35 / 333
獣人の国
22 魔獣の住処/カイル(2)
しおりを挟む
◆登場人物紹介(既出のみ)
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。前世では冒険者Sランクの人間の剣士だった。
・カイル…リリアンの兄で、灰狼族の若き族長。銀の髪と尾を持つ。
・イリス…リリアンの姉で、三つ子の真ん中。銀の髪と尾を持つ。
・バスク…5色に光る羽根をもつ鳳凰。壮年の逞しい男性の姿になっている。圧がすごいらしい。
・シュティス…バスクの妻。細身の赤毛の女性の姿になっている。
====================
娘さんの匂いは道を逸れて、森の奥の方へ続いている。リリアンはバスクさんと話をしているので、僕だけが獣化して匂いを辿る事にした。
「娘さん、誰かと一緒みたいですね。詳しい話は聞いていないのですが、何かあったんですか??」
「ああ。昨日あの子が動物の仔を連れて来てな。また飼いたいとか言うんだろうと思って、親に返して来いと言ったのだ。そのまま出ていったから返しに行ったのかと思ったのだが、それきり帰ってこない」
え? 魔獣がペットを飼うって話なのか?
「それ、ちゃんと話を聞いてあげた方が良いんじゃないですか? 早く見つけてあげないとですね」
リリアンがそう言うと、バスクさんはああと気まずそうに答えた。
もうしばらく匂いを辿ると、周りはさらに大きな古い木々がそびえている光景に変わって来た。
木々の間から差す日が広く当たる場所近くに立派な老樹があり、その洞で翼を持つ赤毛の少女と金の耳を尾を持つ獣人の子供が眠っていた。あれは……
「金獅子族……」
僕の後ろでそう呟くリリアンの声に振り向くと、彼女はなぜか寂しそうな顔をした。
* * *
鳳凰の娘さんのティルダちゃんと獅子人の子供を連れて家に戻ると、シュティスさんとイリスはお昼御飯を作って待っていてくれた。
イリスはシュティスさんとかなり仲良くしてもらったそうで、今着けている可愛いエプロンもお借りしたらしい。
目を覚ました二人は昨日から何も食べていなかったようだ。シチューとパンをガツガツと音のしそうな勢いで食べ始めた。
ティルダちゃんは見た感じは僕らより五つ程年下くらいか。獅子人の子はまだ5歳にも満たないくらいに幼い。
僕らも昼食を頂いた。柔らかく煮込まれたシチューも、木の実が練り込んであるまだ温かいパンもとても美味しかった。
二人ともひとしきり腹が膨れると少しほっとした表情に変わっていた。
シュティスさんが入れてくれたお茶を飲み、一息ついたところで話を聞く事にした。バスクさんは、またティルダちゃんに圧をかけてしまいそうなので、一歩後ろに下がって話を聞いてもらう。
こういうのはイリスが得意だ。隣に座って優しく話しかけると、ティルダちゃんはぽつりぽつりと話し始めた。
普段からティルダちゃんは小鳥の姿になって山の周りで遊んでいるそうだ。
昨日もそんな感じでうろうろとしていると、偉そうな服を着た獣人たちが子供を抱えて山の麓に入るのを見かけた。様子を窺いながら後をついて行くと、その子供を放り出して剣で切りつけようとしていて、ティルダちゃんは咄嗟に大きな鳥の姿になって子供を拐って逃げてきたんだそうだ。
その子供が獅子人の仔、コニーくんだったという話だ。
「でも家に帰ったら、おとーさんは何も聞かないで親に返せって言うんだもん! でも返したらまたこの子どうなるかわからないじゃん!」
それでコニー君を連れて家出した。
うん、やっぱりそれは……バスクさんがいけないね……
皆の視線がバスクさんに集中すると、バスクさんは腕を組んだまま気まずそうに目線を逸らせた。
「う、うむ…… すまん……」
喧嘩相手のお父さんが探し回ってても、そりゃあ出て来るわけないよね。
次にコニー君の事情を聞く事になった。
やっぱり彼はあの金獅子城の子らしい。そして……
「僕が……『獣使い』を持って産まれなかったから…… 長の子供にふさわしくないって……」
コニー君がそう言うと、ティルダちゃんは彼の手をぎゅっと握った。
「……金獅子の長の一族は、特にプライドを重んじると聞いた事がある。それがこういう事か……」
大きなため息が出た。他の種族の事情だと頭ではわかってはいる。でも気分の良い話と思えないのは、リリアンの影響があるのだろう……
「たかがそんな事で主に頂いた命を無駄にしようとするとは……」
バスクさんは呆れ顔をしてそう吐き出すように言った。
