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番外編 こんな魔物の集団戦 いかがです?
その張本人じゃないから気の毒なんだけど、見せしめになってもらおう
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その翌日からおにぎりの店の前では、開店前からンーゴ以外の仲間達八人がずらっと並ぶ。
ンーゴはあまりに巨体すぎたから、それはしょうがない。
なぜ並ばせたかというと、集団戦に来た冒険者達や申し込みに来た冒険者らに、どのような特訓を希望するか、という注文の聞き取りのため。
特訓してもらえる相手を選ばせる。
そして、どの程度の力量で相手をするか。
その声を直に聞いて、その要望に応えよう、という事である。
そうするつもりだったんだが……。
開店前に気づいた。
全員勢ぞろいしてるところは、俺はヨウミと一緒に、飯の時にさんざん見ている。
だから見慣れた……見飽きた光景なんだが、開店前から店の前にいる連中は、その八人から目を離せないでいる。
口々に出てくる言葉は「すげぇ……」の一言。
いわゆる、壮観、圧巻ってやつなんだろうな。
仲間探し目的できた新人達はちょっと反応が違った。
まるで特撮のヒーローを目の当たりにした子供のようにはしゃいでる。
だから、要望を聞くどころじゃなかった。
こんなことは初めての試みだったから、謙虚じゃなくてもある程度経験を積んだ冒険者や、まさに新人の集団と思しきチームは恐縮しきり。
ここ数日の集団戦に来る冒険者達は、そんな文句を言うどころか、申し込みを受け付けてもらえただけでも有り難い、というチームばかりだった。
でも、それに付き合ってたらこっちも仕事にならないから……。
「いい加減、今日集団戦申し込んだ奴ら、誰に相手してもらいたいかとか、どんな目的で特訓したいかとかさぁ。言ってもらわないとさぁ」
「お、おぉ……」
「俺の仕事の米の選別もできなくなるからさぁ……」
という予想外のイベントがあったわけだが、要望に応える、ってのは概ね好評。
仲間達の特性と冒険者達の特訓の方針も噛み合わせやすくなって、特訓の効率が高くなったとか。
そんなこんなで数日経過。
この日も、これまでと同じようにみんなを一列に並ばせて、今日の特訓の参加チームに選ばせた。
「あー……噂で聞いたんだがよ」
「どうかしたか?」
ガラの悪そうな冒険者五人組が迫ってきた。
……けど俺って、今までこんな対応したっけか?
噂なんざ知らねぇよ。とっとと魔物選んでとっとと特訓しに行けや。
みたいなことを、どんな奴が相手でも平気で言う奴だと思ってたが。俺。
「なんか、特訓に手を抜かれた、とかって話聞いたんだけどよ」
「力加減はしてくれるとは言ってたな。加減はするが、それが手を抜くと思われてるんじゃ訂正してもらいたいとこだな」
クレームの噂を聞いたらしい。
俺がみんなに、手を抜くように命令したわけでもないのにな。
みんなが自分で、相手を見て判断した結果だ。
手を抜かれてると思うんなら、それは自分の実力不足とか、みんなとの力の差が激しいってことだ。
まったく、誰がどこでそんな文句を言い始めたんだか。
「ま、それが気に入らないってんなら、お金返すからお帰り下さいってとこだな。特訓に付き合うってことは、こっちの時間を参加者にとられてるってことなんだから」
集団戦の特訓は、俺らが発案して始めた事業じゃない。
相手をしてくれ、と頼み込む奴が増えてきて、こっちもただで一日潰すような無駄なことはしたくないっ店で始まったことだ。
「けど手を抜かれてるかどうかは、特訓が終わることになって分かることじゃねぇか? 終わった後に、金返せなんて流石に言えねぇや」
それはごもっとも。
だがな。
「とりあえず、誰を特訓の相手にするかを選んで、その後でどんな感じで相手してもらいたいかを打ち合わせすればいいだろ? 俺の役目は受付とかの事務手続きだけだよ」
