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第二話 見捨てられる

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 僕が、住んでいる国は、平民でも教育を任意で、受けることが出来る。

 13になった子供は、王立学園に行き、4年間学ぶことが出来る。

 王立学園は、前期と後期に分かれ、その間に、長期休暇がある。

 教室は、貴族と平民で分かれ、クラスは、Aクラスから、Fクラスまである。

 僕は、冒険者になりたいため、王立学園に通うことにした。

 ちなみに、兄は、優秀だったらしく、飛び級して、2年で、卒業している。

 ちなみに、兄の天賦は、剣聖だ。

 兄は、自分の天賦が、剣聖だと知った時から、自身のことを選ばれた人間だと思い始めた。

 それが、原因で、僕と僕の両親は、兄と仲が悪くなった。

 兄は、今、スカウトされた隣国で、働いていること以外、殆ど知らない。

 兄のことは、もうどうでもいいや。

 僕は、期待を胸に、王立学園に入学した。

 だが、僕に待っていたのは、期待していた学園生活では無かった。

 僕は、落ちこぼれクラスになってしまった。

 特に素行も悪く無かったが、天賦とスキルの無さが、原因だった。

 落ちこぼれクラスは、何かと問題を抱えた者達しか居なかった。

 そんなクラスに僕は、馴染めなかった。

 時だけが過ぎ、1年目の前期が終わってしまった。

 前期と後期の間の長期休暇は、1ヶ月ぐらいしか無く、実家に帰ることが出来ない。

 帰ることは、一応出来るが、実家までは、馬車で、1週間ぐらい掛かるので、やめておいた方が良い。

 だから、僕は、王都で、冒険者ギルドに登録して、冒険者を始めた。

 本当は、パーティーを組みたかったが、また、天賦が、邪魔をした。

 仕方なく、僕は、ソロで、ダンジョンに潜った。

 結果は、そこまで良く無かった。

 長期休暇が、終わる頃に、何とか、駆け出し冒険者を卒業したぐらいだった。

 長期休暇中に、知識も蓄えていた。

 主に、魔物の情報や弱点などを本で、見て、知識として蓄えた。

 長期休暇も終わり、僕は、王立学園に、向かった。

 後期の初日は、王立学園の中にあるダンジョンに潜るんだ。

 この授業は、5人1組で、ダンジョンに潜るんだが、僕には、一切声が掛からなかった。

 また、天賦のせいだ。

 僕は、先生に無理矢理、4人だった場所に入れられた。

 そこは、最悪だった。

 クラスの中でも手がつけられない男子生徒達のグループだった。

 僕は、なるべく関わらないように、立ち回った。

 それから少しして、僕達は、ダンジョンの中に入った。

 ダンジョンの中に出てくる敵は、そこまで強く無かった。

 駆け出し冒険者が、ソロでクリア出来るぐらいの難易度だった。

 だが、その簡単さが、彼等を退屈にさせた。

 何を思ったのか、あの男子生徒達は、呼び寄せをばら撒き始めた。

 バカなのか。

 それは、魔物が、いない場所で、使うやつだ。

 こんな、ダンジョンの中で使うなんて。

 ダンジョンは、魔物が、無限に出てくる。

 いくら簡単なダンジョンでも、呼び寄せを使ったら、大量の魔物が出てくる。

 案の定、大量の魔物が、僕達の方にやってきた。

 あろうことか、あの男子生徒達は、僕に麻痺の魔法を掛け、逃げ出したのだ。

 僕は、あの男子生徒達に、囮にされ、見捨てられた。
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