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第五十九話 家族
しおりを挟むその日の夜、私は自室であることに悩んでいた。
(どうした?何か悩んでいるのか、小僧)
(ああ、家族についてだ)
(家族?小僧には父親がいるだろ。そして、今でも愛している母親も)
(私の家族ではない。シェリルの家族の話だ)
(何故、そこで魔法使いの名前が出てくる?)
(カーシャにはリニ嬢が、エシアにはマーシア嬢が、ツーヤには叔父がいる。だが、シェリルだけは誰もいないのだ)
(確かにそうだな)
(私とシェリル達は婚約者の関係だ。だから、そろそろ結婚に関して考えるべきだと思うのだ)
(そうゆうことか。魔法使いだけ、結婚式の時に隣を歩く者がいないということか)
(そうだ。だから、悩んでいるのだ)
そんなことを話していると扉をノックされたのだ。
「ハーグ、僕だけど。まだ起きてる?」
「ああ、起きている」
「そっか。部屋に入っても良いかな?」
「勿論、大丈夫だ」
「ありがとう、ハーグ。じゃあ、遠慮なく入らせて貰うね」
そう言い、シェリルが部屋に入ってきたのだ。
入ってきたシェリルは部屋着だった。
「少し確認したいことがあって」
そこでシェリルは言葉を止めたのだ。
そして、私の顔を見てきた。
「ハーグ、何か悩んでる?」
私は思わず驚いてしまった。
「よく分かったな」
「当たり前だよ。だって、僕はハーグの幼馴染だからね」
そう言い、シェリルは嬉しそうな表情を浮かべていた。
「それで、ハーグが悩んでいるのは僕の家族のことだよね?」
更に当てられた私は驚きを露わにしてしまった。
「ハーグ。僕のことは気にしなくても大丈夫だよ。だって、カーシャ、エシア、ツーヤがいるから。勿論、ハーグもだよ」
「そうか」
私は思わず上を向いてしまった。
(やはり、小僧のような人間には集まるのな)
そんな言葉が頭に響いた後、ある魔法具が起動したのだ。
自然と視線はその魔法具の方に向けられた。
起動した魔法具は遠くの者と通信が出来る。
通信相手は父上だ。
「少し用事があって連絡したのだが、何かあったのか?」
父上に私は悩んでいたことを話した。
「家族か。なら、結婚式の時は私がシェリル嬢の隣を歩こう」
その言葉に私達は驚いてしまった。
「結婚式の時、私は暇だ。だから、シェリルの家族として歩もう。結婚すれば、義理の父親になるだから、何も問題ないはずだ」
確かにな。
結婚式の時は父上はエスコートなどはしない。
だから。
「父上。よろしくお願いします」
「僕からもお願いします」
「うむ、任せてくれ」
それから2人の用事を済ませた。
そして、私は自室に1人になったのだ。
1人になった私は酒を取り出し、夜空を見ながら飲み始めた。
漆黒の騎士と話しながら。
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