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第五章 宮守明日香【後編】
第三十五話 何もかも忘れて *
恭子の現在の自宅は、東京・入谷にあった。
大宮のオフィスからタクシーで一時間ほどの場所にある、少し年季の入ったマンションだった。
車を降りた恭子がエントランスをくぐり、彼女の荷物を持った大輔が後に続く。
「ごめんね。仕事の予定、全部パーにさせちゃって」
すっかり顔色が戻った恭子が、済まなそうな顔でオートロックを解錠する。
「全然。最近、厄介なクライアントがひと段落したから、むしろ暇なぐらいだよ」
「そう言ってくれると有難いけど……」
ロビーを抜けてエレベーターに乗り込む。
どこまで彼女を送ればいいものか迷ったが、荷物を持っている以上は部屋まで行くのが筋だろうと、大輔は考えた。
部屋は三階のエレベーターホール正面、門戸があるポーチ付きの物件であった。
中に入ると不規則な形の部屋が並んでいて、同線の悪さが目につく。築年数は相当経っているだろう。病院に通いやすいようにと、予算と立地だけで父親が選んだと彼女は説明をした。
リビングに通された大輔は、部屋の隅に彼女のショルダーバッグを静かに置く。
「じゃあ、俺帰るから」
部屋を出ようと踵を返すと、恭子が彼のダウンジャケットの裾を引っ張った。
「お茶ぐらい飲んでいってよ。直帰にしてもらったんでしょ?」
そういいながら、彼女は灰色のチェスターコートを脱ぐ。大輔の顔には緊張の色が見え始めた。
ダイニングチェアにコートを掛けると、彼女は大輔に近づいてきた。大きな瞳を更に見開き、彼を凝視する。
「……大輔君、最近なんかあった?」
「は?」
面を食らう大輔に、彼女は矢継ぎ早に言葉を浴びせる。
「絶対、なにかあった。つまんなそうな顔してるんだよね、最近の大輔君。十月に会ったときは、もっとウキウキっていうか、人生楽しんでる感じがしたのに。どうしたの? 彼女と喧嘩でもした?」
大輔は掌で隠すように口元を覆った。
「彼女がいるって……話したっけ?」
「女が選んだ」
「……え?」
「そのネクタイ、彼女が選んだでしょ」
着けていたネクタイは、以前明日香がプレゼントしてくれたものだった。
「相変わらず凄いな、恭子さんは……」
「『恭子さん』って、やっと呼んでくれた」
「……」
「私でよかったら、話聞くよ。折角の機会なんだから、お喋りしようよ」
彼女の提案は、大輔にとって魅力的だった。
部屋に上がって気が緩んだというのもあるが、自分が無意識に彼女の名前を呼んだことが、この場にとどまりたいという気持ちに拍車をかけた。
「彼女がね……イギリスに行くんだ。仕事で」
大輔は上着も脱がずに、うつむき加減に佇んだ。
「俺はそれを応援していたんだ。でもこの間、ちょっとしたことで喧嘩になって。それからなんか、ズレてきたって言うか」
自分でも驚くほど、すらすらと言葉が出てくる。
明日香と話しているときは、言葉を選ぶことが多い。
どう話せば彼女に伝わるか、どう伝えれば彼女の心が動くのか。
そうやって言葉を選ぶことが、大人の余裕だと思っていた。
「すごい年下なんだ、彼女。なんだか海外に行かせるのが、心配になっちゃって。若い時ってさ、色々冒険したくなるじゃん? だから……」
「だから、本当は『行って欲しくない』?」
大輔の正面で話を聞いていた恭子が、ようやく口を開く。
彼女と大輔はそれほど身長差がない。顔を上げると、視線の先に恭子の瞳があった。その眼差しは、郷愁に似た安堵感を彼にもたらした。
