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シアンの婚約者編
フレイミーの本性 その1
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昼食が終わってシアン達は帰っていった。
そして午後の仕事が始まり、終わり、晩飯時。
俺たちはフレイミーの話題で盛り上がった。
「会話がね、ありきたりじゃなかったのよ」
「陰口を叩くような感じで、こういうことを言うのはあまり気が進まないんですが……。初めて会う人との会話って、決まってるんですよね。珍しい種族だから、ということでしょうか、どこで生まれたのか、家族はどうしてるのか、アラタさんと一緒になる前はどこで生活しているのか、とか……。何か、探りを入れられてるような気がするんですよ」
「アト、ドンナモノデモトカスノカ、トカ、ドンナモノニモ、カタチヲカエルコトガデキルノカ、トカ……」
「得意な魔法とか聞かれたりね」
「けどお、フレイミーって人はあ、集団戦の戦い方とかあ、コツとかあ、聞かれたりい」
「シアンの話とかも聞かせてくれたりねー」
「ソレニ、オレヲミテ、ゼンゼンコワガラレナカッタノ、ハジメテ」
「ミッ」
お、おう……。
そりゃ珍しい奴だな。
「だどもよぉ、何たぁなく、アラタに嫉妬してんじゃねぇか? おりゃあそんな気がしたで?」
そう言えばシアンの奴は、俺らに紹介しに来た、とは言っていた。
だから、彼女の目的は果たしていることには違いないだろうが、みんなからそんな不信感を抱かれたら、ちょっと不本意なんじゃねえか、とは思う。
「ま、いずれにせよ、彼女一人でここに来るなんてこたぁねぇだろうから、気にするこたぁねぇんじゃねぇの?」
「まぁそれもそうね」
この場では、このコーティの一言でその話題は終わったのだが……。
※※※※※ ※※※※※
ところがどっこい、その嵐が二日後にやってきた。
しかも開店前で、客も子供な冒険者達も、そしてバイト達もまだ来ない時間帯。
気配で何となく分かってたが、何人かと一緒に来たのだが、シアン側の人間はいない。
そして店に到着して第一声がこれ。
「あら、今日はみんなお店にいるのね。で、ミナミ・アラタはいるかしら?」
彼女の言う通り、ンーゴ以外は店の前で雪遊び。
寒くないんかな?
で、店の奥から外の彼女の様子を伺うと、まぁ彼女はこないだと同じ格好なんだが、彼女以外の人は物騒な格好。
いわゆる兵士か何かなお仕事、といった風貌。
打って変わったのは、その御一行様の様子ばかりじゃない。
何という高慢ち……もとい、高飛車な物言いが、これまたちょいと驚きだ。
シアンの前だから猫被ってたのか。
ということは、あいつはこいつの本性を知らないってことか?
これは……。
結婚式の時にこいつの本性を暴く、という楽しいイベントが待ち構えている?
……いや、流石にそれは悪趣味か。
「えっと、フレイミー……こないだとはえらく様子が違うみたいだけど……。あ、アラタなら中じゃない?」
「どうしたんだあ? そんな大勢でえ。物々しい感じがするぞお?」
「っつーよりよ、なんか偉そうな言い方すんじゃねぇかよ。どしたんよ?」
気配ばかりじゃなく、見た目でも……そりゃ違うか。
「ミアーノさん。あなた達にとってはとてもいいお話を持ってきましたの。是非受け入れてもらいたいわ。そのほかに、ミナミ・アラタにもお話しがありまして。彼はいるかしら?」
ここは居留守の一手!
「いるよ。呼んでくるね」
おいヨウミ!
店番を怠けて俺を呼びに来るとは何事だ!
「アラター。こないだの、シアンの婚約者が来たわよー」
来たわよー、じゃねぇよ。
またなんか厄介事に引っ張り込む、神様か何かの手先になってんじゃねぇよ!
「俺、今、忙しい」
「忙しいって……受映機見てるだけじゃない」
「その通り! 受映機の番組を見て情報収集をしているところだ! 邪魔するな!」
「情報収集って……横になってくつろいで、それで情報収集?」
悪いかよ。
どんな格好しようが、俺の勝手だろ!
