少女は今夜、幸せな夢を見る ~若き王が予知の少女に贈る花~

新道 梨果子

文字の大きさ
19 / 38
第六章

1.運命

しおりを挟む
 ジャンティは、午後になっていきなり城内に飛び込んできた者があったと、報告を受けた。
 城の門番も、見知った顔に道を開けはしたが、その者の様子には面食らっているようだった。

「エグリーズさまが?」

 何ごとかと客室に向かう。エグリーズはそこに待機しているはずだった。
 部屋の扉を開けると、がっくりと肩を落として椅子に座り込むエグリーズがそこにいた。いつもの彼からは、想像もつかない姿だった。

「いかがなさいました。帰国されたのではなかったのですか? それとも、何か忘れ物でも? でしたらこちらからお届け致しましたが」

 近寄りながらそう矢継ぎ早に尋ねると、エグリーズはぱっと顔を上げた。

「私は、騙された」
「は?」

 時が時だけに、一瞬、リュシイのことを言っているのかと思った。
 やはり彼女は予言者ではなかった、と言っているのだろうかと。
 しかし、彼は違う人の名を挙げた。

「私は、父上に騙された」

 そう言って、長く深いため息をついたのだった。

          ◇

「帰れ」

 レディオスは王室に通されたエグリーズに、いきなりそう言い放った。

「つれないことを言うな」

 その言葉に堪える様子もなく、エグリーズは肩をすくめる。
 額に手を当て、ため息まじりにレディオスは言った。

「こちらも暇ではないのだ。だいたい、帰国はクラッセ王の意向だろう」
「やれやれ、それが親愛なる友人殿のお答えか。理由も聞いてはくれないのか」
「聞く気にもならん。どうせくだらぬ理由だろう」
「そう言わずに」

 エグリーズは来客用のソファに腰掛けると、手招きで友人を呼んだ。
 無視を決め込んでいたレディオスではあったが、しばらくして根負けしてしまう。

「手短に言え。そなたが長期滞在してくれたおかげで、本当に仕事が溜まっているのだ。それに今日は、教会に視察も兼ねて礼拝に行かねばならなかったのに、明日に延期だ」

 エグリーズが城内に飛び込んできたと聞いたジャンティが、慌てて教会に使者を出して、延期を申し出てしまったのだ。教会に向かった従者は、主教にぐちぐちと小言を聞かされたらしい。
 明日行けば、当然レディオスにも火の粉は降り掛かる。

「どうせ、教会になど行きたくなかったのだろう?」
「それはそうだが、こればかりは仕事だ。欠かすことはできない」
「それはすまなかった」

 本当に言葉の意味を知って使っているのかと思うほど、軽い口調でエグリーズは言った。
 レディオスも長年の付き合いで、そんなことには慣れていたが。

「で? こちらに舞い戻ってきたのはなぜなのだ」
「私は、父上に騙されたのだ」
「クラッセ王に?」

 レディオスの言葉に深くため息をついて、肩を落とす。
 その落胆振りたるや、今までの彼からはとても考えられないもので、さすがのレディオスも身を乗り出して耳を傾けた。

「授業が遅れているだの、王子としての面目だの、そんなことを言われて連れ戻されたが、父上は、本当はそんなことを心配していたのではなかった」
「ではどんな」
「王城に着いた途端、二人きりにされた」
「誰と」
「幼馴染だ。外務卿の娘の。前に少し言ったことがあっただろう」
「……ああ」

 リュシイの予知夢に出て来たという娘だ。
 それに思い至ると、レディオスは何度もうなずいた。

「父上はその娘と私を婚姻させたい意向だという。大臣の方も王族の血が入るのは願ったり叶ったりだろうからな、それはもう乗り気で。それで喜び勇んで、わざわざ自らが迎えに」
「帰れ」

 エグリーズが話し終わるのを待たずに言った。
 ジャンティがもし、エグリーズの話の内容を最初から知っていたら、教会への視察を延期するようなことはしなかっただろう。

 だが、ふと思いつく。どうも自分まで、リュシイの夢に毒されているのかもしれない。
 その幼馴染が運命の相手だと信じ込んでいる。よくない傾向だ。

「あ、いや、ちょっと待て。彼女のほうはどうなんだ? もし他に好いている男がいるとすれば、願ったり叶ったりかもしれない」
「……いや……ときどき、好いてくれているかも、と思うことは……」

