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四人目の相棒は許嫁
彼女の名は って何で名前を聞くのにこんな苦労を!
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朝一番に工事の依頼をした。
流石に大掛かりな工事のため、すぐには取り掛かることはできなかったようだった。
数日たってから工事が始まった。
前回と違って、工事現場は屋根裏部屋との間に、防音を施しているプレハブがある。
いくらかは音は抑えられているが、振動までは止められない。
「建物を建てる作業なのに、結構静かなんですね」
「窓の外見るの禁止な。中を見られると、工事の人達仕事にならなくなっちゃうかもしれないからな」
俺の忠告にびくっとして窓から遠ざかる鬼の娘。
普段は理性的な面を強く押し出してるから、感情が先に立って動くちょっとした仕草が妙に可愛い。
「でも、至る所が四角い場所って珍しいですね」
たしかに天井、床、壁、どこを見ても四角が基準だ。
「私の所では、例えば天井は上向きの曲面になってたりしますから」
いわゆるドーム型だな。
二階、三階と上に伸ばすには、直方体とか立方体にしないと作れないからな。
「ま、いずれ外を見るのはしばらく勘弁してくれ。ここよりも広い窓をつけてもらうことにしたから」
「コウジさんの世界が、今までよりも広く見ることができるんですね」
まぁな、と短く答える。
今までだって、外は見れたじゃないか。
もっとも山に迫る方向だから、パノラマって訳にはいかないがな。
そんなことよりもだ。
「外で何があっても、中で何が起こっても、やって来る怪我人は途切れることはないぞ。一度に二升の米研ぎも楽じゃないだろ? 楽じゃない分時間もかかる。頼むぜ?」
何があっても、普段と変わらない一日は常にあり、それが続く。
故に仕事の手は抜けられない。
そしてこれまで通り、押し掛け共もやって来る。
が、初めて来る者達でも、何かの作業中ということは分かるようで、前回きた緑色の女ほど強烈な奴はいなかった。
喜ばしい事ではあるが、そもそもそんな奴には来てほしくはない。
※※※※※ ※※※※※
とうとうその日がやってきた。
その日の午後、雑貨屋の方で客が来た。
と言っても店の客じゃない。
プレハブを作ってくれた業者からの請求書。
しっかり一括で現金払い。
そして残る作業は、プレハブの方から出入り口を作り……。
「ふう……。扉はこれで完成。鍵は南京錠でいいだろ。俺とお前と一つずつ。もっとも俺はここを毎日使うかどうか分からんがな」
名目は一応彼女の部屋だ。
好き勝手にしていい。
なんせこの世界での、こいつの生活拠点。
唯一くつろげる場所だからな。
だからこそ、いくら俺と二人でも使える部屋と言っても、軽々しく俺が足を踏み入れていい場所じゃあない。
そして、そんな場所であることを、ここに来る連中にも知らしめる必要がある。
「表札付けとかないとな。でないと、またこないだみたいな奴が来て勝手に使われる。俺の家なら異世界の連中は誰も入って来れないが、そんな感じにしたらお前も入れなくなっちまうしな」
「表札、ですか」
ないのかな?
世界が違えば文化も違う。
知らなくて当たり前のことも多いからな。
「自分の名前とか苗字を書いて、入り口の見やすい所に付けておくんだ。その人の許可なくして自由に立ち入りはできないという主張になる」
名前を書いて貼るだけだから、とりあえず紙に筆ペンか何かで書くか。
レタリングはあまり上手じゃないし、筆の文字の方が見栄えはいいだろう。
お金に余裕があれば印鑑屋さんにでも注文してもいいし。
「で、名前は?」
「あ、えーと……。あ……」
「ん? どした」
「……私……コウジさんに初めて名前、聞かれました……」
いや……、あのさ……。
赤面する場面じゃないだろ、今は。
※※※※※ ※※※※※
ミュウワ=エズ。
カウラの曾孫は、彼女の玄孫の俺にそう名乗った。
けどな。
何で名前を聞き出すのに、三十分以上時間かかっちまったんだよ!
カウラに直接聞きに行った方が早かったわ!
握り飯作りで追われる毎日の中で、ゆっくり休める僅かな自由時間を削られた。
もうやめてくれ!
俺の今日の残りの自由時間はゼロ……。
「あ、あの……」
「うるせぇ、米研げ」
顔を真っ赤にしたままのミュウワと俺の口調が、普段と逆になっている。
こんなことになれば、流石の俺の目も座るわ。
ということで、扉の横の壁に、ミュウワ=エズと筆で書いた紙をペタリと貼る。
本日のイベントの残りは、夕方の握り飯タイム以降だ。
で、今回の教訓。
今後深く関わりそうな相手の名前を聞くタイミングは、初顔合わせの時以外は、人生において大きな損害をもたらすぞ!