「で、何の番組見てるのよ」
知れたこと!
「『国王陛下の一日』だ。これを見るのは、国民の義務だろ!」
直後、俺の頭から、パンッ、と乾いた音が鳴り響いた。
「いてっ!」
「馬鹿言ってないで! ほら、その陛下の婚約者候補のフレイミーさんが用事だってさ!」
こいつ……いつぞやのハリセンをいつの間にっ!
※※※※※ ※※※※※
結局、開店前の店に引っ張り出されてしまった。
一体何なんだ。
しかもこんな寒い気温の中でよお。
「おはよう、ミナミアラタ。今日はあなたに大切な用件を持ってきたの」
「フルネームで呼ばれるのって……意外と珍しい体験だな」
いてっ!
まさかのハリセン二連発!
「真面目に人の話聞きなさいよ!」
ヨウミさぁ……。
何機嫌悪くしてんだよ。
「……何です? それは。珍しい形状ですね」
「え? あ、えっと、これはハリセンといって、長方形の紙を山折り谷折りと交互に折っていって……」
「ふむふむ」
……ハリセンで話が盛り上がり始めたぞ?
なんだこいつら。
「いえ、こんなことで時間を割いてる場合ではありませんね」
急に我に返るフレイミーだが……
「こんなこととは何だ! 力いっぱい叩いても、相手に何のダメージも与えない珍しい武器をこんなこと呼ばわりするとはいてっ!」
三連発。
ひどくない?
ねぇ、ヨウミ。
今朝のお前、ちょっとひどくない?
「真面目に人の話を聞かんか! 話が進まんだろーが!」
……へい……。
……仲間も、フレイミーの連れたちも、若干呆れてるような……。
……俺、何も悪いことしてないのに……。
「コホン。単刀直入に申します。あなたの仲間達……希少種の魔物達を引き取らせていただきます」
って、はあぁ?!
何、藪から棒にっ。
「そして、このお店も、私達が引き継がせていただきます」
おいこら。ちょっと待て。
……ひょっとして、何でもかんでも、この世の中のすべてのことは、妾の思い通りに事が進むようにできている、とか考えるタイプか?
そして午後の仕事が始まり、終わり、晩飯時。
俺たちはフレイミーの話題で盛り上がった。
「会話がね、ありきたりじゃなかったのよ」
「陰口を叩くような感じで、こういうことを言うのはあまり気が進まないんですが……。初めて会う人との会話って、決まってるんですよね。珍しい種族だから、ということでしょうか、どこで生まれたのか、家族はどうしてるのか、アラタさんと一緒になる前はどこで生活しているのか、とか……。何か、探りを入れられてるような気がするんですよ」
「アト、ドンナモノデモトカスノカ、トカ、ドンナモノニモ、カタチヲカエルコトガデキルノカ、トカ……」
「得意な魔法とか聞かれたりね」
「けどお、フレイミーって人はあ、集団戦の戦い方とかあ、コツとかあ、聞かれたりい」
「シアンの話とかも聞かせてくれたりねー」
「ソレニ、オレヲミテ、ゼンゼンコワガラレナカッタノ、ハジメテ」
「ミッ」
お、おう……。
そりゃ珍しい奴だな。
「だどもよぉ、何たぁなく、アラタに嫉妬してんじゃねぇか? おりゃあそんな気がしたで?」
そう言えばシアンの奴は、俺らに紹介しに来た、とは言っていた。
だから、彼女の目的は果たしていることには違いないだろうが、みんなからそんな不信感を抱かれたら、ちょっと不本意なんじゃねえか、とは思う。
「ま、いずれにせよ、彼女一人でここに来るなんてこたぁねぇだろうから、気にするこたぁねぇんじゃねぇの?」
「まぁそれもそうね」
この場では、このコーティの一言でその話題は終わったのだが……。
※※※※※ ※※※※※
ところがどっこい、その嵐が二日後にやってきた。
しかも開店前で、客も子供な冒険者達も、そしてバイト達もまだ来ない時間帯。
気配で何となく分かってたが、何人かと一緒に来たのだが、シアン側の人間はいない。
そして店に到着して第一声がこれ。
「あら、今日はみんなお店にいるのね。で、ミナミ・アラタはいるかしら?」
彼女の言う通り、ンーゴ以外は店の前で雪遊び。
寒くないんかな?
