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邪なるモノか聖なるモノか
のんびりしてた昼休みに
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(心配しないで。私があなたを、ずっと守ってあげるから)
(そこまで僕のことを優しくしてくれるのは……どうして?)
(あの子のようにあなたも弱く、そして誰からも愛されず、そして、泣いていたから)
(あの子? 誰のこと? それに僕、泣いてないよ?)
(もう、無理しなくていいの。……今まで無理やり周りに合わせてきたんでしょ? もういいの。苦しい、つらい思いは絶対にさせないから、安心して?)
(……う……うん……)
※※※※※ ※※※※※
「ところでお前らさぁ」
「何? アラタ」
最近、こいつらについてちょっと気になることを聞いてみた。
「お前ら、集団戦ほぼ毎日やってんじゃん」
「まあ、そうだなあ」
「武器とか防具の消耗、激しかったりするの?」
全員、人間より体力はある。
体力もあれば、対峙した時には圧も感じられる。
それは威圧的な意味ばかりじゃなく、物理的な意味合いも当然ある。
肉弾戦ならそれほど気にすることじゃない。
休めば治る。ただそれだけのこと。
だが武器や防具を装備した時、体よりもそれらのダメージの方が間違いなくでかい。
休めば修復されるってもんでもないしな。
もっとも、サミーには特に案ずるところはなさそう。
こないだの糸の件以外、痛がることは全くなかったし。
「あたしは弓での攻撃を中心に行動を組み立ててるから、防具の損傷とかはあんまりないわね」
いや、弓なら尚更だろ?
「弓撃ったら、矢が減るじゃん」
「いやあ、そんなことお、なかったぞお?」
何でモーナーが答えるんだ?
マッキーも何やら慌ててるし。
何かあったのか?
……この二人、恋仲とか?!
「あー、えっと、弓も矢も、失くしたり壊れたりしてもその場で調達できるのよ。矢じりの強度は劣るけどね」
素材は木製。
けど矢じりは石を削った物が主だとか。
その場で調達するってば、確かに石を矢じりの形に整える必要があるだろうから、そんな時間もないならその作業は省かなきゃならん。
となれば、矢の素材の木の先端を尖らして急場を凌ぐ、と。
だが、石よりは威力が落ちる。ないよりはましだが、ということらしい。
「絶対不足にならないくらいの本数持ってくと、今度は機動力が下がっちゃうし、移動の途中で落としたりするとあとでいろいろとね」
まぁいろいろとあるらしい。
「私は体の強度を強くするだけでいいから、あまり防具のことは気にしないです。ライムも、ですよね?」
「ウン、ソウダネ」
そりゃそうだ。
体の形を変えられるクリマーとライムには、体型に合わせなきゃいけない防具は逆に相性が悪い、というもあるんだとか。
「デモ、シュウダンセンデハ、ブキハヒツヨウカナー」
ライムの攻撃法は、自分の体に敵を取り込んで溶かす、結果がデッドオアアライブの一択だから。
そんなん、確かに訓練の相手にするには怖くてしょうがねぇよな。
「俺も、防具はあんまり気にしねぇけど、武器は欲しいな。素手でもいいんだども、間合いがな。ンーゴは……言わねくても分かんべや」
ミアーノは意外だったな。
でも確かにンーゴは……。
いや、逆にこいつに合う武器と防具があるなら見てみたい……。
「あたしもいらないなー。鐙とかつけると、逆に危ないから」
確かにテンちゃんは、背に誰かを乗せる時は何もつけない方がいい。
飛んでる間、体が傾いても落ちそうになかった。
逆に鐙をつけると、落ちてしまいそうな気がする。
でも六本の足に防具をつけるくらいのことはしたらいいんじゃねぇのかなぁ。
「待て。今、ライム、武器は必要みたいなこと言ったよな?」
「ン? イッタヨ? ソレガドウシタノ?」
「体の一部を武器みたいに変えたら……いや、装備品みたいにしたら、それこそ万能じゃねぇの?」
「デモ、ドンナカタチノブキトカボウグトカアルカ、ワカンナイカラ……」
なるほど。
か鋳物のために武器だのが必要なんじゃなくて、変化する形がどんな物を参考にしたらいいか分かんないから、ということか。
難儀だなぁ……。
「でもこないだ、メイスの店に行った時は散々だったわよね。まさか客から取り押さえられそうになるなんて……」
おいコーティ。
その話、もっと詳しく!