「……恭子さん、俺、どうすればいいのかな」
子供のように吐露する大輔に、恭子はハッキリと答えた。
「簡単なことよ。『行くな、俺のそばにいろ』って言えばいい」
彼女の意思の強さは、大輔にとって可愛げなく映ることもあったが、心地よくもあった。
自信に満ち、決して意見を曲げない姿。今こうやって再び目の当たりにすると、頼もしさすら感じられる。
「そんなこと今更言えないよ」
自嘲気味に笑う大輔。恭子が眉間に皺を寄せる。
「なんで?」
「彼女の夢を壊すことなんて出来ない。ずっと背中を押してきたのに、急に引き留めるなんて。おかしいだろ」
「それはどうかしら? 本当は彼女も、引き留めて欲しいんじゃないの? 訊いた? イギリス行きが決まってから。『本当に行きたいのか、俺と一緒に居たいのか』って」
大輔は口を堅く閉じた。
彼女は少し前まで、恋愛に溺れているようなところがあった。
だから自分もわざとプロポーズをせずにいた。求婚したら「リーズ行きは諦めて、お嫁さんになる」と言い出しかねない雰囲気だった。
でも今の彼女は、夢を掴んだ彼女は違う。
新しい一歩を踏み出す彼女の隣に、俺の居場所はない。
満足するセックスも経験したし、もう俺は必要ないんだ。
口うるさく「実家に帰れ」と言うオッサンは、邪魔なだけなんだ。
「そんなこと彼女に訊いて、『行きたい』って即答されたら、立ち直れないでしょ」
鼻で笑いながら答える大輔に、恭子は憐れむような視線を流す。
「そんなふうに応える子なの? あなたの好きになった子は。そうじゃないでしょ」
「……」
「大輔君。本当はもう、あなたの中で答えを出しちゃってるんじゃないの?」
「……」
「『行くな』とは言えない。でも行ったら今の関係を保つ自信がない。だから『もういいや』って思ってる。違う?」
大輔は唇を噛んで再び頭を下げた。
そうだ。
俺はもう答えを出している。
彼女とはもう終わりなんだと。
埋まらない年の差。
擦りあわない価値観。
拭いきれない不信感。
震えるような息を吐く大輔の肩を、恭子が両手で包んでくる。
「大輔君、もっと自分勝手になって良いんだよ。自分の人生なんだから。我慢しなくていいんだよ」
「……無理だよ。もう子供じゃないんだ……もっと若かったら、そんな勇気もあったかもしれないけど、今はもう……」
恭子が声のトーンを上げながら掌に力を込める。
「若いとか年寄りとか、そんなの関係ないでしょ。言いたいことが言えないのが大人なの? 我慢するのが大人なの? 自分の気持ちを押し殺して、蓋をして。そんなの変でしょ、おかしいでしょ」
言下に恭子の腰を引き寄せ、その身体を抱き締める大輔。
「……俺、もう嫌なんだ……四六時中、彼女のことが頭に浮かんで。仕事が手につかなくて……こんな状態で、彼女がリーズに行ったら……」
声を裏返す嘗ての恋人。恭子はその背中を優しく撫でた。
「そんなに好きなんだ……馬鹿ね。『行くな』って一言が、言えないばっかりに……」
言葉を遮るように、大輔が強引に恭子の唇を奪う。
「だっ、大輔く……」
彼女の後頭部を手で支え、唇を押し付ける大輔。抵抗する恭子の舌を押しのけて、彼女の口内で舌を暴れさせる。
背中を逸らす恭子を力任せに抱き寄せ、オフホワイトのニットの上から放漫な胸を揉みしだく。
もう何もかも、忘れてしまいたい。
彼女と出会ったことも、愛し合ったことも。
喧嘩したことも、浮気されたことも。
