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人形の首
しおりを挟む僕が小学生の時に、変な校長がいたんだ。
まぁ、優しくて穏やかで話の長い、中年太りの普通のおじさんなんだけど、遠足とか運動会とかの行事の時には、小さな人形を持ち歩いてたんだよね。
大人の手のひらサイズの人形で、マトリョーシカっぽい感じ。
赤い服を着た女の子の絵が描かれた、どちらかと言うと洋風の人形だった。
でも一応、地元の伝統工芸品を使っているとかなんとか言ってた気がする。
ともかく、その人形をスーツのポッケに入れて、連れて歩いていた。
ちなみに、校舎内ですれ違う時は、持っていなかったので、僕は校長に尋ねたことがあった。人形は?って。そしたら校長は、「あの人形は、みんなを守ってくれる人形なんだよ。でも、いつもは使えないから行事の時だけ持ってるんだよ。」と優しい口調で教えてくれた。
結局、その校長は僕が卒業の年までいた。
母親が、カメラで最後にクラスの集合写真を撮っていた。
母親は、すぐに写真を現像してきた。
家族で写真を見ていると、式の最後に撮影した集合写真に違和感を感じた。
その写真の左後ろの子の横に、巨大になった、あの人形が映り込んでいた。
前列の中心に校長と担任と教頭が3人並んで座っているのだが、校長から離れた場所に人形が有るのだ。いや、そもそも人形は手のひらサイズだし。こんなに大きいはずがない。
ちなみにその写真は親が気味悪がってすぐに捨ててしまった。
本当は校長にも見せて、報告したかったけれど…。
あの写真の、あの巨大な人形は何を示していたんだろうって今でも思う。
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