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シルフ族の療法司ショーア
女を泣かせた男 泣きながら「聖女」の称号を捨てたがった女
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「シュースって人馬族の女の子、いたろ?」
この男戦士、こいつはこいつで何をいきなり言い出すやら。
「あの娘も『フロンティア』に所属してたんだけど、あいつらがそうなる前に脱退してコルトの後を追いかけてったんだと」
何者か知らんが、お前に居座られた俺の気持ちも分っただろうよ、コルト。
「追い返された。当り前だよな。コルトの所属が所属なだけによ。けど、何やら言いつけられたらしくて、しばらくしたら公認の付き人してるらしい。もちろんコルトも納得の上でな」
だから俺が覚えてねぇ奴の話をされてもな。
「そう言えばそんな娘いたっけな。すっかり忘れてた。あの娘もおにぎり食べてたっけな。あの連中は……」
「食べてない。それを知った時、ひょっとしたらコウジのおにぎりって……って思ってな。それで調べてみたんだ」
……そいつはご苦労なこって。
だが俺の記憶にない、ここに来たことのある連中のことも話題に上がってきた。
それで盛り上がっていくと、もうこうなったら俺は蚊帳の外。
おかしいなぁ。
俺はこの部屋の主なのになぁ。
明日の予定を今日に変更するか。
もっともその予定はショーアと俺だけの、激辛カレーの話だが。
何、俺は時々いたたまれない気持ちになる時がある。
だから予定変更の買い出しにはちょうどいい。
「あいつらに総菜屋の握り飯、試しに食わせてみるかな。それで違いがなければ、俺に何かあるってことじゃないからな」
つっても、あいつら全員に握り飯を買う気はない。
これもショーアに実験台になってもらおう。
※※※※※ ※※※※※
で、夜の握り飯の時間が終わったわけだが。
総菜屋の握り飯は明朝食ってもらって、久々に激辛カレーを用意した。
「コウジの彼女だけかぁ」
「激辛は食ったことねぇなぁ」
だから食堂か何かじゃねぇっての。
何度言えば分かるんだこいつらは。
「ここで食っていいよ。俺らは別に気にしねぇから」
お前らは気にしないだろうが、注目されながら食う俺らの立場になれっての。
食レポの番組か何かじゃねぇんだぞ!
「匂いを手掛かりに、国に帰ったら再現してみたいからさ」
匂いだけでできるかよ。
俺だって、原材料から作ってみろって言われたってできねぇのに。
それはともかく、こいつらはショーアに何かを期待してるわけだ。
期待を無視したり裏切る性格じゃないショーア。
「……じゃあこちらで頂きます」
と、流しの横で俺と一緒に晩飯のカレーを食うことになった。
が、辛さのことは伝えていない。
一口目。
カレーを掬ったスプーンを口元に近づけると、そこで一瞬動きが止まった。
きつい匂いで気付いたか?
生唾を飲み込む音が隣にいても聞こえた。
ゆっくりと口を開け、その動きに合わせてスプーンを口の中に入れる。
そのまま少し固まっていたようだが、口を閉じるのは一瞬。
見開いた眼が宙を泳ぐ。
そして無言。
ショーアを見ている彼らも無言。
そんなこいつらを見ながら、ハフハフ言いながらせっせとカレーを口の中に入れる。
時々水を飲まなきゃ食ってられない。
「うぅ……」
ショーアが何かうめいている。
様子を伺うと、彼女が涙をにじませていた。
流石に激辛はやりすぎたかな、と自省していたら、猛烈な速さで食べ始めた。
辛党どころではない。
コルトと気が合うかもしれん。
「……コウジさん……」
皿の上は、まるで舐めて掬い取ったかと思われるほどきれいになっている。
もちろんそんなことはしていない。
すべて、スプーンで掬い取っていた。
「何だよ」
「……私、『聖女』の資格を失ってでも、これを求めます……。お代わりくださいっ!」
「ありません」
「え……」
今回はレトルト二袋しか買ってこなかった。
お代わりは当然ありません。
何か、問題でも?
……いや、こっち向いて恨めしそうに見ながら泣かれても。
「……意地悪……」
おいちょっと待て。
何だよ意地悪って。
サービスだろうが。
……実験でもあったけどさ。
「女を泣かせるって、男としちゃどうかと思うんだよな、俺」
「まったくだ。女を満足させてこそ男ってもんだろうが」
……お前ら……。
お前らはとっとと家に帰れ!
この男戦士、こいつはこいつで何をいきなり言い出すやら。
「あの娘も『フロンティア』に所属してたんだけど、あいつらがそうなる前に脱退してコルトの後を追いかけてったんだと」
何者か知らんが、お前に居座られた俺の気持ちも分っただろうよ、コルト。
「追い返された。当り前だよな。コルトの所属が所属なだけによ。けど、何やら言いつけられたらしくて、しばらくしたら公認の付き人してるらしい。もちろんコルトも納得の上でな」
だから俺が覚えてねぇ奴の話をされてもな。
「そう言えばそんな娘いたっけな。すっかり忘れてた。あの娘もおにぎり食べてたっけな。あの連中は……」
「食べてない。それを知った時、ひょっとしたらコウジのおにぎりって……って思ってな。それで調べてみたんだ」
……そいつはご苦労なこって。
だが俺の記憶にない、ここに来たことのある連中のことも話題に上がってきた。
それで盛り上がっていくと、もうこうなったら俺は蚊帳の外。
おかしいなぁ。
俺はこの部屋の主なのになぁ。
明日の予定を今日に変更するか。
もっともその予定はショーアと俺だけの、激辛カレーの話だが。
何、俺は時々いたたまれない気持ちになる時がある。
だから予定変更の買い出しにはちょうどいい。
「あいつらに総菜屋の握り飯、試しに食わせてみるかな。それで違いがなければ、俺に何かあるってことじゃないからな」
つっても、あいつら全員に握り飯を買う気はない。
これもショーアに実験台になってもらおう。
※※※※※ ※※※※※
で、夜の握り飯の時間が終わったわけだが。
総菜屋の握り飯は明朝食ってもらって、久々に激辛カレーを用意した。
「コウジの彼女だけかぁ」
「激辛は食ったことねぇなぁ」
だから食堂か何かじゃねぇっての。
何度言えば分かるんだこいつらは。
「ここで食っていいよ。俺らは別に気にしねぇから」
お前らは気にしないだろうが、注目されながら食う俺らの立場になれっての。
食レポの番組か何かじゃねぇんだぞ!
「匂いを手掛かりに、国に帰ったら再現してみたいからさ」
匂いだけでできるかよ。
俺だって、原材料から作ってみろって言われたってできねぇのに。
それはともかく、こいつらはショーアに何かを期待してるわけだ。
期待を無視したり裏切る性格じゃないショーア。
「……じゃあこちらで頂きます」
と、流しの横で俺と一緒に晩飯のカレーを食うことになった。
が、辛さのことは伝えていない。
一口目。
カレーを掬ったスプーンを口元に近づけると、そこで一瞬動きが止まった。
きつい匂いで気付いたか?
生唾を飲み込む音が隣にいても聞こえた。
ゆっくりと口を開け、その動きに合わせてスプーンを口の中に入れる。
そのまま少し固まっていたようだが、口を閉じるのは一瞬。
見開いた眼が宙を泳ぐ。
そして無言。
ショーアを見ている彼らも無言。
そんなこいつらを見ながら、ハフハフ言いながらせっせとカレーを口の中に入れる。
時々水を飲まなきゃ食ってられない。
「うぅ……」
ショーアが何かうめいている。
様子を伺うと、彼女が涙をにじませていた。
流石に激辛はやりすぎたかな、と自省していたら、猛烈な速さで食べ始めた。
辛党どころではない。
コルトと気が合うかもしれん。
「……コウジさん……」
皿の上は、まるで舐めて掬い取ったかと思われるほどきれいになっている。
もちろんそんなことはしていない。
すべて、スプーンで掬い取っていた。
「何だよ」
「……私、『聖女』の資格を失ってでも、これを求めます……。お代わりくださいっ!」
「ありません」
「え……」
今回はレトルト二袋しか買ってこなかった。
お代わりは当然ありません。
何か、問題でも?
……いや、こっち向いて恨めしそうに見ながら泣かれても。
「……意地悪……」
おいちょっと待て。
何だよ意地悪って。
サービスだろうが。
……実験でもあったけどさ。
「女を泣かせるって、男としちゃどうかと思うんだよな、俺」
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……お前ら……。
お前らはとっとと家に帰れ!
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