 歯切れ悪く、そう言う。

「なんて趣味の悪い……」

 額に手を当てて、大きく息を吐きだした。

「おまえ、本当に私の友人か?」
「友人だからこそ言える。それとも、媚びへつらって欲しいか?」
「いや、気持ち悪い」
「それは良かった。とにかく、おまえ、幼馴染をほっぽりだしてきたのだろう。それはあまりに可哀想ではないか」

 レディオスの言葉にエグリーズは憮然として言う。

「では、私は可哀想ではないのか」
「当たり前だ。むしろなぜ可哀想と思えるのか不思議だ。わがまま王子に付き合っていられるか」

 そう言い捨てると、立ち上がり、自身の机に戻る。
 後を追うようにエグリーズが立ち上がり、レディオスが着席したのを見計らうと、どん、と片腕を机上についた。

「わがまま王子とは、言ってくれるね」
「何が違う?」
「私の気持ちは知っているではないか。私には意中の女性がいることを」
「……え?」

 しばらく考えを巡らせて、はた、と気付くとまじまじと友人の顔を眺めた。

「まさか、本気だったのか」
「私はいつでも本気だが?」

 そう言って、にこりともしない。

「しかし、断られたのではなかったか?」
「嫌なことを言う」

 そう言うと鼻に皺を寄せる。

「もう一度、彼女に求婚しようかと思うのだが」

 じっとレディオスの目を見て、言う。

「私に聞くな。勝手にすればいいだろう」
「では、勝手にする」

 言うが早いか、さっさと退室していってしまった。

「何というか……」

 誰もいなくなった王室で、レディオスは疲れ果てたようにため息をついたのだった。

          ◇

 ノックする音に気付きアリシアがそっと扉を開けると、そこには思いも寄らぬ顔があった。

「エグリーズさま!」

 その声に、椅子に腰掛けていたリュシイも立ち上がる。

「いかがなさいました、先日帰国されたばかりではありませんか」

 エグリーズは困惑するアリシアを完全に無視して素通りすると、リュシイの目前に立った。

「急に申し訳ない。どうしても、あなたに伝えたいことがあって」
「はい」

 おろおろするのはアリシアばかりだった。リュシイは落ち着いた様子で、エグリーズの言葉を待っている。

「前にも言ったが、私はあなたをクラッセに連れて帰りたい。どうだろう、一緒に来てもらえないだろうか」

 彼の言葉をどう受け止めたのか、リュシイはその新緑の色の瞳を伏せた。

「お一人でお帰りになった方がよろしいかと思います。あなたの運命のお相手は、一人で泣いておられます」

 そう言うと、口元をきゅっと結ぶ。
 エグリーズはしばらくそのまま彼女の前に立ち尽くしていたが、それ以上、彼女の口から何の言葉も紡がれないことを知ったのだろう。
「そうか」と短く言っただけだった。

「ちょっと待ってよ」

 その静寂をアリシアの声が破る。

「それはないのじゃない? 運命の相手とか、何かよくわからないけど、エグリーズさまは自分の気持ちを仰っているのじゃない。じゃあ、あなたはそれに応えるべきよ」

 急に飛び出した言葉にエグリーズも面食らったようで、慌てて「私はいいから」とアリシアを制したが、それに構わず続けた。

「真剣な言葉に対して、運命とか、そんな言葉で逃げるのは卑怯だと思うわ」

 言いたいことを言ってしまってすっきりすると、アリシアはふっと一つ息を吐いた。

「……ごめんなさい」

 対するリュシイは、目を伏せたまま、囁くように言った。悪戯を叱られた子供のようだった。

「あなたが謝るのは、私じゃないわ」
「いや、私はいいんだ」

 予想だにしていなかっただろう展開に困惑するエグリーズに向けて、リュシイは顔を上げた。

「私、エグリーズさまのことは好きです」

 リュシイの言葉に、二人はぴたりと動きを止めた。

「とても明るくていらっしゃるし、何度も助けていただきましたし。でも、それは……その、恋愛感情とか、そういったものではなくて、何と申し上げたらいいのかわからないのですけれど、えっと」
「うん」

