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第三章 三件目 異世界への転移、転生希望者へ一言
森の中の案内人、そしてその仲間達
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月が三つもあるってどんな世界だよ。
って、そりゃ異世界なんだろうが……。
それでも月の光が出なきゃ真っ暗でほとんど景色が分からない。
樹木が生い茂る森、その奥深くの方向に進んでるのは分かる。
俺の横には、今になってようやく名前が分かったオーゥロー。
こいつと俺の前には、森の樹木の一番太い幹よりも体の幅が太い蛇の下半身を持つ、上半身は素っ裸の人間の上半身の魔物エキドナ。
彼女の道案内に従ってるが……道案内じゃないよな、これ。
藪案内? まさしく道なき道を行くって感じだからな。
肌が露出してるところは枝先が刺さったり葉先で切れたりして傷がつく。
エキドナはともかく、オーゥローも気にはしない。
実際傷はついてなさそうなのはやはり魔族だからか。
樹木の切り株が目立つ、ちょっとした広場に出た。
正面にはとてつもなく高い崖。その崖には洞穴。高さは十メートルくらいあるだろうか。
「着いたわぁ。ここ……あら? ちょうどいい所に戻ってきたのねぇ?」
前にいるエキドナが振り向いて、俺達に向かってそんなことを言うということは……。
「なんだエキドナ……お前、ひょっとして見つけてきたのか?」
「やっぱり言い伝えは本当だったのね。影二つのもう一つって……人間のことだったの?」
エキドナはこっちを向く。
そしてその二つの声は俺の後ろから聞こえる。
釣られて後ろを向くのが本能ってもんだろ?
……ゲームのモンスターにもこんなのがいたな。
えーと確か……。
「スキュラァ、ケンタウロスゥ。無駄足させちゃったわねぇ? 私が見つけちゃったぁ」
「無駄足も何も、見つかるかどうか分からなかったんだ。ま、見つかって何よりだ。で……」
「予想はしてたけど、実際に目にすると驚きよね。まさか魔王候補が人間と一緒にいるなんて……」
エキドナからスキュラと呼ばれた奴は、エキドナに引けを取らないほどの巨体。もっともエキドナと同じく素っ裸である人間の女性のパーツは俺とそんなに変わらない上半身。その下の体がタコの触手の形状で、これがでかい。
もう一体はケンタウロスと呼ばれてたが、大きさは多分カバくらいの大きさの馬っぽい体。
その首を含めた頭部は人間と同じような上半身だが、明らかに人間じゃない。
顔がトカゲのような形状。体もそれっぽい色彩。
別世界でも同じ名前の存在はいるが、存在する姿までは全く同じというわけでないところが、異世界だなぁと実感する。
世界の造り主は同じでも、その後の経過はその世界に住む者次第ってのは今まで何度も感じてはきたがな。
ズシン
ズシン
体の奥にまで届く振動が感じられた。
こんな時に地震か?!
と、オーゥローとエキドナ達魔物三体を見るが、驚いて不安がるオーゥロー以外は落ち着いたもの。
その大元は洞窟の中から現れた。
「話し声が聞こえたからよぉ、帰ってきたかと来てみりゃ、連れて来てんじゃねぇかよぉ」
身長五メートルくらいはあるんじゃねぇか?!
額から一本の短く太い角が生えている一つ目の巨人。しかも筋骨隆々。
「あらぁ、ロップスぅ、お出迎えご苦労様ぁ」
「連れて来てるっつっても俺らが連れてきたんじゃねぇよ。エキドナが見つけてきたんだ」
「そうそ。ここでたまたま合流しただけよ、ロップス」
ロップス……。サイクロップスの略称か? 音節が多ければ確かに言いづらくなるよな。そんな名前をそのまま言うのは流石に面倒か。
それにしても酒場の人間たちは俺とそんなに変わらない背丈だったが、体長、体格が別格な魔物がこうも揃うと壮観……と言うか、逃げ場がなけりゃ流石に怖ぇ。
魔王とやらはこいつらよりも相当でかかったんだろうな。
その魔王がいなくなったってことは、人間たちに討ち取られたってことか?
「で、そっちのほうは人間かぁ? 俺達の飯のタネも持ってきたくれたのかぁ? エキドナぁ」
飯のタネ……。俺を料理人として雇うってこと……なわけはないか。敵として見なすことがなければ食料扱いってことだろうな、人間は。
「ロップスぅ、残念ながらそうじゃないわぁ。この人間はこの子の付き人よぉ。オーゥロー、ここが私達の住処よぉ。あなたにとって面白いものはないと思うけど、歓迎するわぁ」
そうだ。飯の種で思い出した。
「あー、エキドナさんよ、こいつは腹が減ってるようでな。何か食わしてやってほしいんだが」
酒場から追い出されてからずっと歩きっぱなしだったもんな。
おまけに俺もこいつも見たことのない奴らに絡まれて、こいつだってどうなることかとビビって空腹どころじゃなかったろうよ。
俺はともかくこいつには強力な助っ人になってくれそうだから、人心地つけるだろうな。
「あらぁ? この子におもてなしが出来るってことねぇ? ちょうどよかったわぁ」
「俺も小腹が減ったな。スキュラ、お前は?」
「私も何か頂こうかしら?」
「な、なぁ……、ミナミ……」
オーゥローが小声で声をかけてくる。
声もその顔も不安げだ。俺はともかくこいつは魔族だろうに。何を怖がることがあるっての。
「も、もう少しついてきてくれないか……?」
……俺がこいつらに食われない限りな?