※※※※※ ※※※※※
アラタの仲間達は時々メイスの店に買い物に行く。
しょっちゅう足を運んでいるのはマッキー。
矢の消費が激しく、しかもメイスオリジナルの武器や防具が揃っているため、常に質は向上している。
毎日店を訪れても、何らかの収穫は得られる、とのこと。
「いらっしゃいま……あぁ、アラタさんとこの皆さんじゃないですか。いらっしゃい。お買い物ですか?」
その日、店を訪れたのは、マッキーとコーティとライム。
メイスの挨拶に真っ先に応えたのはコーティ。
「んー、ちょっと、どんなのがあるのかなーって」
「あたしはいつもの通り、矢を見に来たわ。いいのがあったら束で買うから。……相変わらずいいの置いてるわね」
値段によって本数は変わるが、最少でも一束十本で売られている。
もちろんマッキーが一度に買う本数は、十本や二十本なわけがない。
規模が小さいメイスの店にとっては、マッキーはちょっとした太客だ。
「ありがとうございます。……ライムさん、店内を見て回るのはいいんですが、模倣は控えてくださいね?」
「ドウシテ? イママデソンナコトイワレタコト、ナカッタヨ?」
「いや、最近ちょっとこう……親切で教えてくれる客がいるんですが……」
この店に置かれている品物は、メイスの手作りの一点物。
メイスの店オリジナルのシンボルがあり、その焼き印などが賞品のすべてに刻まれている。
だから同じ物は一つとして存在せず、同じ物が存在すること自体あり得ない。
そしてその印があれば、メイスの店で製造され、販売されている物と判断できる。
店外で、ここで扱われている品物と同じ武器を見た、という通報があった、とのこと。
「ンジャ、ソトデハシナイコトニスルヨ」
「はい、そうしてください」
ライムは体積の増加がない限り、どんな形にも変えられる体。
強度は思いのままだから、メイスの言う通り、彼の作った物を忠実に再現できる。
別に盗むわけでもなし、店の外で同じような物を作るためのデータ集めをするわけでもなし。
メイスにも何の被害もないから咎められることもなかったのだが……。
「見事なものねぇ、ライム」
「ホント。どっちがほんとの武器か分かんない。でも、その人の姿は誰か見本いるの?」
「いないわヨ? 私が、こういう人はどうかなーって想像して作ってみただケ」
「言葉遣いも流暢になるってのは不思議だなぁ。ライムさんだなんて、誰も思いもしないですよ」
時々しか会うことがないメイスが感嘆するほどの擬態能力である。
ライムの人間体は、新と一緒にドーセンの店に行った時の擬態。
武器を手にしているが、もちろんそれもライムの体の一部。
だから、武器を握った手を広げても接面が極端に狭くなるだけで、体から離れて落ちることはない。
ちなみにその武器の体積の分だけ、身長はあの時よりも低くなっている。
「このこん棒、なかなかいい感じに使えそウ。これ、頂こうかしラ?」
「すいません。それはライムさんの体の一部なので、お売りできません」
メイスの返事にマッキーとコーティは大笑い。
そこに新たな客がやってきたのだが……。
「こんちはー」
「武器と防具買いに来たんです……が……」
「おい、みんな! この人を取り押さえろ!」
「おうっ!」
女性とは言え、武器を手にして振り回そうとしている。
暴れ始めたら、相手は女性と言えどそう簡単には抑えられない。
暴れる前に制圧するのが、一番被害が少ない防衛措置。
「エ? あノ……」
「大人しくしろ!」
「あんたたち、怪我は……って、コーティさんとマッキーさん? 大丈夫ですか?!」
「おい、メイス! 自警団に連絡! 急げ!」
ライムは、来客の冒険者達に思いっきり勘違いされてしまったのだった。
※※※※※ ※※※※※
「……てことがあったのよ」
「ぶわははは」
面白過ぎる!