 口ごもりながら懸命に自分の想いを伝えようとするリュシイの言葉に、エグリーズは耳を傾けている。

「だからその……ごめんなさい」
「よくわかった。ありがとう」

 エグリーズはそう言って微笑んだが、少女はさらに連ねた。

「それに」
「うん?」
「私に、逃げているのでしょう?」

 リュシイは彼を見上げ、そして小さく首を傾げて微笑んだ。
 エグリーズはその言葉に、固まった。そして口元に手をやると、しばらく少女のその微笑みを見続けていた。

「いや……え……、そう……か……?」
「ええ。私には、そう思えます」

 少女がうなずく。
 やり取りの意味はよくわからなかったが、エグリーズの動揺は、アリシアにも見て取れた。
 こんなにもうろたえている彼を見るのは初めてだ。いつも飄々としているのに。

「もう、逃げなくてもいいのでは?」
「……いや、逃げてなど……」
「本当に?」

 涼やかな少女の言葉に、エグリーズはしばらく考え込んだ。

「わからない……」
「わかるはずです。私の夢は、外れたことはないのですから」

 夢。では、この少女は、エグリーズの未来を知っていると言っているのだ。

「……わかった。よく、考えてみよう」
「ええ、大丈夫。エグリーズさまは、ちゃんと正しい道を選べます」

 そうして二人は微笑み合った。

 それをアリシアは呆然として眺めていた。このやりとりが、色恋沙汰のものとはどうしても思えなかった。
 今、新しい宗教ができたような気がして、ぞっとする。
 このリュシイという少女が何者なのか、改めて疑問に思った。

 エグリーズは一つ息を吐くと、アリシアのほうに振り返った。

「アリシアも、ありがとう。嬉しかった」

 妙に晴れ晴れとした表情だったから、少し、安堵する。本人が納得したなら、それでいいのかもしれない。
 彼はそのまま扉に向かい、ノブに手を掛ける。そこで立ち止まると、改めてアリシアの方へ振り返った。

「そういえば、我が友人殿は、約束を?」

 リュシイとの謁見を果たしたのか。
 アリシアが深くうなずくと、エグリーズは小さく微笑んだ。

「ならばよかった」

 そして、静かな部屋に、ドアの閉まる音が響いた。

「私、出過ぎたことを言ったのかも……」

 アリシアが誰に言うともなくそうつぶやくと、リュシイが答えた。

「いいえ、私が悪かったのですから、どうかお気になさらないで」

 顔を上げて声の主を見れば、彼女はなにか吹っ切ったような笑顔をアリシアに向けていた。
 思わず見惚れてしまう、笑みだった。その、薄桜色の唇が動く。

「謁見が許されたのは、エグリーズさまのおかげだったのですね」
「ええ、そうね」

 おかげというか何というか。賭けの末のことだったのだが。

「今言えばよかった。あの、感謝の気持ちを伝えて欲しいのですが」

 二人の短いやりとりで、全てを悟ってしまったのだろう。

「わかったわ。必ず、伝えるから」
「それと……、できれば私、陛下のお返事を伺いたいのです」
「えっ」
「それによって、次の行動を決めなければなりません。ここを出なければならないかもしれませんし」

 確かに、ずっとこの部屋にいても、彼女にできることなど何一つないだろう。
 いや、もしかしたら居心地が悪くなってしまったのか。

「ええと、それは、私がいらぬことを言ってしまったから? 気にしないで。私、いつも言い過ぎてしまうの」

 不安になってそう問うと、リュシイは首を横に振る。

「いいえ、アリシアさまのお言葉は嬉しかった。運命に縛られて生きてきた私が、初めて感情を言葉にすることを許された気がしました」
「運命に縛られる……」

 それは一体、どういう意味なのだろう?
 何か言うと安っぽくなる気がして、アリシアは口を閉ざした。

「お手数をお掛けして申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします」

 リュシイはそう言って、深く頭を下げた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

処理中です...