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第三話 ヤケ糞

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 僕は、麻痺っている体に鞭を打ち、鞄から、麻痺消しを出した。

 僕は、麻痺消しを飲んだ。

 まだ少し麻痺が残っている体に喝を入れ、剣を抜いた。

 クソ。

 長期休暇中の1日分の金が飛んだし、大量の魔物が、やって来ている。

 今から、逃げても追いつかれるだけだ。

 ある程度数を減らしてから、逃げるか。

 僕は、近づいてくる魔物達に向かって、ファイヤーボールを唱えた。

 すると、30センチぐらいの火の玉が現れ、魔物達に向かって、飛んでいった。

 先頭集団を焼き尽くしたが、魔物は、直ぐにでもやってきた。

 僕は、近付いてきた魔物の首を剣で、落とした。

 次の魔物の首を落としながら、ファイヤーランスを唱えた。

 すると、4本のファイヤーランスが現れ、迫り来る魔物達を8体ぐらいの体を貫通し、その体を燃やした。

 その攻撃を掻い潜った魔物の首を剣で跳ねた。

 よし、このまま、倒して行けば、いずれ、逃げるチャンスが来るはずだ。

 それまで、耐えろ。

 だが、僕の考えは、甘かった。

 どれだけ倒しても魔物は、減らなかった。

 何なら、増えている。

 キ、キリがない。

 魔力も底をついているし、剣を振るのも鈍って来ている。

 このままでは、死ねだけだ。

 一か八かを掛けて、僕は、逃げ出した。

 魔物達は、僕を追いかけて来た。

 疲労が溜まった僕は、魔物達に、どんどん距離を詰められた。

 このままでは、追いつかれる。

 逃げている先に見つけた。

 部屋を。

 僕は、逃げるように、その部屋に入った。

 だが、それは、間違いだった。

 その部屋の中には、転移魔法陣があったのだ。

 転移魔法陣は、僕のことを光に包み、何処かに飛ばした。

 僕が、着いた場所は、扉の前だった。

 後ろを向くと、短い通路しか無く。

 しかも、その先は、壁だった。

 この構造見たことがあるぞ。

 ダンジョンにある隠しボス部屋だ。

 ここに来てしまったら、隠しボスを倒さなければ、生きて出ることが出来ない。

 だが、隠しボスは、強い。

 僕には、倒せないだろう。

 だが、ここにいても飢え死にするだけだ。

 僕は、覚悟を決め、隠しボス部屋の中に入った。

 隠しボス部屋の中には、オーガがいた。

 いや、オーガでは無い。

 オーガとは、肌の色も、体の大きさも、角の大きさも、持っている武器も違う。

 オーガの亜種か。

 本能で感じた。

 僕では、敵わないと。

 傷1つも付けられないと。

 僕は、絶望するしか無かった。

 オーガの亜種は、手に持っている武器を上に上げ、僕に向かって、突撃して来た。

 ああ、もう、ヤケ糞だ。

 何かしないよりも何かした方が、まだ可能性がある。

 僕は、ヤケ糞に叫びながら、「食らえ、スキル擬人化」

 すると、隠しボス部屋の中は、眩しい光で、覆い尽くされた。

 僕は、手で、目を覆うことしか出来なかった。


 
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