異物が無くなった世界は

竹桜

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第五話 なんのために

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 私の名前はクラーラ・ノウース。

 ノウース家の当主です。

 そんな私の元にこの国を救ってくれた異世界人の方がこの領地に来ることに決まった。

 最初は少し怖かったですけど、凪さんは凄く優しい方でした。

 いつしか私はそんな凪さんのことが私は好きになっていたんです。

 凪さんがどう思っているかは分からないですけど、いつかは伝えたいです。

 でも、伝える前に片付けたいことが多いんです。

 私はそれを片付ける為に動き始めた。

 凪さんが他の方と違うと証明するために。

 結果は実を結んだ。

 でも、私の力だけじゃなくて、凪さんの力も含まれている。

 凪さんは食料供給や農業の普及をしてくれていた。

 だから、革命軍の人達にも狙われ無かった。

 そんな凪さんは昔から本を書いている。

 何の本かと聞くと凪さんは農業の知識を纏めていると答えてくれた。

 そして、その本でこの世界の農業を発展させ、餓死者を無くしたいとも。

 ほ、本当に凪さんは。

 この時、私は更に凪さんのことが好きになった。

 それから、私は凪さんの立場を更に盤石するために食料支援を行うことにした。

 そのことを一生後悔し続けることになるとは知らずに。

 私は食料支援の指揮を取っていたけど、使用人が急いだ様子でやってきたのだ。

 使用人から聞いた話は血の気が引くような話だった。

 凪さんが王都に連行されたという。

 私は信頼がおける人に指揮を任せ、王都に向かったのだ。

 急いだ為、王都に到着は予定よりも早かった。

 その代わり、結構疲れてしまった。

 でも、そんなことはどうでもいい。

 早く凪さんの無事を確認したい。

 そんなことを思いながら、王都を進んでいると妙に人が集まっている人達を見つけたのだ。

 集まっている人達の先はを見て、私は思わず両手で口を抑えてしまった。

 だって、そこには残りの異世界人の方々が首吊りによって、処刑されていたからだ。

 私は鼓動がうるさい心臓を抑えながら、凪さんを探したけど、見つからなかった。

 な、なら、王城に行かないと。

 凪さんのことを連行したのは王立騎士団だから。

 そう考えた私は王城に向かっていたのだけど、煙が上がっていることに気が付いた。

 ま、まさか。

 そ、そんなことはないよな。

 うん。

 大丈夫。

 凪さんは生きてる。

 不安な心に私はそう言い聞かせた。

 そんなこんなしていると私は王城に到着したんだけど、やっぱり確認した方がいいと思った。

 なので、私は煙が上がっている場所に向かった。

 煙が上がっている場所には火葬するための魔法具が置かれていたのだ。

 でも、私が到着する頃には誰かが火葬された後だった。

 「そ、それは誰の遺骨なのですか?」

 「ノ、ノウース様?な、何故、ここに?」

 「もう一度聞きます。それは誰の遺骨ですか?」

 「こ、この遺骨はあ、愛鷹様のです」

 「えっ、う、嘘ですよね?」

 「嘘ではありません。愛鷹様の遺灰です」

 ああ。

 私は、私はまだ何も伝えられてないのに。

 私は震えながら、凪さんの遺灰に近寄った。

 本当に、本当に死んでしまってる。

 私はなんのために。

 これまでしてきたことが。

 私は凪さんと一緒にこれからを行きたかったから。

 今まで頑張ってきたのに。

 そう絶望していると遺灰以外の物を見つけたのだ。

 それは耐火の箱だった。

 これは凪さんの遺品?

 そう思い、私はその箱を手に取ってみた。

 そして、その箱を開けてみるとそこには青色の宝石が埋め込まれた指輪が2個入っていたのだ。
 
 この世界では告白する相手の瞳の色の宝石が埋め込まれた指輪を手に持ち、告白するのが普通。

 だから、凪さんは私のことが。

 ああ、私達は両想いだったのね。

 凪さん。

 私は身も心も貴方に捧げます。

 だから、この指輪を受け取って、貴方の妻になります。

 私は凪さんから結婚指輪を自身の右手の薬指につけた同時に国王陛下がやってきたのだ。

 「ノウース伯爵」

 「国王陛下。凪さんの遺灰とこの遺品は私が持ち帰ってもよろしいですか?」

 「構わない。どうか愛鷹殿を頼む」

 「お任せ下さい」

 私は凪さんの遺灰を集めた後、王都を後にしたのだ。

 もう何も用が無いから。

 
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