どこのどいつだよ、その冒険者達は!
「取り上げようとしたって取り上げられない武器ってことだよな、そいつらにとっちゃよお! あはははは」
「アラタ、ワライスギ」
仕方ねぇだろう。
ネタになるな、その話。
「あはは……。でも実際には、手放したくても手放せられない装備品なんてあるのか?」
ゲームでは時々見かけるな。
呪われた武器とか防具とか。
この世界ではどうなんだろう。
「ないこともないんじゃない? よく分かんないけど」
「あたしは聞いたことはないな。村の宿でも、そんな装備の宿泊客なんて見たことないし、あったらどこかで処置されてたりするんじゃない?」
なるほどヨウミの言う通りだ。
ほったらかしにする手はないだろう。
けど、呪いって、どんな効果があるのかね。
まぁ滅多に見ない物なら、俺が目にすることだってないだろうから、気にすることでもないだろう。
が、知識欲というか、好奇心で知りたいってのはあるが……。
「あたしには関係ないからなー」
「俺らも知らね」
「ダナ」
装備品とほとんど縁のない仲間は、俺よりも無関心。
まぁそうだろうな。
「何やら面白そうな話してるじゃないか、アラタ」
「私達も、その話混ぜてくれない? というか、私達が持ってきた話と微妙に絡むから、私達の話も聞いてくれない?」
昼飯が終わって食休みの時間にやってきたのは、久々に目にする白銀の鎧姿の……。
「……誰だっけ?」
「おいっ」
「ちょっと、アラタ……まったくあなたってば相変わらずね……。レーカよ。こっちはアークス。ほんとに忘れた?」
「エイシアンム殿下の親衛隊だよ!」
おう。
言われてみればそうだった。
久しぶり過ぎる。
……で、もうあいつとは……縁切ったって程じゃないんだが……。
あいつの親衛隊だって、ここにはもう用はないはずだろう?
ましてや装備品の話?
どういうこと?
「……実は、場合によっちゃ、この国の将来が揺らぐかも分からん案件があってな」
「第三者としての意見を聞きたくて」
何?
また俺、何かのトラブルに巻き込まれんの?
止めてくれよ……。
(そこまで僕のことを優しくしてくれるのは……どうして?)
(あの子のようにあなたも弱く、そして誰からも愛されず、そして、泣いていたから)
(あの子? 誰のこと? それに僕、泣いてないよ?)
(もう、無理しなくていいの。……今まで無理やり周りに合わせてきたんでしょ? もういいの。苦しい、つらい思いは絶対にさせないから、安心して?)
(……う……うん……)
※※※※※ ※※※※※
「ところでお前らさぁ」
「何? アラタ」
最近、こいつらについてちょっと気になることを聞いてみた。
「お前ら、集団戦ほぼ毎日やってんじゃん」
「まあ、そうだなあ」
「武器とか防具の消耗、激しかったりするの?」
全員、人間より体力はある。
体力もあれば、対峙した時には圧も感じられる。
それは威圧的な意味ばかりじゃなく、物理的な意味合いも当然ある。
肉弾戦ならそれほど気にすることじゃない。
休めば治る。ただそれだけのこと。
だが武器や防具を装備した時、体よりもそれらのダメージの方が間違いなくでかい。
休めば修復されるってもんでもないしな。
もっとも、サミーには特に案ずるところはなさそう。
こないだの糸の件以外、痛がることは全くなかったし。
「あたしは弓での攻撃を中心に行動を組み立ててるから、防具の損傷とかはあんまりないわね」
いや、弓なら尚更だろ?
「弓撃ったら、矢が減るじゃん」
「いやあ、そんなことお、なかったぞお?」
何でモーナーが答えるんだ?
マッキーも何やら慌ててるし。
何かあったのか?
……この二人、恋仲とか?!
