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私、結婚しないんで。

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 20××年。日本は、あまりにも深刻な少子化により、衰退の一途を辿っていた。

 この少子化問題を解決すべく導入されたのが、【抽選結婚制度】である。

 この制度は、独身の異性もしくは同性同士の結婚相手を抽選で決めてしまい、後に実子もしくは養子を2人で育ててもらおうじゃないか、という言うクソみたいな制度である。
 特に、私のように絶対結婚したくない人間にとっては。


 なぜ結婚したくないかって?


 単純に面倒なことをしたくないのだ。結婚している友達はみんな家事に育児に仕事に忙しく、せっかく集まっても夫の愚痴ばっかり話す。そんな友達たちを見ていると結婚って、こんなに大変であんまり幸せそうなものじゃないんだなって思う。幸せなら良いけれど、既婚者の人たちが正直あんまり幸せそうに見えない。



 そして、根本的に私が結婚できない理由は、過疎化の進んだ田舎のおばあちゃんちに住んでるから!!

 大学を卒業後、都会で就職したものの、人間関係に疲れた私は、九州の田舎のおばあちゃんちで、おばあちゃんと悠々自適に二人暮らししている。かれこれ5年も居候の身だ。
 周囲の異性といえば、おじいちゃんばっかり!街で唯一の24時間営業ではない、個人が経営しているコンビニでアルバイトしているけれどそこでも、おばさんとおじさんばっかり働いている。つまり、何が言いたいかと言うと、根本的に出会いが無いのだ。

 出会いがなければ結婚することなんてできない。


 そんなこんなで、私はいつの間にか30歳になろうとしていた。


 ある日、一通のハガキが家に届いた。

 ハガキには、1ヶ月後に抽選で結婚相手を決めるので、もしも既に結婚相手候補がいるのならば早急に結婚するように、と言う通知のハガキだった。

 そう、1ヶ月後は私の誕生日。ちょうど30歳で結婚相手が決まるのね…
 私は、不安で不安で、おばあちゃんに隠れて泣いてしまった。
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