ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました

竹桜

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第四十一話 兄弟

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 私はその大きい熊を見て確信した。

 大きさは違うが、間違い無い。

 あの子熊は、あのジャイアントベアーは、あのキングベアーは、私の兄弟だ。

 約束を誓い別れたベーアだ。

 私は口笛を吹いた。
 
 ベーアはその口笛で私に気がつき、私の方に向かって走ってきた。

 そしてそのまま私を押し倒したきたのだ。

 「重くなったな、ベーア」

 ベーアは嬉しいのか私の頬を舌で舐めてきた。

 「く、くすぐったいぞ」

 私はベーアの頭を撫でた。

 ベーアは更に私の頬を舐めてきた。

 魔王殿は困惑した表情を浮かべていた。

 「な、何をしている?」

 「おっと、すまないな、魔王殿。屋根を破って降りてきたのは私の兄弟のベーアだ」

 私が自己紹介すると、ベーアは肯定するように鳴いた。

 「き、兄弟だと?S級の魔物が?」

 「疑問に思うのは仕方無いと思うが、ベーアとは7年ぐらい一緒に住んでいた。森の中で」

 「森の中だと?どういうことだ?」

 「私は森の中に捨てられたのだ。そこで、ベーアと出会い、一緒に暮らしていた」

 魔王殿は驚いた表情を浮かべていた。

 「改めて自己紹介をさせて貰おう」

 私は剣をしまい、右手を胸に置き、会釈した。

 「今の私の名はレーク・ベアード。ベアード子爵家の当主である。そして、元々は隣国の伯爵家の長男だった」

 「隣国の貴族の長男だと?そのままならば次期当主の筈なのに、何故森に追放されたのだ?」

 「それは私が1つの属性しか持っていなかったからだ」

 そう言い私はファイヤーを唱え、手に火を浮かべせた。

 「私に比べて弟は3属性の魔法を持って生まれてきた。元々の出身国は古い価値観が残っていた。魔法の属性が多いほど良いとされている。だから私は弟を当主にするために私は森に捨てられた」
 
 「まぁ、今となってはそれで良かったと思っているが。ベーアに、大切だと思う者達に出会えたからな。ベーアにも後で私の大切な者達を紹介する。楽しみにしておいてくれ」

 ベーアは嬉しそうに鳴いた。

 「それは誰が含まれているのだ?」

 「私の大切な婚約者のメスリー・ナスーリと私の大切な義妹のセーリ・ベアードだ。何故、魔王殿そんなことを聞くのだ?」

 「ただの確認だ。本当に愛しているのだな。これ程の男がまだいるとはな」

 魔王殿は愉快そうに何処か楽しそうに笑った。

 「さて、そろそろ始めようか、レーク殿とベアード殿」

 そう言い魔王殿は漆黒の剣を構えた。

 私とベーアも各々の武器を構えた。

 私はドラゴンの素材とA級以上の魔物の素材で作った剣を、ベーアは己の爪を。

 「我は運がいい。ドラゴン殺しとS級の魔物、しかもドラゴンと同じくらい強いキングベアーと戦えるからな」

 魔王殿は嬉しそうにニヤリと笑っていた。

 王座の間に静寂が訪れた。

 何も音が聞こえない。

 互いが互いを警戒し、動けない。

 まるで時が止まっているようだ。

 

 
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