で、店の奥から外の彼女の様子を伺うと、まぁ彼女はこないだと同じ格好なんだが、彼女以外の人は物騒な格好。
いわゆる兵士か何かなお仕事、といった風貌。
打って変わったのは、その御一行様の様子ばかりじゃない。
何という高慢ち……もとい、高飛車な物言いが、これまたちょいと驚きだ。
シアンの前だから猫被ってたのか。
ということは、あいつはこいつの本性を知らないってことか?
これは……。
結婚式の時にこいつの本性を暴く、という楽しいイベントが待ち構えている?
……いや、流石にそれは悪趣味か。
「えっと、フレイミー……こないだとはえらく様子が違うみたいだけど……。あ、アラタなら中じゃない?」
「どうしたんだあ? そんな大勢でえ。物々しい感じがするぞお?」
「っつーよりよ、なんか偉そうな言い方すんじゃねぇかよ。どしたんよ?」
気配ばかりじゃなく、見た目でも……そりゃ違うか。
「ミアーノさん。あなた達にとってはとてもいいお話を持ってきましたの。是非受け入れてもらいたいわ。そのほかに、ミナミ・アラタにもお話しがありまして。彼はいるかしら?」
ここは居留守の一手!
「いるよ。呼んでくるね」
おいヨウミ!
店番を怠けて俺を呼びに来るとは何事だ!
「アラター。こないだの、シアンの婚約者が来たわよー」
来たわよー、じゃねぇよ。
またなんか厄介事に引っ張り込む、神様か何かの手先になってんじゃねぇよ!
「俺、今、忙しい」
「忙しいって……受映機見てるだけじゃない」
「その通り! 受映機の番組を見て情報収集をしているところだ! 邪魔するな!」
「情報収集って……横になってくつろいで、それで情報収集?」
悪いかよ。
どんな格好しようが、俺の勝手だろ!
「で、何の番組見てるのよ」
知れたこと!
「『国王陛下の一日』だ。これを見るのは、国民の義務だろ!」
直後、俺の頭から、パンッ、と乾いた音が鳴り響いた。
「いてっ!」
「馬鹿言ってないで! ほら、その陛下の婚約者候補のフレイミーさんが用事だってさ!」
こいつ……いつぞやのハリセンをいつの間にっ!
※※※※※ ※※※※※
結局、開店前の店に引っ張り出されてしまった。
一体何なんだ。
しかもこんな寒い気温の中でよお。
「おはよう、ミナミアラタ。今日はあなたに大切な用件を持ってきたの」
「フルネームで呼ばれるのって……意外と珍しい体験だな」
いてっ!
まさかのハリセン二連発!
「真面目に人の話聞きなさいよ!」
ヨウミさぁ……。
何機嫌悪くしてんだよ。
「……何です? それは。珍しい形状ですね」
「え? あ、えっと、これはハリセンといって、長方形の紙を山折り谷折りと交互に折っていって……」
「ふむふむ」
……ハリセンで話が盛り上がり始めたぞ?
なんだこいつら。
「いえ、こんなことで時間を割いてる場合ではありませんね」
急に我に返るフレイミーだが……
「こんなこととは何だ! 力いっぱい叩いても、相手に何のダメージも与えない珍しい武器をこんなこと呼ばわりするとはいてっ!」
三連発。
ひどくない?
ねぇ、ヨウミ。
今朝のお前、ちょっとひどくない?
「真面目に人の話を聞かんか! 話が進まんだろーが!」
……へい……。
……仲間も、フレイミーの連れたちも、若干呆れてるような……。
……俺、何も悪いことしてないのに……。
「コホン。単刀直入に申します。あなたの仲間達……希少種の魔物達を引き取らせていただきます」
って、はあぁ?!
何、藪から棒にっ。
「そして、このお店も、私達が引き継がせていただきます」
おいこら。ちょっと待て。
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