俺がそう言うと奴らは、すでに午前の申し込みをしてた冒険者のニチームを押しのけ、仲間の品定めを始めた。
「おい。俺らが先に」
「うるせぇな。先だの後だのやかましいんだよ。午前の特訓だろ? とっとと選ばねぇお前らが悪ぃんじゃねえか」
「何だと?!」
魔物八人を前に、冒険者同士で諍いが始まりそうだ。
あいつらに抑えられることは考えてないのかね。
と思ったら。
「こいつと、こいつと、こいつにするか」
「おい、お前ら」
「さっさと決めねぇお前らが悪いっつってんだろ! ……よろしく頼むぜ? あぁ、一切手加減なしで頼むわ。俺ら、強ぇからな」
「手抜きなんか、ぜってぇすんじゃねぇぞ?」
その荒くれ五人組が選んだのは、テンちゃん、モーナー、ライムの三人。
その三人の反応は……。
「へぇ……。アラタぁ、この人達があの噂の?」
特訓を受けた感想で手を抜いただの文句を言ってきた連中とは違う。
その話を聞きつけた連中だ。
思い返せば、申し込みに来た時は、まぁこんな乱暴な口調ではあったが粗暴な行為をするとは思えなかったが。
「いや。違うけど、余計な噂に尾ひれはひれを付けられても困る。余計な怪我をさせることがないなら、本気で相手してやっても構わんぞ」
「へええ、本気出してえ、いいんだあ」
テンちゃんに返事を返すと、モーナーもにやりと笑う。
普段は人が良さそうな奴が、あんな邪悪そうな笑みを浮かべるのを見ると、ホントに不気味でしょうがない。
「ジャ、エンリョナク、ヤラセテモラオウカナ」
念のために言っておく。
俺は、冒険者達が魔物の集団相手に戦闘する特訓は、一度も見たことがない。
だから、普段の特訓の様子を知らないから、このあとどんなことになるのかも想像がつかない。
ちょっと心配。
そしてかなり楽しみにしてる。
荒くれ五人の、この後に平安があらんことを……。
ンーゴはあまりに巨体すぎたから、それはしょうがない。
なぜ並ばせたかというと、集団戦に来た冒険者達や申し込みに来た冒険者らに、どのような特訓を希望するか、という注文の聞き取りのため。
特訓してもらえる相手を選ばせる。
そして、どの程度の力量で相手をするか。
その声を直に聞いて、その要望に応えよう、という事である。
そうするつもりだったんだが……。
開店前に気づいた。
全員勢ぞろいしてるところは、俺はヨウミと一緒に、飯の時にさんざん見ている。
だから見慣れた……見飽きた光景なんだが、開店前から店の前にいる連中は、その八人から目を離せないでいる。
口々に出てくる言葉は「すげぇ……」の一言。
いわゆる、壮観、圧巻ってやつなんだろうな。
仲間探し目的できた新人達はちょっと反応が違った。
まるで特撮のヒーローを目の当たりにした子供のようにはしゃいでる。
だから、要望を聞くどころじゃなかった。
こんなことは初めての試みだったから、謙虚じゃなくてもある程度経験を積んだ冒険者や、まさに新人の集団と思しきチームは恐縮しきり。
ここ数日の集団戦に来る冒険者達は、そんな文句を言うどころか、申し込みを受け付けてもらえただけでも有り難い、というチームばかりだった。
でも、それに付き合ってたらこっちも仕事にならないから……。
「いい加減、今日集団戦申し込んだ奴ら、誰に相手してもらいたいかとか、どんな目的で特訓したいかとかさぁ。言ってもらわないとさぁ」
「お、おぉ……」
「俺の仕事の米の選別もできなくなるからさぁ……」
という予想外のイベントがあったわけだが、要望に応える、ってのは概ね好評。
仲間達の特性と冒険者達の特訓の方針も噛み合わせやすくなって、特訓の効率が高くなったとか。
そんなこんなで数日経過。
この日も、これまでと同じようにみんなを一列に並ばせて、今日の特訓の参加チームに選ばせた。
「あー……噂で聞いたんだがよ」
「どうかしたか?」
ガラの悪そうな冒険者五人組が迫ってきた。
……けど俺って、今までこんな対応したっけか?
