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第三十七話 緋月がいない日
しおりを挟むまた、学園長に呼ばれた。
緋月と一緒に。
学園長室に着くと、呼ばれた理由を聞くことが出来た。
それは、緋月が、王城に呼ばれているということだった。
どうやら、緋月が、ダンジョンを踏破したのが、呼ばれた理由らしい。
そして、緋月は、踏破者となった。
踏破者というのは、ダンジョンを全て踏破した人のことだ。
小さいダンジョンの踏破者は、少数ながらいるらしいが、100階層もある大きいダンジョンの踏破者は、緋月が、初めてらしい。
それに、大体の踏破者は、パーティーを組んでいるが、緋月は、1人で、踏破者になった。
そのため、緋月は、話を聞くために、王城に呼ばれたのだ。
だが、緋月は、行きたくないみたいだった。
緋月が、100階層まで、クリアしたのは、僕のことを驚かせたかっただけらしい。
それと、僕の側を離れるので、護衛が出来ないなどを挙げていた?
僕は、「緋月、王城に行ってきな」
緋月が、「で、ですが、主様。主様に、何かあったら」
僕は、「大丈夫だよ。この王立学園は、安全だから」
「そうですよね?学園長」と、聞いた。
「ああ、エレン君の言う通りだ。この王立学園は、様々な生徒が通っている。なので、安全対策は、完璧だ。この王立学園にいる限り、エレン君の身が安全だということを保証する」と、学園長が、答えてくれた。
緋月が、「そ、それなら」
その後、僕達は、色々と打ち合わせをしてから、学園長室を後にした。
呼ばれたのが、授業が終わってからだったので、夕方になっていた。
僕は、緋月と一緒に、会話をしながら、女子寮に向かった。
会話をしていると、女子寮に着いた。
緋月におやすみと言い、男子寮に帰ろうとすると、緋月に、後ろから抱きつかれた。
「ひ、緋月、いきなり、どうしたの?」と、聞いた。
「い、いきなり抱きつくのは、ダ、ダメでしょうか?」と、緋月が、聞き返してきた。
「いや、ダメじゃないよ。少し驚いただけだよ」と、答えた。
緋月は、「で、では、少しだけ、このままでいたいです」
僕は、「もちろん、いいよ」
そう答えると、緋月は、更に僕に抱きついてきた。
多分だが、緋月は、恥ずかしいのだろう。
僕には、見れないが、緋月の顔は、赤くなっているだろう。
そのまま状態で、5分ぐらい経つと、抱きつきが解かれた。
僕の後ろから、「あ、主様、お休みなさい」
その声が、聞こえた後に、足音が、聞こえた。
僕が、後ろに振り返ると、緋月の姿は、無かった。
やっぱり、恥ずかしがっていたのか。
可愛いなと思いながら、僕は、寮に帰った。
夜が明け、朝になった。
緋月は、朝早くに、学園長と一緒に、王城に向かうことになっている。
緋月を迎えに行き、一緒に、王立学園の入り口に向かった。
着いた時には、馬車が、既に待機していた。
学園長に挨拶してから、緋月は、馬車に乗り込んだ。
緋月が、少し心配そうな表情を浮かべ、「主様、気をつけて下さい」
僕は、安心させるために、微笑んで、「大丈夫だよ、緋月。緋月も気をつけて」
僕は、学園長の方を向き、「学園長、緋月のことをよろしくお願いします」
「任せてくれ、エレン君」と、学園長は、返してくれた。
緋月と学園長を乗せた馬車は、王城に向けて、出発した。
緋月は、見えなくなるまで、手を振ってくれた。
僕も緋月が、見えなくなるまで、手を振り返し続けた。
馬車が、見えなくなったら、僕は、王立学園の中に入った。
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