全部。全部、記憶から消し去ってしまいたい。
暫く目を開けて拒否していた恭子だったが、諦観したように彼の唇を受け入れ始める。
その舌遣いは滑らかで凄艶で、嘗て彼女と紡いだ情事の日々を、大輔に想起させた。
両手で大輔の頬を包み、恭子はその瞳の中に大輔を映す。
「いいよ。私を抱いて吹っ切れるなら。協力してあげる」
「恭子さん……」
大輔が再び唇を重ねると、恭子は彼のダウンジャケットを脱がして床に落とした。キスを繰り返しながら、互いに競い合うように服を脱ぐ。
彼女に導かれるまま寝室に入り、既に裸になっている彼女と共にベッドに倒れ込んだ。
彼のボクサーパンツを剥がし、男性器をしゃぶる恭子。大輔は彼女の腰を掴み、強引に引き寄せる。
「俺にも、舐めさせて」
シックスナインでむさぼるように愛し合う二人。
恭子の性器は年齢相応に色素沈着しており、嘗ては対称に開いていた花弁も、片側だけ皺をよせてしぼんでいた。それは彼女の歴史そのもののようであり、大輔を大いに興奮させた。
「恭子さん、益々エロくなった……たまんない」
「ああっ、すごいっ……大輔君……ああ……」
絞り出すように呻く恭子。その桃色の粒を大輔が優しく吸い上げると、彼女は狂ったように喘ぎだした。
「だめぇえっ……!!」
襞の間から飛沫を上げると、恭子は身体を反らして震えるように息を吐いた。
肩で息をする彼女を見ながら、徐に大輔が起き上がる。
陰茎に手を添え、先端を彼女の口元に持っていく。
「俺のも気持ち良くしてよ」
「いっぱい、しゃぶってあげる」
ジュブジュブと音を鳴らしながら、恭子がフェラチオを始める。
彼女の短い髪は撫で甲斐はなかったが、恋人とは別の女性が性器を口にしている淫猥さに、大輔は頭が真っ白になった。
「あぁ、凄い……ヤバい」
唾を飲み込みながら呼吸すると、恭子は亀頭に舌を這わせながら妖艶に言った。
「……挿れて、欲しい」
彼女を抱き寄せて仰向けに寝かせ、脚の間に入る大輔。男根を襞の間に当てる。
「俺、持ってないんだけど……」
「いいよ、そのままで。もうできないから」
「……ごめん」
目を伏せて詫びる大輔に対し、刮目して応える。
「謝らないで。惨めになる」
「恭子さん……」
「そんな顔しないで。キスして」
彼女の中に押し入りながら、大輔はその唇に優しくキスをした。
「んっ……んんっ!」
鼻から息を吐きながら恭子が悶える。大輔は腰を回しながら彼女の中を味わった。
「んんっ、んっ……あっ、あああっ!!」
我慢できず唇を離した恭子が吠え、彼はその太腿を持ち上げて杭を打ち付ける。
両太腿を束ねて腰を動かすと、彼女は顎を上げて枕を逆手に掴んだ。
「大輔君っ、お願いっ、後ろから、突いて……」
「今でも、バックが好きなんだ」
「うん……お願いっ」
彼女を四つん這いにさせ、小麦色の尻の間に挿入すると、恭子は背骨が折れそうなほど反り返った。
「い、いいーっ!」
昔と変わらず情熱的な恭子に、大輔の情欲は最高潮に達した。彼女の腰を掴み、我を忘れて男根を出し入れさせる。
「あぁっ、ヤバい。ごめん恭子さん、イキそう……」
「良い、よ……出して……」
呆けた顔の恭子を再び仰向けにさせ、その足を自身の肩に担いで覆い被さる大輔。体重を乗せながらピストンさせると、彼女は上半身を左右にねじらせた。
「大輔君、そのまま出していいよっ……」
「ごめんっ……」
顎から汗を垂らしながら、きつく目を閉じる大輔。ベッドに手をついて腰を大きく振る。
「イっ、イクっ……あっ、あ……」
間もなくして彼は、恭子を抱えて呻くように叫んだ。
「明日香っ……!!」
大宮のオフィスからタクシーで一時間ほどの場所にある、少し年季の入ったマンションだった。
車を降りた恭子がエントランスをくぐり、彼女の荷物を持った大輔が後に続く。
「ごめんね。仕事の予定、全部パーにさせちゃって」
すっかり顔色が戻った恭子が、済まなそうな顔でオートロックを解錠する。
「全然。最近、厄介なクライアントがひと段落したから、むしろ暇なぐらいだよ」
「そう言ってくれると有難いけど……」
ロビーを抜けてエレベーターに乗り込む。
どこまで彼女を送ればいいものか迷ったが、荷物を持っている以上は部屋まで行くのが筋だろうと、大輔は考えた。
部屋は三階のエレベーターホール正面、門戸があるポーチ付きの物件であった。
中に入ると不規則な形の部屋が並んでいて、同線の悪さが目につく。築年数は相当経っているだろう。病院に通いやすいようにと、予算と立地だけで父親が選んだと彼女は説明をした。
リビングに通された大輔は、部屋の隅に彼女のショルダーバッグを静かに置く。
「じゃあ、俺帰るから」
部屋を出ようと踵を返すと、恭子が彼のダウンジャケットの裾を引っ張った。
「お茶ぐらい飲んでいってよ。直帰にしてもらったんでしょ?」
そういいながら、彼女は灰色のチェスターコートを脱ぐ。大輔の顔には緊張の色が見え始めた。
ダイニングチェアにコートを掛けると、彼女は大輔に近づいてきた。大きな瞳を更に見開き、彼を凝視する。
「……大輔君、最近なんかあった?」
「は?」
面を食らう大輔に、彼女は矢継ぎ早に言葉を浴びせる。
「絶対、なにかあった。つまんなそうな顔してるんだよね、最近の大輔君。十月に会ったときは、もっとウキウキっていうか、人生楽しんでる感じがしたのに。どうしたの? 彼女と喧嘩でもした?」
大輔は掌で隠すように口元を覆った。
「彼女がいるって……話したっけ?」
「女が選んだ」
「……え?」
「そのネクタイ、彼女が選んだでしょ」
着けていたネクタイは、以前明日香がプレゼントしてくれたものだった。
「相変わらず凄いな、恭子さんは……」
「『恭子さん』って、やっと呼んでくれた」
「……」
「私でよかったら、話聞くよ。折角の機会なんだから、お喋りしようよ」
彼女の提案は、大輔にとって魅力的だった。
部屋に上がって気が緩んだというのもあるが、自分が無意識に彼女の名前を呼んだことが、この場にとどまりたいという気持ちに拍車をかけた。
「彼女がね……イギリスに行くんだ。仕事で」
大輔は上着も脱がずに、うつむき加減に佇んだ。
「俺はそれを応援していたんだ。でもこの間、ちょっとしたことで喧嘩になって。それからなんか、ズレてきたって言うか」
自分でも驚くほど、すらすらと言葉が出てくる。
明日香と話しているときは、言葉を選ぶことが多い。
どう話せば彼女に伝わるか、どう伝えれば彼女の心が動くのか。
そうやって言葉を選ぶことが、大人の余裕だと思っていた。
「すごい年下なんだ、彼女。なんだか海外に行かせるのが、心配になっちゃって。若い時ってさ、色々冒険したくなるじゃん? だから……」
「だから、本当は『行って欲しくない』?」
大輔の正面で話を聞いていた恭子が、ようやく口を開く。
彼女と大輔はそれほど身長差がない。顔を上げると、視線の先に恭子の瞳があった。その眼差しは、郷愁に似た安堵感を彼にもたらした。
「……恭子さん、俺、どうすればいいのかな」
子供のように吐露する大輔に、恭子はハッキリと答えた。