「あー、えっと、弓も矢も、失くしたり壊れたりしてもその場で調達できるのよ。矢じりの強度は劣るけどね」
素材は木製。
けど矢じりは石を削った物が主だとか。
その場で調達するってば、確かに石を矢じりの形に整える必要があるだろうから、そんな時間もないならその作業は省かなきゃならん。
となれば、矢の素材の木の先端を尖らして急場を凌ぐ、と。
だが、石よりは威力が落ちる。ないよりはましだが、ということらしい。
「絶対不足にならないくらいの本数持ってくと、今度は機動力が下がっちゃうし、移動の途中で落としたりするとあとでいろいろとね」
まぁいろいろとあるらしい。
「私は体の強度を強くするだけでいいから、あまり防具のことは気にしないです。ライムも、ですよね?」
「ウン、ソウダネ」
そりゃそうだ。
体の形を変えられるクリマーとライムには、体型に合わせなきゃいけない防具は逆に相性が悪い、というもあるんだとか。
「デモ、シュウダンセンデハ、ブキハヒツヨウカナー」
ライムの攻撃法は、自分の体に敵を取り込んで溶かす、結果がデッドオアアライブの一択だから。
そんなん、確かに訓練の相手にするには怖くてしょうがねぇよな。
「俺も、防具はあんまり気にしねぇけど、武器は欲しいな。素手でもいいんだども、間合いがな。ンーゴは……言わねくても分かんべや」
ミアーノは意外だったな。
でも確かにンーゴは……。
いや、逆にこいつに合う武器と防具があるなら見てみたい……。
「あたしもいらないなー。鐙とかつけると、逆に危ないから」
確かにテンちゃんは、背に誰かを乗せる時は何もつけない方がいい。
飛んでる間、体が傾いても落ちそうになかった。
逆に鐙をつけると、落ちてしまいそうな気がする。
でも六本の足に防具をつけるくらいのことはしたらいいんじゃねぇのかなぁ。
「待て。今、ライム、武器は必要みたいなこと言ったよな?」
「ン? イッタヨ? ソレガドウシタノ?」
「体の一部を武器みたいに変えたら……いや、装備品みたいにしたら、それこそ万能じゃねぇの?」
「デモ、ドンナカタチノブキトカボウグトカアルカ、ワカンナイカラ……」
なるほど。
か鋳物のために武器だのが必要なんじゃなくて、変化する形がどんな物を参考にしたらいいか分かんないから、ということか。
難儀だなぁ……。
「でもこないだ、メイスの店に行った時は散々だったわよね。まさか客から取り押さえられそうになるなんて……」
おいコーティ。
その話、もっと詳しく!
※※※※※ ※※※※※
アラタの仲間達は時々メイスの店に買い物に行く。
しょっちゅう足を運んでいるのはマッキー。
矢の消費が激しく、しかもメイスオリジナルの武器や防具が揃っているため、常に質は向上している。
毎日店を訪れても、何らかの収穫は得られる、とのこと。
「いらっしゃいま……あぁ、アラタさんとこの皆さんじゃないですか。いらっしゃい。お買い物ですか?」
その日、店を訪れたのは、マッキーとコーティとライム。
メイスの挨拶に真っ先に応えたのはコーティ。
「んー、ちょっと、どんなのがあるのかなーって」
「あたしはいつもの通り、矢を見に来たわ。いいのがあったら束で買うから。……相変わらずいいの置いてるわね」
値段によって本数は変わるが、最少でも一束十本で売られている。
もちろんマッキーが一度に買う本数は、十本や二十本なわけがない。
規模が小さいメイスの店にとっては、マッキーはちょっとした太客だ。
「ありがとうございます。……ライムさん、店内を見て回るのはいいんですが、模倣は控えてくださいね?」
「ドウシテ? イママデソンナコトイワレタコト、ナカッタヨ?」
「いや、最近ちょっとこう……親切で教えてくれる客がいるんですが……」
この店に置かれている品物は、メイスの手作りの一点物。
メイスの店オリジナルのシンボルがあり、その焼き印などが賞品のすべてに刻まれている。
だから同じ物は一つとして存在せず、同じ物が存在すること自体あり得ない。
そしてその印があれば、メイスの店で製造され、販売されている物と判断できる。
店外で、ここで扱われている品物と同じ武器を見た、という通報があった、とのこと。
「ンジャ、ソトデハシナイコトニスルヨ」
「はい、そうしてください」
ライムは体積の増加がない限り、どんな形にも変えられる体。
