないはずだ。
明日香はハンカチを手にして立ち上がった。
「ちょっと、お手洗。借りて良い?」
「いいよ」
三点式のユニットバスに入ると、中は想像通りだった。
百均の小物や便利グッズなどを駆使して、狭いながらも使い勝手のいいスペースになっている。どれも柄のない地味なものを使っているが、女の仕業に間違いない。
トイレタンクの上にある、蓋のついた小物入れに目が留まる。少し背の高い、籠の小物入れだ。
蓋を取って中を覗くと、コンビニで売っているプチプラの化粧水が入っていた。量はかなり減っている。クレンジングシートやコットン、シートマスクまで入っている。
「私も、舐められたもんだわ……」
明日香は無意識につぶやいた。
健斗が自分をここに来させなかったのは、女がいたからだ。
自分は二股を掛けられていたと考えるのが、自然だろう。いつからなのか、ということは自分の自尊心の為に考えないでおく。
今回許可が下りた理由は分からないが、その彼女とは現在進行形で繋がっているはずだ。もし切れているとしたら、こんなものをいつまでも放置している、健斗の神経を疑う。
それにしても。
私が来るというのに、こんな小物を隠しもしないなんて。私も相当舐められている。
この化粧水を彼に見せたら、どう弁解するつもりなのだろう。「妹のだよ」とか「昔の女が置いていった」とでも、言うつもりなのだろうか。そんな言い訳が通じると思われている時点で、腹が立つ。
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