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第四話 美少女の鬼人

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 眩しい光が、止んだ。

 僕は、顔から手を退かし、前を見た。

 オーガの亜種は、居なくなっていた。

 だが、その代わりに、銀色の髪を腰まで伸ばし、赤色、いや、緋色の瞳を持つ美少女がいた。

 そして、その美少女は、遥か東の国の服を着ていた。

 腰には、剣に似た何かを2本携えていた。

 片方は、長く、片方は、短かった。

 ただ、1つだけわかる。

 その美少女が、人間ではないことが。

 その美少女の額からは、2本の角が生えていた。

 その角は、鬼の角に似ていた。

 まるで、オーガが、人化したみたいだった。

 その美少女は、いきなり、僕の前に膝をついた。

 「初めまして、我が主」と、美少女の凛々しい声が聞こえてきた。

 我が主?

 僕は、周りを見渡した。

 もちろん、僕以外、この場には、誰も居なかった。

 「え、えっと、我が主って、僕?」と、自分を指差しながら、聞いた。

 「はい、そうでございます」と、美少女は、何の迷いも無く、答えてきた。

 ど、どうゆうことだ?

 僕が、我が主?

 何でだ?

 僕は、彼女のことを一切知らない。

 「そ、そうなんだ。そう言えば、君の名前は?」と、少し困惑しながら、聞いた。

 「私には、名前がありません」と、美少女が、答えてくれた。

 「もし、宜しければ、我が主が、つけて下さいませんか?」と、美少女が、聞いてきた。

 な、名前を、僕が。

 人に名前付けるなんて、出来ないよ。

 でも、考えなけば。

 僕が、考えていると、何故か、1つの単語が頭に浮かんだ。

 「君の名前は、緋月だ」と、答えた。
 
 この言葉は、遥か東の国の単語が書かれている本の中に書かれている文字から、取った。

 彼女の髪は、月のように美しく、瞳が、緋色だから、この名前にした。

 「緋月ですか。良い名前をありがとうございます。我が主の名前を聞いても?」と、緋月が、聞いてきた。

 「あ、僕は、エレン・リーマー。我が主じゃなく、エレンって、呼んで」と、答えた。

 緋月は、「分かりました。これからは、主様と呼ばさせていただきます」

 僕は、「えっ、呼ぶ捨てでも良いんだよ」

 緋月は、「それは、出来ません。私の主様ですから」

 「今更、聞くけど、君は、何で、僕のことを主様と呼ぶの?」と、聞いた。

 「それは、主様のスキルで、鬼人になったからです」と、緋月は、答えてくれた。

 「えっ、じゃあ、緋月は、元々は、あのオーガの亜種なの?」と、聞いた。

 「はい、そうで御座います。主様」と、緋月が、答えてくれた。

 まさか、僕の天賦が、魔物を人化させるものとは。

 しかもこんな美少女に。

 年は、僕と同じくらいだな。

 それにしても鬼人か。

 確か、鬼人は、遥か東の国の方に住んでいると言われている亜人種だったはず。

 取り敢えず、今は、ここから、出るか。

 後で、色々と話そう。

 

 

 

 
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