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第五十六話 決闘

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 リリア達に心配されたが問題無いと答えた。

 俺が魔法具を使用して、戦うのは効率的だからだ。

 そして、次の日になり、決闘が始まった。

 決闘場には多くの観客がいた。

 その中には、心配そうに俺を見ているリリア達もいた。

 リリア達の方に顔を向け、安心させるために微笑んだ。

 その光景を見ていた第1王子は舌打ちをしていた。

 審判が出て来て、決闘が開始した。

 第1王子は最初から果敢に攻めてきた。

 俺は回避と防御に徹した。

 一切反撃をせずに回避と防御を続けた。

 観客席は声援で包まれた。

 第1王子の声援で。

 だが、第1王子ははっきり言って期待外れだった。

 この程度の強さで自分のことを最強と言っていたのか。

 まさに井の中の蛙だな。

 現に俺は一歩も動いてないし。

 さて、こんな茶番劇は早く終わらすか。

 俺は攻撃してきた剣を剣で受け止めた。

 そのまま力任せに押し切った。

 すると、第1王子はステージの端まで転がった。

 第1王子は信じられないという表情を浮かべていた。

 これは何かの偶然だと思ったのか、また第1王子が攻撃して来たのだ。

 俺は先程と同じように第1王子をステージの端っこまで転がせた。

 第1王子は偶然では無いと思い、顔を真っ赤にしながら攻めて来た。

 俺は第1王子をただステージの端っこに吹き飛ばすのを繰り返した。

 この光景に観客はザワザワし出した。

 それを10分ぐらい繰り返すと、第1王子は剣を地面に立て、荒い息遣いをしている。

 「勘違いしているようですね。私が魔法具を使用し、戦うのは効率がいいからです。剣術もそれなりに出来ますよ。それに気が付いていないのですか?私はここから一歩も動いてませんよ」

 その言葉に気付いた第1王子は徐々に顔を赤くして、剣を上に上げ突撃して来たのだ。

 俺は慌てること無く剣を右側に構えた。

 第1王子が振り下ろす剣を右側から力任せに振った。

 すると、第1王子が持っていた剣は真っ二つに折れた。

 第1王子は折れた剣を捨て、拳を握って殴りかかってきた。

 剣の決闘なのに殴りかかってくるなんて。

 拳を握りしめている第1王子を剣の腹でステージの外に出した。

 ステージの外に出た第1王子は咳込んで、そのまま地面に倒れた。

 その光景見た観客達は何も言えず、固まってしまった。

 素行は悪いが、この国の中で1番強く有力の王候補が何も出来ずに倒されたのだ。

 そして、手も足も出ずに敗北したから仕方無いだろう。

 俺は試合が終わったので、礼儀として礼をした。

 リリア達から拍手が出た。

 その拍手はどんどん広がっていき、会場が拍手に包まれた。

 俺は未だに倒れている第1王子を少しだけ見てからステージを出た。
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