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第四十六話 後処理
しおりを挟む体温を充分に感じた後、私は雫ちゃんと一緒にバースナ子爵家の屋敷まで移動する。
挨拶を終えると雫ちゃんはリリ達に連れていってしまったのだ。
どうやら、色々と聞きたいようだ。
だから、残ったのは私とバースナ子爵だけ。
「あの子が前世で仲良かったのか?」
「はい」
「そうか、良い子そうで良かった」
言わないとな。
バースナ子爵には。
「バースナ子爵。大事なことを伝えたいのですが」
「また、何かあるのか?」
バースナ子爵は疲れたような表情を浮かべていたのだ。
まぁ、そんな表情を浮かべてしまうよな。
色々とあったからな。
「実は勝手に婚約を結んでしまったのです」
「なんだ、そういったことか。それなら構わないぞ」
私は思わず啞然としてしまう。
啞然としている私にバースナ子爵は直ぐに賛成した訳を教えてくれる。
まず、雫ちゃんが私に好意を抱いているのはひと目で分かったみたいだ。
そして、雫ちゃんが異世界人というのも関係している。
雫ちゃんは被害者なのだが、あの異世界人がやらかした影響で、一括りにされる可能性が高い。
なので、保護という観点で私との婚約に賛成なのだ。
確かにな。
私の実力は世界に知られている。
それに、今回のことを解決した報奨と言えば、直ぐに受け入れられるだろう。
納得しているとノック無しに応接室の扉が開けられたのだ。
自然と私とバースナ子爵の視線は開けられた扉の方に向く。
そこには怒った様子のリリとノラがいたのだ。
そんな2人の後ろには手でごめんなさいとしている雫ちゃんがいたのだ。
「ど、どうゆうこと?クルス」
「どうゆうことですか?クルスさん」
「な、何のことだ?」
「「ちゃんづけのこと(です)」」
そ、そこを怒っているのか?
「あ、後は若い者達で」
バースナ子爵は応接室から退室してしまう。
ま、また逃げた。
出ていったバースナ子爵の方に視線を向けていたら、私はリリとノラに詰められる。
「ぼ、僕のことをちゃんづけて呼んで」
「わ、私もそう呼んで下さい」
「わ、分かった。リ、リリちゃん。ノ、ノラちゃん」
それを聞いたリリとノラは嬉しそうな表情を浮かべていたのだ。
その後、色々と話を聞いたが、どうやら私と雫ちゃんの婚約は賛成みたいだ。
あ、リリとノラが私の右手が斬り落とされたことを雫ちゃんに話したら、私はまた正座をさせられ、目が笑ってない満面の笑みを浮かべた雫ちゃんに説教される。
その日から1週間が経つ。
色々の後処理が終わったのだ。
まず、雫ちゃんの処遇は私の婚約者となったのだ。
被害者と私が報奨と望んだ為、そこは特に揉めることは無かった。
次に聖女は元の場所に戻る。
それと一緒に騎士達も帰還したのだ。
帰還する時に雫ちゃんは別れを惜しんでいたが、私との結婚式には必ず出席することを約束していたな。
最後は罪をおかした異世界人の処遇だ。
先に言っておこう。
毒杯を賜ることになった。
本当は極刑という声が多かったが、異世界人ということで恩情で毒杯と決まったのだ。
ちなみに、あの剣士に雫ちゃんを閉じ込めたことを聞くと自分の物にしたかったみたいだ。
昔から好意を抱いて、この世界だから監禁したようだ。
剣士は全てを粛々と受け入れたが、偽勇者と偽聖女は無駄な抵抗していたが、意味はなかった。
処刑場に移動した剣士は自ら毒杯を手に持っていたが、偽勇者と偽聖女は拘束され、無理矢理口を開けさせられる。
そして、異世界人達が毒杯を口につける前にいなくなったしまったのだ。
そう、突然消えたのだ。
何の音もなく。
偽勇者と偽聖女を拘束していた拘束具も残して。
それから必死の捜索を行ったが、何も見つからなかった。
まさか、死ぬような行為をすれば元の世界に戻れるのか?
それが本当だとしても雫ちゃんはそのその選択をしないだろう。
だって、あの世界には雫ちゃんの味方はいないのだから。
自分で言うのは少し自意識過剰かもしれないが、私だけが雫ちゃんの味方だった。
そう言えば、何故社長はあんな割に合わない仕事を受けたのだ?
まぁ、どうでもいいか。
死んだ結果、私はこの世界に転生し、リリとノラに出会い、雫ちゃんに再会したのだ。
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