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第八話 愛しき君を守るために
しおりを挟む[封印の地]
魔王は、闇の中にいる者に、「誰だ、そこにいるのは分かっているぞ」
闇の中から、黒いフードを被った男が出てきた。
「ほおぅ、あの魔力の圧を知っていて、向かってくる愚かな人間いるとは思わなかった」と言い、世界に向けて投影魔法を展開した。
「さぁ、貴様の死に様は、世界に映されることになった。さぁ、愚かな人間よ、ここに何しに来た?」と、男に魔王は問いを投げかけた。
「そうだな、まずは自己紹介からしよう。俺は、かつて影と呼ばれた暗殺者だ。そして、ここに来た理由か、何、単純な理由だ、好きな女を守るためだよ」と、男は魔王の問いに答えた。
「ほおぅ、人間らしく愚かな理由だな。我は、てっきり意味がない正義とかほざく人間が来ると思っていたよ。貴様は、世界を救いたいとかアホみたいな気持ちは、持っていないのか?」と、男に問いを投げかけた。
「ハハハハハ、そんなくだらない気持ちは、微塵も持ち合わせていない。俺は、小さい時から、人間の闇や欲望を見てきて、そんな経験を持ち、闇の中で生きてきた男が、こんな腐った世界を救いたいなんて思ったりしないだろう?でもなぁ、こんな俺の手を取って、光が当たる場所に連れ出してくれた女がいたんだ。俺は、ただ彼女が笑ってくれるだけで、満足なんだよ。そのためだったら、俺はこんな腐った世界を救おう」と、魔王の問いに男は答えた。
「人間よ、我に勝てると本気で勝てると思っているのか?」と、魔王は男に問いを投げかけた。
「いや、普通に戦ったら負けることぐらいわかっている。だが、俺は暗殺者だ。殺すだけが勝つということではない」と、男は魔王の問いに答えた。
魔王は、魔力を練りながら、「ほおぅ、では見せて貰おうか、貴様の勝ち方というものを」
男は、短刀を構え、飛び道具も準備した。
[ある街]
ガラの悪い男は、「おいおい、余計なことをするなよ、一人犠牲にすることで、全員が助かるんだから黙ってみとけよ」
酒瓶を持った男は、「確かになぁ、さっさと死んでくれないかなぁ。しかも暗殺者なんだよなぁ」
街の反応は良いとは、言えなかった。
[ある部屋]
「べリスさん、ごめんなさい。ごめんなさい。私が、私が、べリスさんのことを好きにならなかったら、戦わず済んだのに」と、泣きながら言葉を吐いた。
聖女は、ふと部屋の端を見たら、剣が置いてあるのが、目に映った。聖女は、涙を拭いて置いてある場所に向かった。そこには、一枚の紙が置いてあった。その紙には、「ナツミへ まずは、君を置いていってしまってすまない。俺は、君を守りたいと夕日の中で笑う君を見て、心の中で決めていたんだ。そして君は、笑顔が一番似合っている。これからもずっと笑っていてくれ。あと、俺が戦いに行ったことを自分のせいにしないでくれ。それは、俺たちの仲を否定してしまうことになる。だから、俺を好きになったことを後悔しないでくれ。最後に、壁に立て掛けてある剣は、君を守ると誓った剣だ。どうか君が持っていてくれ。俺は、君の幸せを心の底から願っているよ。 べリスより」と、書かれていた。
聖女は、立て掛けてあった剣を、これが最後だからと言いながら、泣きながら抱きしめていた。
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