噂なんざ知らねぇよ。とっとと魔物選んでとっとと特訓しに行けや。
みたいなことを、どんな奴が相手でも平気で言う奴だと思ってたが。俺。
「なんか、特訓に手を抜かれた、とかって話聞いたんだけどよ」
「力加減はしてくれるとは言ってたな。加減はするが、それが手を抜くと思われてるんじゃ訂正してもらいたいとこだな」
クレームの噂を聞いたらしい。
俺がみんなに、手を抜くように命令したわけでもないのにな。
みんなが自分で、相手を見て判断した結果だ。
手を抜かれてると思うんなら、それは自分の実力不足とか、みんなとの力の差が激しいってことだ。
まったく、誰がどこでそんな文句を言い始めたんだか。
「ま、それが気に入らないってんなら、お金返すからお帰り下さいってとこだな。特訓に付き合うってことは、こっちの時間を参加者にとられてるってことなんだから」
集団戦の特訓は、俺らが発案して始めた事業じゃない。
相手をしてくれ、と頼み込む奴が増えてきて、こっちもただで一日潰すような無駄なことはしたくないっ店で始まったことだ。
「けど手を抜かれてるかどうかは、特訓が終わることになって分かることじゃねぇか? 終わった後に、金返せなんて流石に言えねぇや」
それはごもっとも。
だがな。
「とりあえず、誰を特訓の相手にするかを選んで、その後でどんな感じで相手してもらいたいかを打ち合わせすればいいだろ? 俺の役目は受付とかの事務手続きだけだよ」
俺がそう言うと奴らは、すでに午前の申し込みをしてた冒険者のニチームを押しのけ、仲間の品定めを始めた。
「おい。俺らが先に」
「うるせぇな。先だの後だのやかましいんだよ。午前の特訓だろ? とっとと選ばねぇお前らが悪ぃんじゃねえか」
「何だと?!」
魔物八人を前に、冒険者同士で諍いが始まりそうだ。
あいつらに抑えられることは考えてないのかね。
と思ったら。
「こいつと、こいつと、こいつにするか」
「おい、お前ら」
「さっさと決めねぇお前らが悪いっつってんだろ! ……よろしく頼むぜ? あぁ、一切手加減なしで頼むわ。俺ら、強ぇからな」
「手抜きなんか、ぜってぇすんじゃねぇぞ?」
その荒くれ五人組が選んだのは、テンちゃん、モーナー、ライムの三人。
その三人の反応は……。
「へぇ……。アラタぁ、この人達があの噂の?」
特訓を受けた感想で手を抜いただの文句を言ってきた連中とは違う。
その話を聞きつけた連中だ。
思い返せば、申し込みに来た時は、まぁこんな乱暴な口調ではあったが粗暴な行為をするとは思えなかったが。
「いや。違うけど、余計な噂に尾ひれはひれを付けられても困る。余計な怪我をさせることがないなら、本気で相手してやっても構わんぞ」
「へええ、本気出してえ、いいんだあ」
テンちゃんに返事を返すと、モーナーもにやりと笑う。
普段は人が良さそうな奴が、あんな邪悪そうな笑みを浮かべるのを見ると、ホントに不気味でしょうがない。
「ジャ、エンリョナク、ヤラセテモラオウカナ」
念のために言っておく。
俺は、冒険者達が魔物の集団相手に戦闘する特訓は、一度も見たことがない。
だから、普段の特訓の様子を知らないから、このあとどんなことになるのかも想像がつかない。
ちょっと心配。
そしてかなり楽しみにしてる。
荒くれ五人の、この後に平安があらんことを……。
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