「簡単なことよ。『行くな、俺のそばにいろ』って言えばいい」
彼女の意思の強さは、大輔にとって可愛げなく映ることもあったが、心地よくもあった。
自信に満ち、決して意見を曲げない姿。今こうやって再び目の当たりにすると、頼もしさすら感じられる。
「そんなこと今更言えないよ」
自嘲気味に笑う大輔。恭子が眉間に皺を寄せる。
「なんで?」
「彼女の夢を壊すことなんて出来ない。ずっと背中を押してきたのに、急に引き留めるなんて。おかしいだろ」
「それはどうかしら? 本当は彼女も、引き留めて欲しいんじゃないの? 訊いた? イギリス行きが決まってから。『本当に行きたいのか、俺と一緒に居たいのか』って」
大輔は口を堅く閉じた。
彼女は少し前まで、恋愛に溺れているようなところがあった。
だから自分もわざとプロポーズをせずにいた。求婚したら「リーズ行きは諦めて、お嫁さんになる」と言い出しかねない雰囲気だった。
でも今の彼女は、夢を掴んだ彼女は違う。
新しい一歩を踏み出す彼女の隣に、俺の居場所はない。
満足するセックスも経験したし、もう俺は必要ないんだ。
口うるさく「実家に帰れ」と言うオッサンは、邪魔なだけなんだ。
「そんなこと彼女に訊いて、『行きたい』って即答されたら、立ち直れないでしょ」
鼻で笑いながら答える大輔に、恭子は憐れむような視線を流す。
「そんなふうに応える子なの? あなたの好きになった子は。そうじゃないでしょ」
「……」
「大輔君。本当はもう、あなたの中で答えを出しちゃってるんじゃないの?」
「……」
「『行くな』とは言えない。でも行ったら今の関係を保つ自信がない。だから『もういいや』って思ってる。違う?」
大輔は唇を噛んで再び頭を下げた。
そうだ。
俺はもう答えを出している。
彼女とはもう終わりなんだと。
埋まらない年の差。
擦りあわない価値観。
拭いきれない不信感。
震えるような息を吐く大輔の肩を、恭子が両手で包んでくる。
「大輔君、もっと自分勝手になって良いんだよ。自分の人生なんだから。我慢しなくていいんだよ」
「……無理だよ。もう子供じゃないんだ……もっと若かったら、そんな勇気もあったかもしれないけど、今はもう……」
恭子が声のトーンを上げながら掌に力を込める。
「若いとか年寄りとか、そんなの関係ないでしょ。言いたいことが言えないのが大人なの? 我慢するのが大人なの? 自分の気持ちを押し殺して、蓋をして。そんなの変でしょ、おかしいでしょ」
言下に恭子の腰を引き寄せ、その身体を抱き締める大輔。
「……俺、もう嫌なんだ……四六時中、彼女のことが頭に浮かんで。仕事が手につかなくて……こんな状態で、彼女がリーズに行ったら……」
声を裏返す嘗ての恋人。恭子はその背中を優しく撫でた。
「そんなに好きなんだ……馬鹿ね。『行くな』って一言が、言えないばっかりに……」
言葉を遮るように、大輔が強引に恭子の唇を奪う。
「だっ、大輔く……」
彼女の後頭部を手で支え、唇を押し付ける大輔。抵抗する恭子の舌を押しのけて、彼女の口内で舌を暴れさせる。
背中を逸らす恭子を力任せに抱き寄せ、オフホワイトのニットの上から放漫な胸を揉みしだく。
もう何もかも、忘れてしまいたい。
彼女と出会ったことも、愛し合ったことも。
喧嘩したことも、浮気されたことも。
全部。全部、記憶から消し去ってしまいたい。
暫く目を開けて拒否していた恭子だったが、諦観したように彼の唇を受け入れ始める。
その舌遣いは滑らかで凄艶で、嘗て彼女と紡いだ情事の日々を、大輔に想起させた。
