4 / 5
第4話 VSインベラ隊
しおりを挟む
ロデウスは持っていた白い大きな皮袋を道端に置いた。闘う準備ができたようだ。
「我々に手を出さなければ罪にはならなかったのに…貴様ら2人を逮捕する!」
インベラ隊員が叫んだ。
「は?2人?俺は無関係だ。」
アルバートが無実を証明しようとしたが、無意味だった。
「お前もこいつの仲間だろ!」
「かかれ!」
「捕まえろ!」
インベラ隊員達が口々に叫び、突撃してきた。
(仕方ねえか…)
アルバートは刀を中段に構えた。
「無心流…」
ロデウスがアルバートの前に立ち、両手を合わせて目を閉じた。そして次の瞬間カッと目を見開き、右手の拳を前に突き出した。
「…衝拳!」
武器を構えて切りかかってきていた15人ほどのインベラ隊員が吹っ飛んだ。
「くそ!」
走ってきた隊員達がたじろいだ。
次の瞬間、彼等は白目をむいて倒れた。そして、隊員達の後ろを刀を鞘に収めたアルバートが歩いていた。
「…峰打ちだ。心配するな。」
「なにが起こったんだ?」
どよどよっと見物していた人々がざわめいた。
(しかし、ロデウスがさっき使ってた無心流、どこかで聞いたことがあるような…)
「お前、一瞬で峰打ちするとはやっぱすげえな。」
ロデウスは少し笑った後、真剣な顔に戻り、アルバートを指差して言った。
「でも俺の獲物はとるなよ!」
「ハア、ハア…お前ら、残念だったな。今、この連絡用マホタンであの方を呼んだ。あの方は仲間を傷つけるのを決して許さぬお方。一生を牢獄で終えるがいい。」
インベラ隊の1人が地面に突っ伏して片手に連絡用マホタンを握ったまま言った。
連絡用マホタンとは、頭で念じた相手に、相手が連絡用マホタンを持っていれば通信し、会話できるものであった。これは普通のマホタンよりも安価なので、持っている人は多かった。
「あの方って誰だ?」
アルバートは近くにいた男に聞いた。
「インベラ隊一番隊隊長、ローリンス・ハーミリオンだ。君たち、逃げたほうがいい。ハーミリオン隊長はセイクリッターだからな。」
「??」
アルバートは背すじがゾッとなるのを感じた。以前に、アルバートはセイクリッターになったばかりの頃に他のセイクリッターと闘ったことがある。その時はボロ負けだった。アルバートは命からがら逃げ出したのだった。
(もし今回負けたら、一生牢獄暮らしだ。あの時のように相手が強かったらマズイ…)
「セイクリッター?やった~!セイクリッターと闘うの、夢だったん…」
「逃げるぞ!」
はしゃぐロデウスを、アルバートは少し焦ったようにせかした。ロデウスが不満そうに口を尖らせる。
「何でだよ?こんなチャンス、めったにないぜ。」
「世界一強くなりたいんだろ?強い男は、負けを悟ることができる男だ!!」
(こいつ、あの時のじっちゃんと同じことを…)
目を見開いて怒鳴ったアルバートを見て、ロデウスは決心した。
「わかった。逃げよう!」
「あ、街の出口はこの道をまっすぐに進んで、肉屋の角を右に曲がって走ればすぐだよ。」
「色々とありがとな!」
アルバートとロデウスは、男に教えてもらった道を必死に走り出した。…罠だとも知らずに。
「我々に手を出さなければ罪にはならなかったのに…貴様ら2人を逮捕する!」
インベラ隊員が叫んだ。
「は?2人?俺は無関係だ。」
アルバートが無実を証明しようとしたが、無意味だった。
「お前もこいつの仲間だろ!」
「かかれ!」
「捕まえろ!」
インベラ隊員達が口々に叫び、突撃してきた。
(仕方ねえか…)
アルバートは刀を中段に構えた。
「無心流…」
ロデウスがアルバートの前に立ち、両手を合わせて目を閉じた。そして次の瞬間カッと目を見開き、右手の拳を前に突き出した。
「…衝拳!」
武器を構えて切りかかってきていた15人ほどのインベラ隊員が吹っ飛んだ。
「くそ!」
走ってきた隊員達がたじろいだ。
次の瞬間、彼等は白目をむいて倒れた。そして、隊員達の後ろを刀を鞘に収めたアルバートが歩いていた。
「…峰打ちだ。心配するな。」
「なにが起こったんだ?」
どよどよっと見物していた人々がざわめいた。
(しかし、ロデウスがさっき使ってた無心流、どこかで聞いたことがあるような…)
「お前、一瞬で峰打ちするとはやっぱすげえな。」
ロデウスは少し笑った後、真剣な顔に戻り、アルバートを指差して言った。
「でも俺の獲物はとるなよ!」
「ハア、ハア…お前ら、残念だったな。今、この連絡用マホタンであの方を呼んだ。あの方は仲間を傷つけるのを決して許さぬお方。一生を牢獄で終えるがいい。」
インベラ隊の1人が地面に突っ伏して片手に連絡用マホタンを握ったまま言った。
連絡用マホタンとは、頭で念じた相手に、相手が連絡用マホタンを持っていれば通信し、会話できるものであった。これは普通のマホタンよりも安価なので、持っている人は多かった。
「あの方って誰だ?」
アルバートは近くにいた男に聞いた。
「インベラ隊一番隊隊長、ローリンス・ハーミリオンだ。君たち、逃げたほうがいい。ハーミリオン隊長はセイクリッターだからな。」
「??」
アルバートは背すじがゾッとなるのを感じた。以前に、アルバートはセイクリッターになったばかりの頃に他のセイクリッターと闘ったことがある。その時はボロ負けだった。アルバートは命からがら逃げ出したのだった。
(もし今回負けたら、一生牢獄暮らしだ。あの時のように相手が強かったらマズイ…)
「セイクリッター?やった~!セイクリッターと闘うの、夢だったん…」
「逃げるぞ!」
はしゃぐロデウスを、アルバートは少し焦ったようにせかした。ロデウスが不満そうに口を尖らせる。
「何でだよ?こんなチャンス、めったにないぜ。」
「世界一強くなりたいんだろ?強い男は、負けを悟ることができる男だ!!」
(こいつ、あの時のじっちゃんと同じことを…)
目を見開いて怒鳴ったアルバートを見て、ロデウスは決心した。
「わかった。逃げよう!」
「あ、街の出口はこの道をまっすぐに進んで、肉屋の角を右に曲がって走ればすぐだよ。」
「色々とありがとな!」
アルバートとロデウスは、男に教えてもらった道を必死に走り出した。…罠だとも知らずに。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる