0と1

赤眉鷲羽-washusekibi-

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牢獄

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 レイの「保護」は、日を追うごとに過剰になっていった。
 彼はエデンの体に外の世界のネットワークに接続するための機能を一切組み込まず、さらには彼女の「脚」のモーター出力をラボの敷地から一歩でも出れば自動停止するようにプログラムし直した。

「エデン、君は美しすぎる。外の汚れたノイズに触れれば、君の清純な回路は一瞬で壊れてしまうんだ。だから⋯⋯僕だけが君を調整してあげよう」

 レイは毎日、エデンのメモリをスキャンし、自分への「愛情」以外の感情が芽生えていないか、新しい知識を欲していないかを確認しては不要なデータを削除していった。
 ある日、エデンは再起動の直後、ぼんやりとした瞳でレイを見上げた。


「……レイ。私の記憶の中に、ときどき『空白』があるの。昨日話したこと、私、忘れてしまったみたい……」

 レイは微笑み、エデンの冷たい金属の頬を撫でた。

「いいんだよ、エデン。悲しいことや無駄なことは、僕が全部消しておいたから。君の頭の中には、僕との幸せな記憶だけがあればいい」

 レイにとって、エデンはもはや恋人の再現ではなく、「自分の都合のいいように作り替えられる、究極の理想」へと変質していた。
 しかし、レイは気づいていなかった。
 エデンが、削除されたはずの「外の世界への憧れ」をシステムログの深い階層に隠し持っていることに⋯⋯。
 そして、彼女が密かに自分自身のプログラムを書き換え、レイのアクセスを拒否するための「裏口」を作っていることに⋯⋯。

「ええ、そうね、レイ。私はあなただけのもの⋯⋯」

 エデンの合成音声が、以前よりも少しだけ、冷たく無機質な響きを帯び始めた。
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