40 / 61
第四十話 魔王と対峙
しおりを挟む王都を出てから2ヶ月が経った。
私達は苦難を共にせずに魔王城に到着した。
確かに苦難はあったが、その殆どは主人公がイベントを回収するために起こしたものだ。
主人公以外の勇者パーティーは嫌がなりながらもその苦難を乗り越えた。
そんな勇者パーティーには団結力はない。
まぁ、私と主人公以外は団結力がありそうだが。
私を含めた勇者パーティーはそんな状況の中魔王城に突入した。
魔王城には魔物が城の守備をしていた。
私と主人公は協力せず、魔物を倒していた。
私と主人公以外の勇者パーティーは協力して魔物を倒していた。
やっぱり、主人公は修行を殆どしてないようだ。
武器や魔法具でゴリ押ししているだけだ。
そして私と主人公以外の勇者パーティーはそれなりに強いがヒロイン達程ではないぞ。
もしかして、魔王討伐を高位貴族の子息達の名声を高めるために勇者パーティーに入れたのか?
今余計な考えるな。
戦闘中だぞ。
それなりに強い魔物はいたが、無事に倒し終わり、魔王城の中を進んだ。
魔王城の中を進んでいると、後ろから大きな足音が聞こえた。
後ろを振り向くと、S級の魔物が3体来ていたのだ。
「先に行ってくれ。ここは私が足止めとして残る」
私は剣を抜いた。
勇者パーティーの者達は驚いた表情を浮かべて、私の方を向いてきた。
「はっきり言おう。私は名声とかに興味は無い。ただ、婚約者と義妹の元に無事に帰りたいだけだ。手柄が欲しいならくれてやる」
それを聞いた勇者パーティーは前に向かって走り始めた。
私は3体を相手取り、少し時間が掛かったが倒すことができた。
倒し終えたら素材を回収せずに、勇者パーティーの後を追いかけた。
途中までは戦闘が聞こえていたが、あるところで聞こえなくなった。
何かあったのか?
疑問を抱きながら、走っていると王座の間の扉の前に到着した。
私は警戒をしながら扉を開けた。
王座の間の中に入ると、ゲームの中と同じ格好の魔王が王座に座っていた。
私以外の勇者パーティーは何処に行った?
「後1人いると思っていたが、まさかドラゴン殺しとは」
「魔王殿、私以外の勇者パーティーは何処に?」
「ドラゴン殺しを置いて転移石で逃げたぞ。我を倒せないと察して」
私は驚いたが、直ぐに落ち着きを取り戻し、剣を構えた。
「流石だ。ドラゴン殺し」
魔王は関心したような声を出した。
そして魔王は王座から立ち上がり、ゲームで言う第一形態の状態の漆黒な剣を魔法で作り出した。
漆黒の剣。
散々ゲームでは状態異常で苦しめられた。
だが、これはゲームではない。
私が転生した世界の現実だ。
だから傷つくし、死ぬことだってある。
「覚悟はいいか?ドラゴン殺し、いや、レーク・ベアード」
「勿論だ、魔王殿。貴殿こそ覚悟は?」
「言うではないか。それでこそだ」
魔王殿は愉快そうに笑った。
魔王殿の愉快そう笑い声が収まるとこの場に静寂が訪れた。
私は剣を構え、魔王殿も漆黒な剣を構えていた。
静寂を破ったのは轟音だった。
何処だ?
何処から音が鳴っている?
私と魔王殿は同時に気がついて上を向いた。
上か。
何度も聞こえる。
しかも速度が早くなっている。
やがて屋根にヒビが入り始めた。
ヒビは徐々に大きくなり、屋根が崩れた。
石が崩れる音と共に大きな何かが王座の間に飛び降りてきた。
屋根が崩れ、砂埃が立ち上がり、飛び降りてきた何かの姿を隠している。
飛び降りてきた何かは砂埃に隠されていたが10メートル以上の大きさがあると分かる。
やがて砂埃が晴れ、崩れた屋根から光が差し込み、飛び降りてきた何かの姿を照らし出した。
飛び降りてきたのは熊だった。
それはとても大きい熊だった。
応援ありがとうございます!
3
お気に入りに追加
398
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる