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はじめてです

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この人となら、どうなってもいいって、何されてもいいって思った。

この数時間で、和馬さんのことが心の底から好きになっていた。
そりゃ、恋愛経験がないから、抽選結婚の対象者なんだけど。

過去にも人を好きになったことがあるから断言できる。好きになってしまった。愛しいと思っている。

私の同意を得た和馬さんは私を抱え上げて、ベッドに寝かせた。
和馬さんも。私の上に覆い被さってきた。



…いよいよ始まるんだ

初めての体験、緊張しているのが自分でもわかる。




和馬さんが私が着ていたワンピースのボタンを器用に外して脱がせて、私を下着姿にする。
そっとキスした後に、胸を優しく揉み始めた。
やばい…こんな初めての感覚。どうすれば良いか分からない。
ただただ、私には目を瞑っていることしかできなかった。


「力抜いてごらん。」


優しい声色で話しかけられる。いつの間にか力んでいたみたい。自分じゃ気が付かなかったけれど。
冷静に考えたら、緊張するに決まっている。
だって相手は、柏木和馬だよ?


私が、小中学生の頃いつもテレビに出ているのを見ていた。
目の前にテレビの人がいるだけでも緊張するのに、こんなことしているなんて。
恥ずかしいよ…。力抜くなんて無理に決まってる!!


私は、緊張を隠すように小さく深呼吸した。
自分の心臓のドクドクッといった感じの音が聞こえる。


耳元にフッと風が吹く。
和馬さんの息だ。

「目を開けてくれる?」

耳元で優しく呟かれた。

私は言われた通りに、目を開いた。

当然、私に覆い被さっている和馬さんと目が合った。

「もしかして、初めて?」

不意に尋ねたれて、うまく答えられなくって、恥ずかしくって…。
私は頷くことしかできなかった。

「そっか~。ちょっと嬉しいかもな。」

微笑む和馬さんの顔を直視できない。

「だから、力抜いてってば。緊張してるの?」

また、私は声が出せなくって頷くことしかできなかった。

深呼吸して、緊張を和らげようとする。
それでもまだ、心臓がバクバクしている。


背後に手を回されて、ブラのホックを器用に外される。

…和馬さんは、慣れてるよね。

これだけイケメンなら経験がない訳が無い。

そっと外されたブラジャー。あらわになる胸。
白くて長い指先で、右胸の先端を撫でられる。

その動きはやばいよ…。

快感に耐えることができず、身を捩った。

けれども、優しくキスも落とされて身動きが取れなくなってしまった。

気持ちよくって息が上がってしまう。

息を殺すけれど、耐えられない。
我慢できない。

他人から与えられる刺激が、こんなに気持ちがいいなんて。

私は、耐えられずに体を激しく波撃たせた。

体に電気が走ったみたいだ。

「逝っちゃった?」

いたずらっ子のような微笑みで、和馬さんはこちらを見下ろしていた。

「気持ちよかったです…」


小さな声で呟くと、「それはよかった。」と和馬さんは私の頭を撫でてくれた。



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