両手で大輔の頬を包み、恭子はその瞳の中に大輔を映す。
「いいよ。私を抱いて吹っ切れるなら。協力してあげる」
「恭子さん……」
大輔が再び唇を重ねると、恭子は彼のダウンジャケットを脱がして床に落とした。キスを繰り返しながら、互いに競い合うように服を脱ぐ。
彼女に導かれるまま寝室に入り、既に裸になっている彼女と共にベッドに倒れ込んだ。
彼のボクサーパンツを剥がし、男性器をしゃぶる恭子。大輔は彼女の腰を掴み、強引に引き寄せる。
「俺にも、舐めさせて」
シックスナインでむさぼるように愛し合う二人。
恭子の性器は年齢相応に色素沈着しており、嘗ては対称に開いていた花弁も、片側だけ皺をよせてしぼんでいた。それは彼女の歴史そのもののようであり、大輔を大いに興奮させた。
「恭子さん、益々エロくなった……たまんない」
「ああっ、すごいっ……大輔君……ああ……」
絞り出すように呻く恭子。その桃色の粒を大輔が優しく吸い上げると、彼女は狂ったように喘ぎだした。
「だめぇえっ……!!」
襞の間から飛沫を上げると、恭子は身体を反らして震えるように息を吐いた。
肩で息をする彼女を見ながら、徐に大輔が起き上がる。
陰茎に手を添え、先端を彼女の口元に持っていく。
「俺のも気持ち良くしてよ」
「いっぱい、しゃぶってあげる」
ジュブジュブと音を鳴らしながら、恭子がフェラチオを始める。
彼女の短い髪は撫で甲斐はなかったが、恋人とは別の女性が性器を口にしている淫猥さに、大輔は頭が真っ白になった。
「あぁ、凄い……ヤバい」
唾を飲み込みながら呼吸すると、恭子は亀頭に舌を這わせながら妖艶に言った。
「……挿れて、欲しい」
彼女を抱き寄せて仰向けに寝かせ、脚の間に入る大輔。男根を襞の間に当てる。
「俺、持ってないんだけど……」
「いいよ、そのままで。もうできないから」
「……ごめん」
目を伏せて詫びる大輔に対し、刮目して応える。
「謝らないで。惨めになる」
「恭子さん……」
「そんな顔しないで。キスして」
彼女の中に押し入りながら、大輔はその唇に優しくキスをした。
「んっ……んんっ!」
鼻から息を吐きながら恭子が悶える。大輔は腰を回しながら彼女の中を味わった。
「んんっ、んっ……あっ、あああっ!!」
我慢できず唇を離した恭子が吠え、彼はその太腿を持ち上げて杭を打ち付ける。
両太腿を束ねて腰を動かすと、彼女は顎を上げて枕を逆手に掴んだ。
「大輔君っ、お願いっ、後ろから、突いて……」
「今でも、バックが好きなんだ」
「うん……お願いっ」
彼女を四つん這いにさせ、小麦色の尻の間に挿入すると、恭子は背骨が折れそうなほど反り返った。
「い、いいーっ!」
昔と変わらず情熱的な恭子に、大輔の情欲は最高潮に達した。彼女の腰を掴み、我を忘れて男根を出し入れさせる。
「あぁっ、ヤバい。ごめん恭子さん、イキそう……」
「良い、よ……出して……」
呆けた顔の恭子を再び仰向けにさせ、その足を自身の肩に担いで覆い被さる大輔。体重を乗せながらピストンさせると、彼女は上半身を左右にねじらせた。
「大輔君、そのまま出していいよっ……」
「ごめんっ……」
顎から汗を垂らしながら、きつく目を閉じる大輔。ベッドに手をついて腰を大きく振る。
「イっ、イクっ……あっ、あ……」
間もなくして彼は、恭子を抱えて呻くように叫んだ。
「明日香っ……!!」
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