少なくともお前の身の安全は保障されてるだろうに。
「あの酒場で感じた身の危険はないだろ? 何怖がってんだお前」
「いや、だって……」
……あれだな。
友達がいないまま幼稚園に入園する児童の心理だ。
ってこたぁ、俺はこいつの保護者か何かか?。俺ぁまだ独身……つか、彼女すらいねぇんだぞ?
「お前の味方が現れたんだ。俺より力になってくれるだろうよ。となりゃ俺のお役御免ももうすぐだ。それは覚えとけよ?」
ついオーゥローの頭の上に手のひらをポンとおく。
少しは情が移っちまったか?
それにしても広い洞窟だ。
もっとも暗闇で大樹に見間違えたエキドナや、その大きさに引けを取らないスキュラ。彼女らとは比べ物にならないくらい大きいサイクロップスとかが住む場所なら、この広さは快適ってもんなんだろうな。
洞窟の中は枝分かれしているが、迷路って訳ではなく枝分かれしている一つ一つが住まいのような感じになってる。
白討事案の被害者の集落民が避難した洞窟が大きくなったようなもんだ。
「こちらへどうぞぉ? 私達の食堂よぉ」
エキドナが案内してくれたその部屋は、厨房も一緒になっていた。
食材は何なのかは、人間の俺としてはちょっと想像したくはないな。
異世界では食わなくてもいい体につくづく感謝だ。
「お、お帰り。何か食うか?」
厨房から出てきたのは半透明の粘体。スライムっぽい。
だがこれも大きさが、ケンタウロスよりもでかい。
「この人間はぁ、いらないってよぉ」
「……食料に食わす餌なんて、ここにはねぇぞ?」
言うことが怖ぇよ、このスライム。
つーか、よく俺襲われずにここまで来れたな。
まぁそれはともかく、食わなくてもオーゥローと同じように席に案内されて着く。
とりあえず状況を確認する。
尻切れトンボはどうにも落ち着かないからな。
こいつの先行きだけは確認しとかないと。
って、そりゃ異世界なんだろうが……。
それでも月の光が出なきゃ真っ暗でほとんど景色が分からない。
樹木が生い茂る森、その奥深くの方向に進んでるのは分かる。
俺の横には、今になってようやく名前が分かったオーゥロー。
こいつと俺の前には、森の樹木の一番太い幹よりも体の幅が太い蛇の下半身を持つ、上半身は素っ裸の人間の上半身の魔物エキドナ。
彼女の道案内に従ってるが……道案内じゃないよな、これ。
藪案内? まさしく道なき道を行くって感じだからな。
肌が露出してるところは枝先が刺さったり葉先で切れたりして傷がつく。
エキドナはともかく、オーゥローも気にはしない。
実際傷はついてなさそうなのはやはり魔族だからか。
樹木の切り株が目立つ、ちょっとした広場に出た。
正面にはとてつもなく高い崖。その崖には洞穴。高さは十メートルくらいあるだろうか。
「着いたわぁ。ここ……あら? ちょうどいい所に戻ってきたのねぇ?」
前にいるエキドナが振り向いて、俺達に向かってそんなことを言うということは……。
「なんだエキドナ……お前、ひょっとして見つけてきたのか?」
「やっぱり言い伝えは本当だったのね。影二つのもう一つって……人間のことだったの?」
エキドナはこっちを向く。
そしてその二つの声は俺の後ろから聞こえる。
釣られて後ろを向くのが本能ってもんだろ?
……ゲームのモンスターにもこんなのがいたな。
えーと確か……。
「スキュラァ、ケンタウロスゥ。無駄足させちゃったわねぇ? 私が見つけちゃったぁ」
「無駄足も何も、見つかるかどうか分からなかったんだ。ま、見つかって何よりだ。で……」
「予想はしてたけど、実際に目にすると驚きよね。まさか魔王候補が人間と一緒にいるなんて……」
エキドナからスキュラと呼ばれた奴は、エキドナに引けを取らないほどの巨体。もっともエキドナと同じく素っ裸である人間の女性のパーツは俺とそんなに変わらない上半身。その下の体がタコの触手の形状で、これがでかい。
もう一体はケンタウロスと呼ばれてたが、大きさは多分カバくらいの大きさの馬っぽい体。
その首を含めた頭部は人間と同じような上半身だが、明らかに人間じゃない。
顔がトカゲのような形状。体もそれっぽい色彩。
別世界でも同じ名前の存在はいるが、存在する姿までは全く同じというわけでないところが、異世界だなぁと実感する。
世界の造り主は同じでも、その後の経過はその世界に住む者次第ってのは今まで何度も感じてはきたがな。
ズシン
ズシン
体の奥にまで届く振動が感じられた。
こんな時に地震か?!
