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第五十五話 結託した者達の末路
しおりを挟むその後、私は説明を受けた。
ベーアが神獣と呼ばれた理由を。
どうやら、ベーアが触って発した白い光が神獣の証みたいだ。
益獣の場合は緑色の光を発するようだ。
私が見たライオンの頭の人間は獣人の神として崇められている獣神みたいだ。
そして、神獣というのは、獣神が選んだ特別な魔物のようだ。
人に益を呼び、良き隣人となる魔物。
そして、神獣となった魔物には国を上げての1ヶ月に及ぶ儀式があるようだ。
ベーアはそれに参加するようだ。
説明を聞いた私はベーアのところに向かった。
ベーアは困惑したような表情を浮かべ、神官達に囲まれていた。
初めて見るなベーアのそんな表情。
そんなことを思っていると、懐に仕舞った魔法具が赤く光始めたのだ。
こ、この魔法具はメスリーとセーリに渡した魔法具が起動を知らせる物だ。
しかも赤色だ。
緊急事態を知らせる色。
私は動揺してしまった。
ベーアは鳴いた。
その鳴き声は行ってくれと聞こえた。
ベーアは私の動揺を見て、察してくれたようだ。
ありがとう、ベーア。
「直ぐに片付けてくる」
魔法袋から剣と軽鎧を取り出し、装備した。
続けて魔法袋から使い捨ての転移石を取り出し、砕いた。
砕くと私は自分の屋敷、いや、メスリーとセーリの前に転移した。
メスリーはセーリを守るように抱き締めていた。
「メスリー、セーリ。遅れて済まない、直ぐに片付ける」
「レーク」
「お兄様」
2人は安堵の表情を浮べた。
私は剣を抜いた。
そして襲撃者達の方を向いた。
「まさか、貴方方とは。早く死にたいようなら、お望み通りにしてやろう」
元勇者パーティーの者達だ。
今後の婚約も絶望で、勇者パーティーで全てを失った者達でもある。
どうやら、結託したようだ。
私が現れると何かを喚き始めた。
私が全てを奪った等など。
聞くのに値しないことだった。
殆ど逆恨みだった。
だが、リーダー的な役割をしていた公爵家の元長男が、言ってはならないことを言ってしまった。
「お前を倒して、後ろの女達を犯してやる。目の前でな。感謝しろよ、高貴な俺達に下級貴族の女が抱いて貰えることに。そして、後悔しろ。俺達よりも上に成り上がったことをな」
その言葉を聞いた瞬間、怒りが体を支配しようとした。
それはゴミと同じ時のように。
お、落ち着け、私よ。
こいつらは死んでもいい人間達だが、メスリーとセーリの前だ。
いや、人間ではない、屑だ。
ただの屑だ。
燃やすな。
名前も分からない魔法を使うな。
無力化するか。
「ハァ、聞いていれば胸糞悪いことを。魔王殿から逃げた貴方方が、魔王殿を倒した私に敵うことはないというのに」
私は剣を仕舞い、手を伸ばした。
「ファイヤードーム」
すると火のドームが現れ、屑達を閉じ込めた。
屑共は中から出ようと魔法で攻撃していたが、意味を為さなかった。
火のドームは燃えていくにつれて、中の空気を奪っていく。
少し時間が経ってからファイヤードームを解除すると、屑共は酸欠状態に陥っていた。
私は警備の者を呼び、捕縛させた。
魔力封じの手錠をつけ、街の衛兵達に引き渡した。
引き渡した後は後処理をするために、メスリーとセーリにはナスーリ子爵家の屋敷に向かって貰った。
その時に正門にいくと、門番が無力化されていた。
後で門番達は鍛え直すか。
あの屑共は腐っても勇者パーティーに選ばれた実力者達だから、首にはしないが、訓練は増やす。
私の留守の間はしっかりと守って欲しいからな。
その後、屑共は実家から縁を切られ、衛兵達に尋問された。
尋問で判明したことだが、メスリーとセーリをこの日に襲ったのは私とベーアがいなかったからだ。
その情報を知ったのは、屑共のリーダーだった元公爵家の長男の父親が話したみたいだ。
そのため、その公爵家は意図していなかったが襲撃に関与したので、伯爵家に落とされていた。
私は国王陛下に1つの許可を得た。
尋問後の後始末をすることを。
尋問を終えた私は拘束された屑共と一緒に使い捨ての転移石で修行先に向かった。
到着したら、拘束された屑共をある場所に蹴り落とした。
私が落としたのは穴だった。
直径3メートルがあり、高さが2メートルぐらいある穴だ。
その穴に落とされた屑共は何かを喚いていたが、何かが土を掘る音が聞こえると収まった。
屑共は拘束された体で1つに集まり、360度警戒していた。
その間、土はモゾモゾ動き続けている。
そして、出て来た。
数切れない程の泥色のネズミが。
私が屑共を落としたのはアンニィヴァラァスマウスの巣だ。
この魔物は雑食性のネズミで、食欲旺盛だ。
アンニィヴァラァマウスにとって拘束された屑共はいい食事になるだろう。
アンニィヴァラァスマウスは一斉に屑共に飛び掛かった。
そして齧り始めた。
屑共は最初の頃は仲間割れをしていたが、最後の方では私に命乞いをしていた。
私はそれを無視して、近くの石に座っていた。
1時間もすれば、大量な生物が土に潜る音が聞こえてきた。
その音が聞こえてから、巣の中を見に行くと何も残って無かった。
肉も骨も衣服さえも。
一切の食べ汚しが無かった。
良かったな、屑共が役に立てて。
魔物の餌になって、土にかえる。
自然の一部になれるんだ。
生き物として、正しい最後を迎えただけだ。
その時の仮定が少し違っただけだ。
さて、帰るか。
メスリーとセーリの元に。
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