そして、コニー君に向けて手をかざすと、その手から放たれた光は一瞬コニー君を包み込み、砕け散るように消えていった。
「これで良いだろう。もう君は家に帰れるはずだ」
「いったい何をしたんですか?」
「『獣使い』を与えた。我は主に仕える身だからな。このくらいの事は出来る」
……内心、ひどく驚いた。
『獣使い』の力は、神殿で『黒の森の王』から頂く事も出来るとは知っていたけど、まさか鳳凰の長にもそれを与える力があるとは……
リリアンの方をみると、彼女は別段驚いた様子はない。むしろさっきの話にまだ怒っているようだった。
「でも、一度自分を殺そうとした家族の元に帰れるの?」
そうリリアンにしては珍しく冷たい目をして、強く言い放った。
話し合いはなかなか纏まらなかった。
夫妻はそれでも一族の元に帰すべきだと言う。
ティルダちゃんは一緒に居たいと主張した。
そしてリリアンは、金獅子族の元に帰すのを強固に反対した。
当のコニー君は、「お母さんの所に帰りたい……」と、力なく言ってうな垂れた。
まだ独りで生きる道を決めるには幼すぎるのだろう。
城に戻るのは茨の道だと、リリアンは言う。確かに『獣使い』を得た事で、またすぐに殺される事はないだろう。
でも、長の一族としての居場所もないかもしれない。
でも本人が望むのなら、そうしてあげるのが一番だろうと思う。その結果が喜ばしい物ではなかったとしても。
「リリアン…… 僕に提案があるんだけど……」
そう話しかけると、リリアンの耳がぴくりと動いた。
・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。前世では冒険者Sランクの人間の剣士だった。
・カイル…リリアンの兄で、灰狼族の若き族長。銀の髪と尾を持つ。
・イリス…リリアンの姉で、三つ子の真ん中。銀の髪と尾を持つ。
・バスク…5色に光る羽根をもつ鳳凰。壮年の逞しい男性の姿になっている。圧がすごいらしい。
・シュティス…バスクの妻。細身の赤毛の女性の姿になっている。
====================
娘さんの匂いは道を逸れて、森の奥の方へ続いている。リリアンはバスクさんと話をしているので、僕だけが獣化して匂いを辿る事にした。
「娘さん、誰かと一緒みたいですね。詳しい話は聞いていないのですが、何かあったんですか??」
「ああ。昨日あの子が動物の仔を連れて来てな。また飼いたいとか言うんだろうと思って、親に返して来いと言ったのだ。そのまま出ていったから返しに行ったのかと思ったのだが、それきり帰ってこない」
え? 魔獣がペットを飼うって話なのか?
「それ、ちゃんと話を聞いてあげた方が良いんじゃないですか? 早く見つけてあげないとですね」
リリアンがそう言うと、バスクさんはああと気まずそうに答えた。
もうしばらく匂いを辿ると、周りはさらに大きな古い木々がそびえている光景に変わって来た。
木々の間から差す日が広く当たる場所近くに立派な老樹があり、その洞で翼を持つ赤毛の少女と金の耳を尾を持つ獣人の子供が眠っていた。あれは……
「金獅子族……」
僕の後ろでそう呟くリリアンの声に振り向くと、彼女はなぜか寂しそうな顔をした。
* * *
鳳凰の娘さんのティルダちゃんと獅子人の子供を連れて家に戻ると、シュティスさんとイリスはお昼御飯を作って待っていてくれた。
イリスはシュティスさんとかなり仲良くしてもらったそうで、今着けている可愛いエプロンもお借りしたらしい。
目を覚ました二人は昨日から何も食べていなかったようだ。シチューとパンをガツガツと音のしそうな勢いで食べ始めた。
ティルダちゃんは見た感じは僕らより五つ程年下くらいか。獅子人の子はまだ5歳にも満たないくらいに幼い。
僕らも昼食を頂いた。柔らかく煮込まれたシチューも、木の実が練り込んであるまだ温かいパンもとても美味しかった。
二人ともひとしきり腹が膨れると少しほっとした表情に変わっていた。
シュティスさんが入れてくれたお茶を飲み、一息ついたところで話を聞く事にした。バスクさんは、またティルダちゃんに圧をかけてしまいそうなので、一歩後ろに下がって話を聞いてもらう。
こういうのはイリスが得意だ。隣に座って優しく話しかけると、ティルダちゃんはぽつりぽつりと話し始めた。
普段からティルダちゃんは小鳥の姿になって山の周りで遊んでいるそうだ。
昨日もそんな感じでうろうろとしていると、偉そうな服を着た獣人たちが子供を抱えて山の麓に入るのを見かけた。様子を窺いながら後をついて行くと、その子供を放り出して剣で切りつけようとしていて、ティルダちゃんは咄嗟に大きな鳥の姿になって子供を拐って逃げてきたんだそうだ。
その子供が獅子人の仔、コニーくんだったという話だ。
「でも家に帰ったら、おとーさんは何も聞かないで親に返せって言うんだもん! でも返したらまたこの子どうなるかわからないじゃん!」
それでコニー君を連れて家出した。
うん、やっぱりそれは……バスクさんがいけないね……
皆の視線がバスクさんに集中すると、バスクさんは腕を組んだまま気まずそうに目線を逸らせた。
「う、うむ…… すまん……」
喧嘩相手のお父さんが探し回ってても、そりゃあ出て来るわけないよね。
次にコニー君の事情を聞く事になった。
やっぱり彼はあの金獅子城の子らしい。そして……
「僕が……『獣使い』を持って産まれなかったから…… 長の子供にふさわしくないって……」
コニー君がそう言うと、ティルダちゃんは彼の手をぎゅっと握った。
「……金獅子の長の一族は、特にプライドを重んじると聞いた事がある。それがこういう事か……」
大きなため息が出た。他の種族の事情だと頭ではわかってはいる。でも気分の良い話と思えないのは、リリアンの影響があるのだろう……
「たかがそんな事で主に頂いた命を無駄にしようとするとは……」
バスクさんは呆れ顔をしてそう吐き出すように言った。
そして、コニー君に向けて手をかざすと、その手から放たれた光は一瞬コニー君を包み込み、砕け散るように消えていった。
「これで良いだろう。もう君は家に帰れるはずだ」
「いったい何をしたんですか?」
「『獣使い』を与えた。我は主に仕える身だからな。このくらいの事は出来る」
……内心、ひどく驚いた。
『獣使い』の力は、神殿で『黒の森の王』から頂く事も出来るとは知っていたけど、まさか鳳凰の長にもそれを与える力があるとは……
リリアンの方をみると、彼女は別段驚いた様子はない。むしろさっきの話にまだ怒っているようだった。
「でも、一度自分を殺そうとした家族の元に帰れるの?」
そうリリアンにしては珍しく冷たい目をして、強く言い放った。
話し合いはなかなか纏まらなかった。
夫妻はそれでも一族の元に帰すべきだと言う。
ティルダちゃんは一緒に居たいと主張した。
そしてリリアンは、金獅子族の元に帰すのを強固に反対した。
当のコニー君は、「お母さんの所に帰りたい……」と、力なく言ってうな垂れた。
まだ独りで生きる道を決めるには幼すぎるのだろう。
城に戻るのは茨の道だと、リリアンは言う。確かに『獣使い』を得た事で、またすぐに殺される事はないだろう。
でも、長の一族としての居場所もないかもしれない。
でも本人が望むのなら、そうしてあげるのが一番だろうと思う。その結果が喜ばしい物ではなかったとしても。
「リリアン…… 僕に提案があるんだけど……」
そう話しかけると、リリアンの耳がぴくりと動いた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~
深山きらら
恋愛
王都の薬師ギルドで見習いとして働いていたアディは、先輩の陰謀により濡れ衣を着せられ追放される。絶望の中、辺境の森で魔獣に襲われた彼女を救ったのは、「氷の辺境伯」と呼ばれるルーファスだった。彼女の才能を見抜いたルーファスは、アディを専属薬師として雇用する。
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜
禅
恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。
だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。
自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。
しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で……
※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています
※完結まで毎日投稿します
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。
【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる