117 / 196
王女シェイラ=ミラージュ
シェイラの手記:錬金術師見習い少年のアール君ってば
しおりを挟む
アール……って名前らしいんだけど。
錬金術師を目指してるらしくって、まだ見習いなんだって。
師匠らしい人からはもっと勉強しなさい、といつも言われてるみたい。
まぁ私もお母様から「社会勉強してきなさい」とは言われたけど……。
でも見習いでよかった。
もしもこの子が一人前だったら、正しいと思い込んでる自分の行動を押し通しただろうから。
そしたらコウジはきっと、おにぎり作りを放棄してただろうな。
とりあえず、昨日私も注意された、その目的について話し込んでみた。
「目的を変えず、最後までやり遂げるってことですね。つまり、あのおにぎりを作る目的よりも、僕の研究の目的を大事にするということで」
「違う」
そんなことしたらまた最初のご飯粒の話に戻っちゃうでしょうに。
……屋敷にいた頃は、一通りの勉強はそれなりに習った。
錬金術も、それなりに知識はある。
技術の腕前は、見習い程度は簡単に超えてると思うけど、専門業を目指す人にはかなわないとは思う。
けど、錬金術はなぜ存在するのか。
それくらいは分かる……けど、誰かに説明するのはちょっと難しいかも……。
「何のために錬金術っていうのがあるのかってこととかは勉強した?」
「えっと、そんなことよりも、やっぱり師匠みたいな偉大な錬金術師になれるように、その技術をもっと高めるべきと思いまして」
好きなことばかりをやらせてもらえてたっぽいかも。
「あちこち足を運んでいろんな物を見て回りなさいって言われました。この装備、ボロボロですけど、新品のを師匠が用意してくれたんですよね」
ほら。
やっぱり見聞を広めるようにってことじゃない。
「で、噂が聞こえてきまして」
「噂?」
「はい。なんか丸っぽい、白い塊の食べ物があるって聞きまして」
随分あやふやな噂ね。
「回復薬にしては効果が高いって」
考えてみれば、私はそういうことでここに来たんじゃなかったのよね。
「それで?」
「その場所の噂は、きけば聞くほど、伝説めいた話だなーとは思いましたが、助けてもらえるならどんな危険地帯でも問題ないかなって」
か、軽くない?
死んじゃうかもしれない場所に行くことになるっていうのに。
「……よくそんなところに行く気になれたわね」
「気ままな一人旅でしたからね。でもおにぎり……って言うんでしたっけ。研究のために持ち帰れないなんて、ちょっと残念ですね」
まだ懲りてないのかしら?
「でも収穫はありますよ。怪我や病気が治るまでの様子とかは見れますから」
「まさか一人一人にその状況聞いてまわってたりは……」
「またコウジさんに止められるとますます研究しづらいですから、遠目で観察するくらいですよ。でも長期滞在する方はおられないようなので、期待するほどの収穫はないですけどね」
「……私はコウジの手伝いをさせてもらえてるけど、あなたはそうじゃないんだから、他の冒険者とトラブルが起きても誰もかばってくれないからね?」
「はーい」
でも錬金術っていろんな物を作り出す術だと思うんだけど、ここで得る物といったらおにぎりの作り方だけじゃないの?
まぁ本人がいいって言うならいいんだろうけど……。
錬金術師を目指してるらしくって、まだ見習いなんだって。
師匠らしい人からはもっと勉強しなさい、といつも言われてるみたい。
まぁ私もお母様から「社会勉強してきなさい」とは言われたけど……。
でも見習いでよかった。
もしもこの子が一人前だったら、正しいと思い込んでる自分の行動を押し通しただろうから。
そしたらコウジはきっと、おにぎり作りを放棄してただろうな。
とりあえず、昨日私も注意された、その目的について話し込んでみた。
「目的を変えず、最後までやり遂げるってことですね。つまり、あのおにぎりを作る目的よりも、僕の研究の目的を大事にするということで」
「違う」
そんなことしたらまた最初のご飯粒の話に戻っちゃうでしょうに。
……屋敷にいた頃は、一通りの勉強はそれなりに習った。
錬金術も、それなりに知識はある。
技術の腕前は、見習い程度は簡単に超えてると思うけど、専門業を目指す人にはかなわないとは思う。
けど、錬金術はなぜ存在するのか。
それくらいは分かる……けど、誰かに説明するのはちょっと難しいかも……。
「何のために錬金術っていうのがあるのかってこととかは勉強した?」
「えっと、そんなことよりも、やっぱり師匠みたいな偉大な錬金術師になれるように、その技術をもっと高めるべきと思いまして」
好きなことばかりをやらせてもらえてたっぽいかも。
「あちこち足を運んでいろんな物を見て回りなさいって言われました。この装備、ボロボロですけど、新品のを師匠が用意してくれたんですよね」
ほら。
やっぱり見聞を広めるようにってことじゃない。
「で、噂が聞こえてきまして」
「噂?」
「はい。なんか丸っぽい、白い塊の食べ物があるって聞きまして」
随分あやふやな噂ね。
「回復薬にしては効果が高いって」
考えてみれば、私はそういうことでここに来たんじゃなかったのよね。
「それで?」
「その場所の噂は、きけば聞くほど、伝説めいた話だなーとは思いましたが、助けてもらえるならどんな危険地帯でも問題ないかなって」
か、軽くない?
死んじゃうかもしれない場所に行くことになるっていうのに。
「……よくそんなところに行く気になれたわね」
「気ままな一人旅でしたからね。でもおにぎり……って言うんでしたっけ。研究のために持ち帰れないなんて、ちょっと残念ですね」
まだ懲りてないのかしら?
「でも収穫はありますよ。怪我や病気が治るまでの様子とかは見れますから」
「まさか一人一人にその状況聞いてまわってたりは……」
「またコウジさんに止められるとますます研究しづらいですから、遠目で観察するくらいですよ。でも長期滞在する方はおられないようなので、期待するほどの収穫はないですけどね」
「……私はコウジの手伝いをさせてもらえてるけど、あなたはそうじゃないんだから、他の冒険者とトラブルが起きても誰もかばってくれないからね?」
「はーい」
でも錬金術っていろんな物を作り出す術だと思うんだけど、ここで得る物といったらおにぎりの作り方だけじゃないの?
まぁ本人がいいって言うならいいんだろうけど……。
1
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜
タナん
ファンタジー
オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。
その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。
モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。
温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。
それでも戦わなければならない。
それがこの世界における男だからだ。
湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。
そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。
挿絵:夢路ぽに様
https://www.pixiv.net/users/14840570
※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる