95 / 196
王女シェイラ=ミラージュ
無理解と衝突 封じてるみたいだけど、それでも怖い魔法発動
しおりを挟む
「おい、俺とお前の晩飯は、握り飯をみんなに配ってからだっ!」
シェイラの奴、どさくさに紛れて行列に並ぼうとしてやがる。
「えー? お腹空いたんだけどー? まだ待たなきゃいけないのー?」
全くこいつは……。
片手で十キロの袋を持ち上げるのに全く躊躇わなかったのに、なんで空腹を我慢できねぇんだ?
「あと四つのトレイの握り飯、全部配ったら晩飯作ってやってもいい」
「ぶー」
王女様がぶーなんて言うなよ……。
つか、国を背負ったら国民のために我慢しなきゃならんことがあるんじゃないのか?
大丈夫かよこの国……。
早く食いたいから手伝う。
間違いなくそんな思惑で動いたな。
なら手伝わせてやる。ただし……。
「んじゃお前、ここでな。俺はトレイ運んで列の途中から配るから」
「え……」
トレイ持って動くより、一か所にとどまって衆人環視の中で手伝わせた方が悪さもしないだろうよ。
で、おそらくそれを企んでたんだろうな。歯噛みしてやがる。
「お前が配るより俺が配った方が早く終わるだろうしな。早く食べたいんだろ?」
ま、俺はシェイラと違って思いやりの心があるからな。
お嬢様のお姫様なら、甘口でも食わせてやるか。
コルトが好きな激辛は流石に無理だろうからな。
※※※※※ ※※※※※
で、トレイ二つ目から配り、最後のトレイの分を配ってるわけだが……。
「コウジさん……」
「ん?」
握り飯を受け取って食ってる冒険者から声をかけられた。
「あのさ……言いづらいんだけど」
「あー、はっきり言ってくれ。俺も個人的には早く配り終わりたいからさ」
「いや……、うん、はっきり言おう。最初におにぎり受け取った連中、大喜びしてただろ?」
「あぁ。してたな。で?」
「……俺には今朝のとあまり変わらない感じがするんだ」
「え?」
まぁそりゃそうだろ。
特に何の工夫もしてないんだ。
「あ、誤解すんなよ? おにぎり自体まずいわけじゃないぞ?」
「分かってるよ、それくらい」
「そうか? 握り飯食って感動した奴の九割がたはもう部屋から出て行ったぜ? 体調万全だっつってな。俺は様子見だけどさ。無理すればあのダンジョンに戻れなくはない」
近寄って話しかけてきたのは、最初のトレイの分をショーケースの前で受け取った奴らしい。
「そこは無理すんな。けど、どれも同じように米は炊いたし……。何かあったんかな?」
「ま、まぁ何か偶然の産物みたいなもんじゃねえか? 羨ましいが、握り飯作った時に何か工夫でもしたのかなってな」
残念ながら心当たりはない。
もしあったなら、今後好評を得たやり方を採用するつもりだが……。
「あー……コウジさん? ちょっといいかな……」
別の奴から話しかけられた。
次から次へと用件がよく出てくるもんだ。
今度は何だ。
「あー……あのお嬢ちゃん、何者? 引き換えのアイテム置いたら『何? このゴミ』って言われて……」
俺もそんなことを言ったこともあったが……。
立場が違うよな……。
それに今では、テンシュさんのバックアップがあるからどんな物が置かれていっても有り難い。
「事情を説明して、一応理解できたみたいなんだが、それでも鼻で笑うようなことをされてな……」
「あー……うん。どっかの国の王女様なんだと。その母親から託された立場だから、一応言っとくわ」
「そ……そうなのか……。コウジさんも……出世したな」
何のだよ。
俺へのどうこうってのは俺が我慢すりゃそれでいいかもしれんが、こいつらにどうこうするのは筋が通らない。
文句があるくらいならやらなきゃいいんだ。
部屋に引っ込んでもらった方がまだましだ。
だがいきなり注意すると、プライドが高そうな王女サマはどう反応するやら……。
※※※※※ ※※※※※
で、元コルトの部屋。現シェイラの部屋での晩飯の時間。
食う前にきつく注意をした。
分かってたけどさ。
シェイラの反応、先が読めてたけどさ。
いきなり立ち上がって、座ってる俺を睨みながら見下ろしてさ。
何なんだよあの迫力。
本能で部屋から逃げ出したよ。
流しの前で米袋に蹴躓いた。
また何かの魔法ぶっ放す気だったんだな。
家の中に逃げ込もうかと思ったが、シェイラには見えなかったとしても、その戸が壊されでもしたらどうなるか分からない。
米袋が壁の役目になるか分からんが、他に身を守る物もないし。
頭隠して尻隠さずじゃないけども。
「私に向かっていい度胸してるじゃない!」
「おまっ! お前が悪いに決まってんだろっ!」
また両手から魔法を出そうとしたんだな。
閉じた瞼を透過するほど眩しい光がさく裂した。
けど、目は無事。
体も無事。
「……お前のかーちゃん言ってなかったか? 俺を困らすなってよ」
「……私に楯突くようなこと言うからでしょ?!」
「お前はいつまでもここにいるわけじゃねぇだろ! 俺はずっとここにいるんだぜ?! その俺の体に障害が残りそうなことすんじゃねぇよ!」
休んでる連中みんながこっちに注目してる。
助けようと思っても助けようがないんだろうな。
こいつのかーちゃんが来た時みたいに、その力量が分かったんだろうな。
俺には分からんからこうして反論できるんだろうが、もし俺にもそれが分かったんなら、怯えるだけしかできなかったろうな。
シェイラの奴、どさくさに紛れて行列に並ぼうとしてやがる。
「えー? お腹空いたんだけどー? まだ待たなきゃいけないのー?」
全くこいつは……。
片手で十キロの袋を持ち上げるのに全く躊躇わなかったのに、なんで空腹を我慢できねぇんだ?
「あと四つのトレイの握り飯、全部配ったら晩飯作ってやってもいい」
「ぶー」
王女様がぶーなんて言うなよ……。
つか、国を背負ったら国民のために我慢しなきゃならんことがあるんじゃないのか?
大丈夫かよこの国……。
早く食いたいから手伝う。
間違いなくそんな思惑で動いたな。
なら手伝わせてやる。ただし……。
「んじゃお前、ここでな。俺はトレイ運んで列の途中から配るから」
「え……」
トレイ持って動くより、一か所にとどまって衆人環視の中で手伝わせた方が悪さもしないだろうよ。
で、おそらくそれを企んでたんだろうな。歯噛みしてやがる。
「お前が配るより俺が配った方が早く終わるだろうしな。早く食べたいんだろ?」
ま、俺はシェイラと違って思いやりの心があるからな。
お嬢様のお姫様なら、甘口でも食わせてやるか。
コルトが好きな激辛は流石に無理だろうからな。
※※※※※ ※※※※※
で、トレイ二つ目から配り、最後のトレイの分を配ってるわけだが……。
「コウジさん……」
「ん?」
握り飯を受け取って食ってる冒険者から声をかけられた。
「あのさ……言いづらいんだけど」
「あー、はっきり言ってくれ。俺も個人的には早く配り終わりたいからさ」
「いや……、うん、はっきり言おう。最初におにぎり受け取った連中、大喜びしてただろ?」
「あぁ。してたな。で?」
「……俺には今朝のとあまり変わらない感じがするんだ」
「え?」
まぁそりゃそうだろ。
特に何の工夫もしてないんだ。
「あ、誤解すんなよ? おにぎり自体まずいわけじゃないぞ?」
「分かってるよ、それくらい」
「そうか? 握り飯食って感動した奴の九割がたはもう部屋から出て行ったぜ? 体調万全だっつってな。俺は様子見だけどさ。無理すればあのダンジョンに戻れなくはない」
近寄って話しかけてきたのは、最初のトレイの分をショーケースの前で受け取った奴らしい。
「そこは無理すんな。けど、どれも同じように米は炊いたし……。何かあったんかな?」
「ま、まぁ何か偶然の産物みたいなもんじゃねえか? 羨ましいが、握り飯作った時に何か工夫でもしたのかなってな」
残念ながら心当たりはない。
もしあったなら、今後好評を得たやり方を採用するつもりだが……。
「あー……コウジさん? ちょっといいかな……」
別の奴から話しかけられた。
次から次へと用件がよく出てくるもんだ。
今度は何だ。
「あー……あのお嬢ちゃん、何者? 引き換えのアイテム置いたら『何? このゴミ』って言われて……」
俺もそんなことを言ったこともあったが……。
立場が違うよな……。
それに今では、テンシュさんのバックアップがあるからどんな物が置かれていっても有り難い。
「事情を説明して、一応理解できたみたいなんだが、それでも鼻で笑うようなことをされてな……」
「あー……うん。どっかの国の王女様なんだと。その母親から託された立場だから、一応言っとくわ」
「そ……そうなのか……。コウジさんも……出世したな」
何のだよ。
俺へのどうこうってのは俺が我慢すりゃそれでいいかもしれんが、こいつらにどうこうするのは筋が通らない。
文句があるくらいならやらなきゃいいんだ。
部屋に引っ込んでもらった方がまだましだ。
だがいきなり注意すると、プライドが高そうな王女サマはどう反応するやら……。
※※※※※ ※※※※※
で、元コルトの部屋。現シェイラの部屋での晩飯の時間。
食う前にきつく注意をした。
分かってたけどさ。
シェイラの反応、先が読めてたけどさ。
いきなり立ち上がって、座ってる俺を睨みながら見下ろしてさ。
何なんだよあの迫力。
本能で部屋から逃げ出したよ。
流しの前で米袋に蹴躓いた。
また何かの魔法ぶっ放す気だったんだな。
家の中に逃げ込もうかと思ったが、シェイラには見えなかったとしても、その戸が壊されでもしたらどうなるか分からない。
米袋が壁の役目になるか分からんが、他に身を守る物もないし。
頭隠して尻隠さずじゃないけども。
「私に向かっていい度胸してるじゃない!」
「おまっ! お前が悪いに決まってんだろっ!」
また両手から魔法を出そうとしたんだな。
閉じた瞼を透過するほど眩しい光がさく裂した。
けど、目は無事。
体も無事。
「……お前のかーちゃん言ってなかったか? 俺を困らすなってよ」
「……私に楯突くようなこと言うからでしょ?!」
「お前はいつまでもここにいるわけじゃねぇだろ! 俺はずっとここにいるんだぜ?! その俺の体に障害が残りそうなことすんじゃねぇよ!」
休んでる連中みんながこっちに注目してる。
助けようと思っても助けようがないんだろうな。
こいつのかーちゃんが来た時みたいに、その力量が分かったんだろうな。
俺には分からんからこうして反論できるんだろうが、もし俺にもそれが分かったんなら、怯えるだけしかできなかったろうな。
1
あなたにおすすめの小説
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる