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王女シェイラ=ミラージュ
真・守銭奴への方針と……お前にフルネームあったの?!
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「コウジ……。何で自分から立場悪くするようなこと言うかなぁ」
何でシェイラが呆れるんだ。
俺なりに和ませようとしたつもりだぞ?
まぁこっちはこっちで、まだ残ってる握り飯を配る係だ。
そっちは介抱してやるんだろ?
後は任せる。
※※※※※ ※※※※※
握り飯の時間が終わった。
久々に一人で配ったって気がした。
で、そっちの方はどうなったかね?
「コウジ。やっぱり私の予想が当たったみたい」
ふーん。
あ、そう。
本音はそれだ。
「あの四人組とやらか? まぁ……分かって何よりだが……その後はどうするんだ?」
運ばれた男と双剣の男が暗い顔。
シェイラは歯噛みしている。
「何もできねぇのが分かったろ? 関心持っても、見惚れる容姿の持ち主が現れても、世界が違うと何もできゃしねぇんだ。その世界の者達同士で何とかするしかねぇんだよ」
夫婦喧嘩は犬も食わない、とはちょっと違うが、部外者が首を突っ込めることじゃないってこと。
俺ができることっつったら……。
「確かに異世界の者同士のトラブルに首を突っ込むことは難しい。けど、見逃せないこともある」
「この男がここから出た時に、また襲われる可能性が高いのがまずい」
双剣の男も意見を出してきた。
が、それがどうしたっての。
「相手は魔物や魔獣なんかじゃなく……冒険者達みたいなんだ」
人相手に致命傷を負ってここにやってきたって奴は初めてのような気がする。
間接的にはそんなことがあった奴もいた……あぁ、コルトがそうだったか。
スライムに襲われてきたって言ってたが、そう仕向けたのは同業の先輩達らしいからな。
だがそりゃ確かにまずかろうな。
同じ冒険者同士だから、知恵も回れば策もあるだろうし。
おまけにこっちは所持品もじり貧だろうしな。
「誰か、ここにいる者の中であいつらを懲らしめるのを手伝ってくれる奴は……」
双剣の男が部屋の中にいる冒険者達に呼びかけたが……無駄だろうな。
そいつが来た時に扉が開いたのを見ることができた奴じゃないと助太刀に行くことはできない。
そしてそいつが部屋に来た時に、双剣の男のように扉が開いたのを見た者はいない。
「こいつの世界から、こいつと違う場所から来た者に頼むしかねぇだろ? それまでどんだけ時間がかかるやら」
「コウジ! お前はどうしてそう冷たい言い方しかできないんだ?!」
そんなこと言われてもな。
手伝えるとしても、お前から蹴りを三発食らって脛が悲鳴上げてる奴のどこが頼りになるってんだ。
「コウジはもう当てにならん! 剣士っ! 私が力を貸すぞ! この者を傷つけた奴らを一刀両断にしてくれる!」
言うことはなかなか勇ましいが、十四才児だからなぁ。
「何、いざとなったらお母様の力を借りる! 問題ないぞ!」
おいこら待てや十四才児。
他人の脛を蹴り飛ばし、親の脛にはかじりつく。
どんなに脛に拘ってんだお前は!
いやそれよりもだ。
「おいこら待て待て王女サマよ。一国の代表引っ張り出して、異世界間の国際戦争引き起こす気か? 戦場はどこになると思ってんだお前は!」
「お前だって責任はあるだろうが!」
ねぇよ。
どんだけ短慮なんだよお前は。
「俺はここに来る奴に握り飯を渡してるだけだ。目的は健康並びに体力の回復。できるんなら金儲けしたいよ? でもあり得ねぇだろ?」
「熱弁を振るってるところを済まないんだが……」
双剣の剣士が割り込んできた。
お前も何か言ってやれ。
「王女様、とか言ってなかったか?」
話題、そこかよ。
「どこぞの世界のどこぞの国の王女様らしい。本人たちがそう名乗ってるから、俺はそう思ってるだけだが。事実はどう……」
「事実だ! 栄えあるフォーバー王国女王の第一子!」
自分で第一子って言っちゃうか。
「王位継承権第一位のシェイラ=ミラージュだ!」
フルネーム初めて聞いた。
覚えるつもりはないが。
「あーはいはい、ミラージュさんや。今はお前の話じゃなくてこの後こいつをどうするかってことだろ?」
「待ってくれ、コウジさん。一国の肩書を持つ者が出てくるとなると……強ち冗談とは言えなくなるのでは?」
戦争の話か?
まぁ、どうだろうな?
「どのみち、その守銭奴の黒幕がこっちに来てくれないとまずいんだろ? だったらその時が来るまで待つしかないんじゃないのか?」
こっちから出向くには人数……戦力が足りない。
ならば向こうから来てもらうしかないわけで。
待ちに徹するという俺の提案には、異論は出なかった。
何でシェイラが呆れるんだ。
俺なりに和ませようとしたつもりだぞ?
まぁこっちはこっちで、まだ残ってる握り飯を配る係だ。
そっちは介抱してやるんだろ?
後は任せる。
※※※※※ ※※※※※
握り飯の時間が終わった。
久々に一人で配ったって気がした。
で、そっちの方はどうなったかね?
「コウジ。やっぱり私の予想が当たったみたい」
ふーん。
あ、そう。
本音はそれだ。
「あの四人組とやらか? まぁ……分かって何よりだが……その後はどうするんだ?」
運ばれた男と双剣の男が暗い顔。
シェイラは歯噛みしている。
「何もできねぇのが分かったろ? 関心持っても、見惚れる容姿の持ち主が現れても、世界が違うと何もできゃしねぇんだ。その世界の者達同士で何とかするしかねぇんだよ」
夫婦喧嘩は犬も食わない、とはちょっと違うが、部外者が首を突っ込めることじゃないってこと。
俺ができることっつったら……。
「確かに異世界の者同士のトラブルに首を突っ込むことは難しい。けど、見逃せないこともある」
「この男がここから出た時に、また襲われる可能性が高いのがまずい」
双剣の男も意見を出してきた。
が、それがどうしたっての。
「相手は魔物や魔獣なんかじゃなく……冒険者達みたいなんだ」
人相手に致命傷を負ってここにやってきたって奴は初めてのような気がする。
間接的にはそんなことがあった奴もいた……あぁ、コルトがそうだったか。
スライムに襲われてきたって言ってたが、そう仕向けたのは同業の先輩達らしいからな。
だがそりゃ確かにまずかろうな。
同じ冒険者同士だから、知恵も回れば策もあるだろうし。
おまけにこっちは所持品もじり貧だろうしな。
「誰か、ここにいる者の中であいつらを懲らしめるのを手伝ってくれる奴は……」
双剣の男が部屋の中にいる冒険者達に呼びかけたが……無駄だろうな。
そいつが来た時に扉が開いたのを見ることができた奴じゃないと助太刀に行くことはできない。
そしてそいつが部屋に来た時に、双剣の男のように扉が開いたのを見た者はいない。
「こいつの世界から、こいつと違う場所から来た者に頼むしかねぇだろ? それまでどんだけ時間がかかるやら」
「コウジ! お前はどうしてそう冷たい言い方しかできないんだ?!」
そんなこと言われてもな。
手伝えるとしても、お前から蹴りを三発食らって脛が悲鳴上げてる奴のどこが頼りになるってんだ。
「コウジはもう当てにならん! 剣士っ! 私が力を貸すぞ! この者を傷つけた奴らを一刀両断にしてくれる!」
言うことはなかなか勇ましいが、十四才児だからなぁ。
「何、いざとなったらお母様の力を借りる! 問題ないぞ!」
おいこら待てや十四才児。
他人の脛を蹴り飛ばし、親の脛にはかじりつく。
どんなに脛に拘ってんだお前は!
いやそれよりもだ。
「おいこら待て待て王女サマよ。一国の代表引っ張り出して、異世界間の国際戦争引き起こす気か? 戦場はどこになると思ってんだお前は!」
「お前だって責任はあるだろうが!」
ねぇよ。
どんだけ短慮なんだよお前は。
「俺はここに来る奴に握り飯を渡してるだけだ。目的は健康並びに体力の回復。できるんなら金儲けしたいよ? でもあり得ねぇだろ?」
「熱弁を振るってるところを済まないんだが……」
双剣の剣士が割り込んできた。
お前も何か言ってやれ。
「王女様、とか言ってなかったか?」
話題、そこかよ。
「どこぞの世界のどこぞの国の王女様らしい。本人たちがそう名乗ってるから、俺はそう思ってるだけだが。事実はどう……」
「事実だ! 栄えあるフォーバー王国女王の第一子!」
自分で第一子って言っちゃうか。
「王位継承権第一位のシェイラ=ミラージュだ!」
フルネーム初めて聞いた。
覚えるつもりはないが。
「あーはいはい、ミラージュさんや。今はお前の話じゃなくてこの後こいつをどうするかってことだろ?」
「待ってくれ、コウジさん。一国の肩書を持つ者が出てくるとなると……強ち冗談とは言えなくなるのでは?」
戦争の話か?
まぁ、どうだろうな?
「どのみち、その守銭奴の黒幕がこっちに来てくれないとまずいんだろ? だったらその時が来るまで待つしかないんじゃないのか?」
こっちから出向くには人数……戦力が足りない。
ならば向こうから来てもらうしかないわけで。
待ちに徹するという俺の提案には、異論は出なかった。
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