と、オーゥローとエキドナ達魔物三体を見るが、驚いて不安がるオーゥロー以外は落ち着いたもの。
その大元は洞窟の中から現れた。
「話し声が聞こえたからよぉ、帰ってきたかと来てみりゃ、連れて来てんじゃねぇかよぉ」
身長五メートルくらいはあるんじゃねぇか?!
額から一本の短く太い角が生えている一つ目の巨人。しかも筋骨隆々。
「あらぁ、ロップスぅ、お出迎えご苦労様ぁ」
「連れて来てるっつっても俺らが連れてきたんじゃねぇよ。エキドナが見つけてきたんだ」
「そうそ。ここでたまたま合流しただけよ、ロップス」
ロップス……。サイクロップスの略称か? 音節が多ければ確かに言いづらくなるよな。そんな名前をそのまま言うのは流石に面倒か。
それにしても酒場の人間たちは俺とそんなに変わらない背丈だったが、体長、体格が別格な魔物がこうも揃うと壮観……と言うか、逃げ場がなけりゃ流石に怖ぇ。
魔王とやらはこいつらよりも相当でかかったんだろうな。
その魔王がいなくなったってことは、人間たちに討ち取られたってことか?
「で、そっちのほうは人間かぁ? 俺達の飯のタネも持ってきたくれたのかぁ? エキドナぁ」
飯のタネ……。俺を料理人として雇うってこと……なわけはないか。敵として見なすことがなければ食料扱いってことだろうな、人間は。
「ロップスぅ、残念ながらそうじゃないわぁ。この人間はこの子の付き人よぉ。オーゥロー、ここが私達の住処よぉ。あなたにとって面白いものはないと思うけど、歓迎するわぁ」
そうだ。飯の種で思い出した。
「あー、エキドナさんよ、こいつは腹が減ってるようでな。何か食わしてやってほしいんだが」
酒場から追い出されてからずっと歩きっぱなしだったもんな。
おまけに俺もこいつも見たことのない奴らに絡まれて、こいつだってどうなることかとビビって空腹どころじゃなかったろうよ。
俺はともかくこいつには強力な助っ人になってくれそうだから、人心地つけるだろうな。
「あらぁ? この子におもてなしが出来るってことねぇ? ちょうどよかったわぁ」
「俺も小腹が減ったな。スキュラ、お前は?」
「私も何か頂こうかしら?」
「な、なぁ……、ミナミ……」
オーゥローが小声で声をかけてくる。
声もその顔も不安げだ。俺はともかくこいつは魔族だろうに。何を怖がることがあるっての。
「も、もう少しついてきてくれないか……?」
……俺がこいつらに食われない限りな?
少なくともお前の身の安全は保障されてるだろうに。
「あの酒場で感じた身の危険はないだろ? 何怖がってんだお前」
「いや、だって……」
……あれだな。
友達がいないまま幼稚園に入園する児童の心理だ。
ってこたぁ、俺はこいつの保護者か何かか?。俺ぁまだ独身……つか、彼女すらいねぇんだぞ?
「お前の味方が現れたんだ。俺より力になってくれるだろうよ。となりゃ俺のお役御免ももうすぐだ。それは覚えとけよ?」
ついオーゥローの頭の上に手のひらをポンとおく。
少しは情が移っちまったか?
それにしても広い洞窟だ。
もっとも暗闇で大樹に見間違えたエキドナや、その大きさに引けを取らないスキュラ。彼女らとは比べ物にならないくらい大きいサイクロップスとかが住む場所なら、この広さは快適ってもんなんだろうな。
洞窟の中は枝分かれしているが、迷路って訳ではなく枝分かれしている一つ一つが住まいのような感じになってる。
白討事案の被害者の集落民が避難した洞窟が大きくなったようなもんだ。
「こちらへどうぞぉ? 私達の食堂よぉ」
エキドナが案内してくれたその部屋は、厨房も一緒になっていた。
食材は何なのかは、人間の俺としてはちょっと想像したくはないな。
異世界では食わなくてもいい体につくづく感謝だ。
「お、お帰り。何か食うか?」
厨房から出てきたのは半透明の粘体。スライムっぽい。
だがこれも大きさが、ケンタウロスよりもでかい。
「この人間はぁ、いらないってよぉ」
「……食料に食わす餌なんて、ここにはねぇぞ?」
言うことが怖ぇよ、このスライム。
つーか、よく俺襲われずにここまで来れたな。
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