セイクリッター

アルバート

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第4話 VSインベラ隊

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ロデウスは持っていた白い大きな皮袋を道端に置いた。闘う準備ができたようだ。
「我々に手を出さなければ罪にはならなかったのに…貴様ら2人を逮捕する!」
インベラ隊員が叫んだ。
「は?2人?俺は無関係だ。」
アルバートが無実を証明しようとしたが、無意味だった。
「お前もこいつの仲間だろ!」
「かかれ!」
「捕まえろ!」
インベラ隊員達が口々に叫び、突撃してきた。
(仕方ねえか…)
アルバートは刀を中段に構えた。
「無心流…」
ロデウスがアルバートの前に立ち、両手を合わせて目を閉じた。そして次の瞬間カッと目を見開き、右手の拳を前に突き出した。
「…衝拳!」
武器を構えて切りかかってきていた15人ほどのインベラ隊員が吹っ飛んだ。
「くそ!」
走ってきた隊員達がたじろいだ。

次の瞬間、彼等は白目をむいて倒れた。そして、隊員達の後ろを刀を鞘に収めたアルバートが歩いていた。
「…峰打ちだ。心配するな。」
「なにが起こったんだ?」
どよどよっと見物していた人々がざわめいた。
(しかし、ロデウスがさっき使ってた無心流、どこかで聞いたことがあるような…)

「お前、一瞬で峰打ちするとはやっぱすげえな。」
ロデウスは少し笑った後、真剣な顔に戻り、アルバートを指差して言った。
「でも俺の獲物はとるなよ!」

「ハア、ハア…お前ら、残念だったな。今、この連絡用マホタンであの方を呼んだ。あの方は仲間を傷つけるのを決して許さぬお方。一生を牢獄で終えるがいい。」
インベラ隊の1人が地面に突っ伏して片手に連絡用マホタンを握ったまま言った。
連絡用マホタンとは、頭で念じた相手に、相手が連絡用マホタンを持っていれば通信し、会話できるものであった。これは普通のマホタンよりも安価なので、持っている人は多かった。

「あの方って誰だ?」
アルバートは近くにいた男に聞いた。
「インベラ隊一番隊隊長、ローリンス・ハーミリオンだ。君たち、逃げたほうがいい。ハーミリオン隊長はセイクリッターだからな。」
「??」
アルバートは背すじがゾッとなるのを感じた。以前に、アルバートはセイクリッターになったばかりの頃に他のセイクリッターと闘ったことがある。その時はボロ負けだった。アルバートは命からがら逃げ出したのだった。
(もし今回負けたら、一生牢獄暮らしだ。あの時のように相手が強かったらマズイ…)

「セイクリッター?やった~!セイクリッターと闘うの、夢だったん…」
「逃げるぞ!」
はしゃぐロデウスを、アルバートは少し焦ったようにせかした。ロデウスが不満そうに口を尖らせる。
「何でだよ?こんなチャンス、めったにないぜ。」
「世界一強くなりたいんだろ?強い男は、負けを悟ることができる男だ!!」
(こいつ、あの時のじっちゃんと同じことを…)
目を見開いて怒鳴ったアルバートを見て、ロデウスは決心した。
「わかった。逃げよう!」
「あ、街の出口はこの道をまっすぐに進んで、肉屋の角を右に曲がって走ればすぐだよ。」
「色々とありがとな!」
アルバートとロデウスは、男に教えてもらった道を必死に走り出した。…罠だとも知らずに。

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