流石に大掛かりな工事のため、すぐには取り掛かることはできなかったようだった。
数日たってから工事が始まった。
前回と違って、工事現場は屋根裏部屋との間に、防音を施しているプレハブがある。
いくらかは音は抑えられているが、振動までは止められない。
「建物を建てる作業なのに、結構静かなんですね」
「窓の外見るの禁止な。中を見られると、工事の人達仕事にならなくなっちゃうかもしれないからな」
俺の忠告にびくっとして窓から遠ざかる鬼の娘。
普段は理性的な面を強く押し出してるから、感情が先に立って動くちょっとした仕草が妙に可愛い。
「でも、至る所が四角い場所って珍しいですね」
たしかに天井、床、壁、どこを見ても四角が基準だ。
「私の所では、例えば天井は上向きの曲面になってたりしますから」
いわゆるドーム型だな。
二階、三階と上に伸ばすには、直方体とか立方体にしないと作れないからな。
「ま、いずれ外を見るのはしばらく勘弁してくれ。ここよりも広い窓をつけてもらうことにしたから」
「コウジさんの世界が、今までよりも広く見ることができるんですね」
まぁな、と短く答える。
今までだって、外は見れたじゃないか。
もっとも山に迫る方向だから、パノラマって訳にはいかないがな。
そんなことよりもだ。
「外で何があっても、中で何が起こっても、やって来る怪我人は途切れることはないぞ。一度に二升の米研ぎも楽じゃないだろ? 楽じゃない分時間もかかる。頼むぜ?」
何があっても、普段と変わらない一日は常にあり、それが続く。
故に仕事の手は抜けられない。
そしてこれまで通り、押し掛け共もやって来る。
が、初めて来る者達でも、何かの作業中ということは分かるようで、前回きた緑色の女ほど強烈な奴はいなかった。
喜ばしい事ではあるが、そもそもそんな奴には来てほしくはない。
※※※※※ ※※※※※
とうとうその日がやってきた。
その日の午後、雑貨屋の方で客が来た。
と言っても店の客じゃない。
プレハブを作ってくれた業者からの請求書。
しっかり一括で現金払い。
そして残る作業は、プレハブの方から出入り口を作り……。
「ふう……。扉はこれで完成。鍵は南京錠でいいだろ。俺とお前と一つずつ。もっとも俺はここを毎日使うかどうか分からんがな」
名目は一応彼女の部屋だ。
好き勝手にしていい。
なんせこの世界での、こいつの生活拠点。
唯一くつろげる場所だからな。
だからこそ、いくら俺と二人でも使える部屋と言っても、軽々しく俺が足を踏み入れていい場所じゃあない。
そして、そんな場所であることを、ここに来る連中にも知らしめる必要がある。
「表札付けとかないとな。でないと、またこないだみたいな奴が来て勝手に使われる。俺の家なら異世界の連中は誰も入って来れないが、そんな感じにしたらお前も入れなくなっちまうしな」
「表札、ですか」
ないのかな?
世界が違えば文化も違う。
知らなくて当たり前のことも多いからな。
「自分の名前とか苗字を書いて、入り口の見やすい所に付けておくんだ。その人の許可なくして自由に立ち入りはできないという主張になる」
名前を書いて貼るだけだから、とりあえず紙に筆ペンか何かで書くか。
レタリングはあまり上手じゃないし、筆の文字の方が見栄えはいいだろう。
お金に余裕があれば印鑑屋さんにでも注文してもいいし。
「で、名前は?」
「あ、えーと……。あ……」
「ん? どした」
「……私……コウジさんに初めて名前、聞かれました……」
いや……、あのさ……。
赤面する場面じゃないだろ、今は。
※※※※※ ※※※※※
ミュウワ=エズ。
カウラの曾孫は、彼女の玄孫の俺にそう名乗った。
けどな。
何で名前を聞き出すのに、三十分以上時間かかっちまったんだよ!
カウラに直接聞きに行った方が早かったわ!
握り飯作りで追われる毎日の中で、ゆっくり休める僅かな自由時間を削られた。
もうやめてくれ!
俺の今日の残りの自由時間はゼロ……。
「あ、あの……」
「うるせぇ、米研げ」
顔を真っ赤にしたままのミュウワと俺の口調が、普段と逆になっている。
こんなことになれば、流石の俺の目も座るわ。
ということで、扉の横の壁に、ミュウワ=エズと筆で書いた紙をペタリと貼る。
本日のイベントの残りは、夕方の握り飯タイム以降だ。
で、今回の教訓。
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