159 / 196
四人目の相棒は許嫁
してほしいことをやってくれる相棒ってのは有り難い
しおりを挟む
「お、お慕い申し上げます!」
一人目の女の言葉はそんな感じだったか。
それに対して俺が返した言葉は。
「あんた、誰」
人間っぽい感じだったが、人間とエルフのハーフの種族。
すぐさま彼女はこう答えた。
「リンメイと言います」
ガスコンロか何かのメーカー名に似てんな。
つか、名前じゃなく何者かを知りたかったんだが、こう聞けば名前を答えるよな。
それは俺の失敗だ。
「モテる男はつらいねぇ」
要救助者がやかましいわ!
俺をイライラさせる言葉を野次馬が言い放つ。
更に爆発させるのが。
「えっと、私、何をしたらいいですか?」
頼む気はねぇし、だからお前は何者なんだって話なんだよ!
曲者か?!
「うん、体力回復したら、すぐ自分の世界に帰ってくれ。な?」
これしか言いようがない。
そんなことしか言えないんだが、相手は聞いちゃいないんだな。
「あ、私がそれをしますね!」
米研ぎをしている彼女を押しのけて、その侵入者は自分の仕事にしようとする。
俺の世界の米がそっちの世界にあって、その調理の仕方とかも同じならば説明も無用かもしれないが、そうじゃなないなら一から説明しなきゃならんだろう。
米研ぎして終わりじゃない。
炊飯器の扱い方知らないだろ。
炊飯器壊した相棒もいたくらいだ。
「ちょ、おま」
「すいませーん、お姉さん、ちょっと失礼しま……あ?」
びくともしない。
押しかけて来たこのハーフエルフが押しのけようとした彼女は、重心が移動することもない。
「何か?」
にっこりとそいつに笑顔を向ける。
まるで、本当に何事もなかったように。
「わ、私がっ、しますのでっ、お姉さんはっ、隅ででもっ、お休みっ、くださいっ」
何度も力を込めて押しのけようとするが、彼女は今度は、何事も無いように米研ぎを続けてるという、実にシュールというか何と言うか。
「コウジさん。最近おにぎりを作るペースが上がってきているようです。三つの炊飯器はもう稼働してますが、念のためもう一台分米研ぎをしておきましょうか?」
ハーフエルフに押されている彼女は、完全無視で俺に話しかけてくる。
これは……無視していいのだろうか?
「あ、あぁ……。い、いや、二台分研いでもらおうか。俺達の晩飯の分も用意しときたいから」
「達……? あ、私の分もですか? お気遣いありがとうございます。分かりました。やっておきます」
ハーフエルフは彼女を押しのけようとすることは諦めて、こっちにすり寄ってきた。
「コ、コウジさん。わ、私の分も、ですよね?」
何でいきなり来た奴の飯も作ってやらにゃならんのだ。
というものがそっちの世界にあるのなら
とか考えてるうちに、すり寄るどころか体を押し付けてくるハーフエルフ。
色仕掛けで落とそうとか考えてるのか?
「あー……、こいつ、引きはがしてくんない?」
どんだけ押そうとしてもびくともしなかった彼女なら、まるで埃をつまんで取り除くようにすっと引っ張っていってくれるだろう。
と思ったら、まさに予想通り……というか……。
襟首掴んで持ち上げて、まるで猫を扱ってるような感じだ。
俺の服を握ってしがみつく手も、指先で一瞬で弾き飛ばした。
強ぇ! 強すぎる!
しかも服装にも髪の毛にも、その他いろんな所でも、一切乱れず。
「……で、どうしましょう?」
「……お、おう……。屋根裏部屋の方の扉の前にでも置いといて、仕事続けてくれ」
「はい」
「ちょ、ちょっと! 女性に向かって、扱いがあまりにひどいんじゃない?! こんなにお慕い申し上げてるってのに!」
何で上から目線なんだ?
まぁ持ち上げられて俺よりも目の位置が上にあるからなんだろうが。
「この人の素性は知ってる。けどお前は、名前は言うが何でここに来たのか分からん。ひょっとしたらどこぞのダンジョンに住みついてる魔王の手下で、俺を暗殺しに来たかもしれない可能性も無きにしも非ず……」
妄想レベルだけどな。
「こ、この人だってそうでしょう?! どんな人か、隅から隅まで分かるっての?!」
なんだこいつ?
慕い申し上げる相手に言う口調か?
「分かるわけがない。夫婦の間柄だって、お互い分からない部分があるとも聞くしな。ただ、俺はこいつを信頼できる。それだけのこと。名前を知ってるだけじゃ信頼できる間柄にはなれないんだよ。大体仕事の邪魔ばかりしてるじゃねぇか。有名人とお近づきになりたがる夢見る少女かよ、お前は」
「コウジさん。あまりしつこいなら……穢れ仕事も厭いませんが……」
待て待て待て。
流石にそれはちょっとアレだぞ?
そんなことさせられないだろ。
「ヒ……ヒイィっ!」
ハーフエルフがなんか、逃げてった。
屋根裏部屋から、逃げてった。
なんなんだ、このアクシデント。
「コウジ、散々だったな」
こういう時は遠巻きに眺めてるだけの来訪者達。
世話になってる自覚があるなら、窘めるとかしろよな。
「きっとあれ目当てなんだろ」
「あれ?」
店との出入り口の上、各異世界のトップからもらった感謝状だか表彰状を飾っている。
数えきれない冒険者達の命を救ってくれた、ということで。
「こんな数多くの勲章をもらった男の妻になるってことで、自分に箔をつけたかったんだろうさ」
やれやれだ。
それ狙いで異性が寄ってくるとあっちゃ、それらは迷惑この上ない物体でしかない。
とにかくだ。
仕事は続けなきゃならん。
「……あー……米研ぎの続き、頼むわ」
「はい、喜んで」
こいつの笑顔、何か癒されるんだけど。
それもやはり、余計なことは何も言わないから、だと思う。
まさに、沈黙は金、だよな、うん。
一人目の女の言葉はそんな感じだったか。
それに対して俺が返した言葉は。
「あんた、誰」
人間っぽい感じだったが、人間とエルフのハーフの種族。
すぐさま彼女はこう答えた。
「リンメイと言います」
ガスコンロか何かのメーカー名に似てんな。
つか、名前じゃなく何者かを知りたかったんだが、こう聞けば名前を答えるよな。
それは俺の失敗だ。
「モテる男はつらいねぇ」
要救助者がやかましいわ!
俺をイライラさせる言葉を野次馬が言い放つ。
更に爆発させるのが。
「えっと、私、何をしたらいいですか?」
頼む気はねぇし、だからお前は何者なんだって話なんだよ!
曲者か?!
「うん、体力回復したら、すぐ自分の世界に帰ってくれ。な?」
これしか言いようがない。
そんなことしか言えないんだが、相手は聞いちゃいないんだな。
「あ、私がそれをしますね!」
米研ぎをしている彼女を押しのけて、その侵入者は自分の仕事にしようとする。
俺の世界の米がそっちの世界にあって、その調理の仕方とかも同じならば説明も無用かもしれないが、そうじゃなないなら一から説明しなきゃならんだろう。
米研ぎして終わりじゃない。
炊飯器の扱い方知らないだろ。
炊飯器壊した相棒もいたくらいだ。
「ちょ、おま」
「すいませーん、お姉さん、ちょっと失礼しま……あ?」
びくともしない。
押しかけて来たこのハーフエルフが押しのけようとした彼女は、重心が移動することもない。
「何か?」
にっこりとそいつに笑顔を向ける。
まるで、本当に何事もなかったように。
「わ、私がっ、しますのでっ、お姉さんはっ、隅ででもっ、お休みっ、くださいっ」
何度も力を込めて押しのけようとするが、彼女は今度は、何事も無いように米研ぎを続けてるという、実にシュールというか何と言うか。
「コウジさん。最近おにぎりを作るペースが上がってきているようです。三つの炊飯器はもう稼働してますが、念のためもう一台分米研ぎをしておきましょうか?」
ハーフエルフに押されている彼女は、完全無視で俺に話しかけてくる。
これは……無視していいのだろうか?
「あ、あぁ……。い、いや、二台分研いでもらおうか。俺達の晩飯の分も用意しときたいから」
「達……? あ、私の分もですか? お気遣いありがとうございます。分かりました。やっておきます」
ハーフエルフは彼女を押しのけようとすることは諦めて、こっちにすり寄ってきた。
「コ、コウジさん。わ、私の分も、ですよね?」
何でいきなり来た奴の飯も作ってやらにゃならんのだ。
というものがそっちの世界にあるのなら
とか考えてるうちに、すり寄るどころか体を押し付けてくるハーフエルフ。
色仕掛けで落とそうとか考えてるのか?
「あー……、こいつ、引きはがしてくんない?」
どんだけ押そうとしてもびくともしなかった彼女なら、まるで埃をつまんで取り除くようにすっと引っ張っていってくれるだろう。
と思ったら、まさに予想通り……というか……。
襟首掴んで持ち上げて、まるで猫を扱ってるような感じだ。
俺の服を握ってしがみつく手も、指先で一瞬で弾き飛ばした。
強ぇ! 強すぎる!
しかも服装にも髪の毛にも、その他いろんな所でも、一切乱れず。
「……で、どうしましょう?」
「……お、おう……。屋根裏部屋の方の扉の前にでも置いといて、仕事続けてくれ」
「はい」
「ちょ、ちょっと! 女性に向かって、扱いがあまりにひどいんじゃない?! こんなにお慕い申し上げてるってのに!」
何で上から目線なんだ?
まぁ持ち上げられて俺よりも目の位置が上にあるからなんだろうが。
「この人の素性は知ってる。けどお前は、名前は言うが何でここに来たのか分からん。ひょっとしたらどこぞのダンジョンに住みついてる魔王の手下で、俺を暗殺しに来たかもしれない可能性も無きにしも非ず……」
妄想レベルだけどな。
「こ、この人だってそうでしょう?! どんな人か、隅から隅まで分かるっての?!」
なんだこいつ?
慕い申し上げる相手に言う口調か?
「分かるわけがない。夫婦の間柄だって、お互い分からない部分があるとも聞くしな。ただ、俺はこいつを信頼できる。それだけのこと。名前を知ってるだけじゃ信頼できる間柄にはなれないんだよ。大体仕事の邪魔ばかりしてるじゃねぇか。有名人とお近づきになりたがる夢見る少女かよ、お前は」
「コウジさん。あまりしつこいなら……穢れ仕事も厭いませんが……」
待て待て待て。
流石にそれはちょっとアレだぞ?
そんなことさせられないだろ。
「ヒ……ヒイィっ!」
ハーフエルフがなんか、逃げてった。
屋根裏部屋から、逃げてった。
なんなんだ、このアクシデント。
「コウジ、散々だったな」
こういう時は遠巻きに眺めてるだけの来訪者達。
世話になってる自覚があるなら、窘めるとかしろよな。
「きっとあれ目当てなんだろ」
「あれ?」
店との出入り口の上、各異世界のトップからもらった感謝状だか表彰状を飾っている。
数えきれない冒険者達の命を救ってくれた、ということで。
「こんな数多くの勲章をもらった男の妻になるってことで、自分に箔をつけたかったんだろうさ」
やれやれだ。
それ狙いで異性が寄ってくるとあっちゃ、それらは迷惑この上ない物体でしかない。
とにかくだ。
仕事は続けなきゃならん。
「……あー……米研ぎの続き、頼むわ」
「はい、喜んで」
こいつの笑顔、何か癒されるんだけど。
それもやはり、余計なことは何も言わないから、だと思う。
まさに、沈黙は金、だよな、うん。
0
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる