拉致られて箱庭掃除をやらされてます。~きっと犯人は闇の組織に違いない

那珂川

文字の大きさ
33 / 58

マクセルワイヤーの大仕事

しおりを挟む
 俺が上級神となりそのまま創造神へと認められ、どんな世界を創ろうか悩んでいた頃、既に世界を創り終えていたローマンザックが相談に乗ってくれた。

「人族を先に創ると発展は進むけど、繁殖力が強いんだよね」

「じゃあ、やっぱ星の魔素を上手く使える魔族当たりが先か?」

「魔族以外の種族も同時に創った方が良いと思うよ。彼らは繁殖力は弱いけど、魔素を魔法や魔術に変える力、獣人は身体強化に回すのに長けた種族だから、星の安定が早くなる。人族はそれからだね。でも注意しないと人族は他の種族を直ぐに差別し始めるから特に監視の目が必要だよ」

「だったら眷属増やすかなぁ。創るとしたら女の眷属が良いな」

「出たよ、女好き」

 ローマンザックことローマンは頭部が猫、身体は人族と言った形を取った同僚だが、偶に頭部も人族になる時があった。
 その時は猫の耳が付いているが、非常に美しい神だ。
 神だから色んな姿を創れそうなものだが、大体楽で居られる姿に皆落ち着く。
 持ってる魂の気質が関係しているらしいが、誰もそれについて研究した者はいない。
 俺としては頭部も人族の時が好ましいのだが、猫の方が楽らしい。

「お前の人型の時と同じ顔の女の眷属ってのはどうだ?目の保養になりそうだ」

 そんなことを俺が言うと、あからさまに嫌な顔をする。

「それ、絶対止めろよな」

 残念だ。

「それと発展具合だけど、ある程度以上は抑えた方が良いかもしれない」

「ん?何でだ?」

「文明が発展し過ぎると自然破壊が始まって魔素が減るからさ」

 詳しく聞けば、12番目の世界が発展し過ぎて自然破壊が著しいらしく、人族以外の種族が徐々に数を減らしているそうだ。
 そう聞くと人族ってのは魔族や他の種族よりも力が劣っているのにしぶとい生き物なんだなと思う。
 まぁ弱いから繁殖力が強いのか。

 ローマンのアドバイスを加味しながら自分の世界を創って3000年、俺の世界はのんびりとして安定していた。
 懸念された人族と他の種族の争いも無かった。
 眷属の女達(女神と名付けた)が監視を怠らなかったからだ。

 ある日女神の一人が居なくなった。
 他の女神に聞いてみると、その女神の元に23番の創造神カルキントスが直々来ていて、どうやらいつの間にか良い仲になったらしい。
 俺は別に女神達の恋愛を否定しているのでは無い。
 俺に相談してくれれば移転の手続きも時間は掛かるが行っていただろう。
 しかしその女神はカルキントスの入れ知恵か、追跡から逃れる為か、自身が監視している地域をひっちゃかめっちゃかにして姿を消した。

 その女神が監視していたのは宗教的な力を誇示する人族の国で、創造神である俺とは違う女神を主神とした宗教国家だった。
 その国に女神として神託を降し、人族以外を滅ぼす様に仕向けたのだ。

 それからその国に加担する国と、他の種族を守る国に別れて戦争が起きた。

 自然に起こってしまった戦争なら創造神である俺が手を出す訳にはいかないが、今回は女神が起こしたと言ってもいい戦争だ。

 俺は眷属の別の女神を何人か地上に派遣し、漸くその宗教国家の国主をすげ替えることで何とか抑えることが出来た。
 後々の慰謝料請求等はそれぞれの国の代表に任せたが、俺の怒りは計り知れなかったと当時頑張ってくれた女神達は口々に言う。

 それから俺は二人の行方を探した。
 情報屋から情報を得て探すが、何回もすり抜けられた。
 漸く二人を捕まえたの場所は地球だった。

 地球は多くの神々が管理しているが、監視している訳じゃない。基本地上世界にはノータッチだ。
 だからこそ隠れ易かったのだろう。
 人に紛れて手を繋いで歩く姿を後ろから見ていて、頭に血が上った俺は仕方ないと思う。

 直ぐに二人をそれぞれ縛り上げて地球を離れた。
 女神の方は俺の世界の無限牢に閉じ込める。
 直ぐにでも存在を消せるが、反省させる為にそうした。

 カルキントスがそれを見て釣り上げられた魚の様に暴れた為、鎖を持ってそこら中にぶち当てた。
 やっと動かなくなったので、以前ローマンから連絡が来ていたこともあり、23番目の世界へ新たに来てくれた神の見習いに会いに行った。

 あの硬派で実直なローマンが気に入った人間だと言うことでかなり気になっていたのだ。

 23番の浮島に降り立つとフェンリル達がボールで遊んでいた。
 俺に気付いて挨拶しに来るが、手に持っていたカルキントスを見て唖然としていた。
 そりゃ、元ご主人様だもんな。

 取り敢えず二頭に笑顔で挨拶し、玄関の呼び鈴を押す。
 しかしこじんまりとした可愛らしい家だな。
 地球で言えば観光地にあるペンションみたいな感じか?

 出て来た彼は小さくてホンワカした感じの子だった。
 しかしその魂の眩さに驚いた。
 何て美しいんだろうか。
 創造神である俺でも久々にお目にかかったぐらいだ。
 ローマンもこの輝きに惹かれたんだろう。

 彼の視線が俺の顔から手に移った時、ヤバいことに気付いた。彼の顔が青くなっていたからだ。
 ええぃ、誤魔化してしまえ。
 カルキントスの頭から手を話して家に入れて貰う。

 彼は予想以上に気を遣うタイプだった様だ。突然来てしまったことに後悔し始めた時に、ローマンが猫の姿で現れた。
 何だ、その姿は!?
 つーか、痛いんだよ、その猫パンチ!
 お前の方が力強いんだから加減しろ!
 そう思ってると、小声でローマンが耳元に話し掛けてくる。

「私が神であることはまだ彼に話してないんだ」

「え?なんで?」

「……撫でて貰いたいし甘えたいから」

 え?何を言ってるのかな?
 俺が無言になると鋭い目付きで睨んでくる。

「おまっ………いや、そう睨むなよ。というか、そうなると23番の眷属にもそう話を通してる訳?」

「彼等はまだ彼の魂の輝きが直で見れないからね。だから言語も解放していないよ」

「は??いくら23番の世界を救うのに助力したって言っても正座二ヶ月はさせられるぞ??」

「いいんだよ。その価値はある。兎に角彼はまだここが地球だと思ってる節があるから、当たり障りの無いように説明してよね」

 だから睨むなっつーの。

 それから俺は青い顔色をした彼に甘えるローマンを見ながら脱力気味に話せそうなことだけ説明した。

 一応怪しんだりしてないみたいだ。

 話も終わり、カルキントスを裁判所まで連れて行かなければならないのもあってお暇することにした。

 庭に出てローマンと話していると浮島の上空に23番の眷属の闇龍が現れた。

 そこで彼の魂の輝きの秘密がほんのひと握り明らかになった。

「うん、見ての通り、彼の原点はあの闇龍への生贄だよ。だから彼には自分の幸せを望む考えが全く無い。自己犠牲の輪廻を繰り返していたんだ」

「この世界から地球へ転生したのか?」

「いや、色んな世界で転生してるね。私の世界にも君の世界にも転生してる。それを知った時は流石に驚いたよ」

「あの魂の輝きに納得だな。しかしどうする?あの大きさの闇龍だと地球だって誤魔化せないぞ?」

 闇龍はヘルメットを被っている彼が、あの時の生贄だったことに気付いている。
 一目見た時からオイオイ泣いてるから、その涙で彼がビショビショになってるよ。

「ちょっと闇龍に説明して来る。君はこれから裁判所だろ?」

「あぁ、落ち着いたら又連絡する。だから後で闇龍と彼がどうなったのか教えてくれ」

「うわぁ、そのワクワクした顔、止めてよね」

 ローマンはそのまま闇龍まで飛び跳ねて行った。

 名残惜しいが、カルキントスの意識が戻る前に裁判所で預かって貰わなければならない。

 23番の管理人くん、俺は君を歓迎するぞ。又遊びに来るからな。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

処理中です...