強度は思いのままだから、メイスの言う通り、彼の作った物を忠実に再現できる。
別に盗むわけでもなし、店の外で同じような物を作るためのデータ集めをするわけでもなし。
メイスにも何の被害もないから咎められることもなかったのだが……。
「見事なものねぇ、ライム」
「ホント。どっちがほんとの武器か分かんない。でも、その人の姿は誰か見本いるの?」
「いないわヨ? 私が、こういう人はどうかなーって想像して作ってみただケ」
「言葉遣いも流暢になるってのは不思議だなぁ。ライムさんだなんて、誰も思いもしないですよ」
時々しか会うことがないメイスが感嘆するほどの擬態能力である。
ライムの人間体は、新と一緒にドーセンの店に行った時の擬態。
武器を手にしているが、もちろんそれもライムの体の一部。
だから、武器を握った手を広げても接面が極端に狭くなるだけで、体から離れて落ちることはない。
ちなみにその武器の体積の分だけ、身長はあの時よりも低くなっている。
「このこん棒、なかなかいい感じに使えそウ。これ、頂こうかしラ?」
「すいません。それはライムさんの体の一部なので、お売りできません」
メイスの返事にマッキーとコーティは大笑い。
そこに新たな客がやってきたのだが……。
「こんちはー」
「武器と防具買いに来たんです……が……」
「おい、みんな! この人を取り押さえろ!」
「おうっ!」
女性とは言え、武器を手にして振り回そうとしている。
暴れ始めたら、相手は女性と言えどそう簡単には抑えられない。
暴れる前に制圧するのが、一番被害が少ない防衛措置。
「エ? あノ……」
「大人しくしろ!」
「あんたたち、怪我は……って、コーティさんとマッキーさん? 大丈夫ですか?!」
「おい、メイス! 自警団に連絡! 急げ!」
ライムは、来客の冒険者達に思いっきり勘違いされてしまったのだった。
※※※※※ ※※※※※
「……てことがあったのよ」
「ぶわははは」
面白過ぎる!
どこのどいつだよ、その冒険者達は!
「取り上げようとしたって取り上げられない武器ってことだよな、そいつらにとっちゃよお! あはははは」
「アラタ、ワライスギ」
仕方ねぇだろう。
ネタになるな、その話。
「あはは……。でも実際には、手放したくても手放せられない装備品なんてあるのか?」
ゲームでは時々見かけるな。
呪われた武器とか防具とか。
この世界ではどうなんだろう。
「ないこともないんじゃない? よく分かんないけど」
「あたしは聞いたことはないな。村の宿でも、そんな装備の宿泊客なんて見たことないし、あったらどこかで処置されてたりするんじゃない?」
なるほどヨウミの言う通りだ。
ほったらかしにする手はないだろう。
けど、呪いって、どんな効果があるのかね。
まぁ滅多に見ない物なら、俺が目にすることだってないだろうから、気にすることでもないだろう。
が、知識欲というか、好奇心で知りたいってのはあるが……。
「あたしには関係ないからなー」
「俺らも知らね」
「ダナ」
装備品とほとんど縁のない仲間は、俺よりも無関心。
まぁそうだろうな。
「何やら面白そうな話してるじゃないか、アラタ」
「私達も、その話混ぜてくれない? というか、私達が持ってきた話と微妙に絡むから、私達の話も聞いてくれない?」
昼飯が終わって食休みの時間にやってきたのは、久々に目にする白銀の鎧姿の……。
「……誰だっけ?」
「おいっ」
「ちょっと、アラタ……まったくあなたってば相変わらずね……。レーカよ。こっちはアークス。ほんとに忘れた?」
「エイシアンム殿下の親衛隊だよ!」
おう。
言われてみればそうだった。
久しぶり過ぎる。
……で、もうあいつとは……縁切ったって程じゃないんだが……。
あいつの親衛隊だって、ここにはもう用はないはずだろう?
ましてや装備品の話?
どういうこと?
「……実は、場合によっちゃ、この国の将来が揺らぐかも分からん案件があってな」
「第三者としての意見を聞きたくて」
何?
また俺、何かのトラブルに巻き込まれんの?
止めてくれよ……。
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○○○
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