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マクセルワイヤーの大仕事
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俺が上級神となりそのまま創造神へと認められ、どんな世界を創ろうか悩んでいた頃、既に世界を創り終えていたローマンザックが相談に乗ってくれた。
「人族を先に創ると発展は進むけど、繁殖力が強いんだよね」
「じゃあ、やっぱ星の魔素を上手く使える魔族当たりが先か?」
「魔族以外の種族も同時に創った方が良いと思うよ。彼らは繁殖力は弱いけど、魔素を魔法や魔術に変える力、獣人は身体強化に回すのに長けた種族だから、星の安定が早くなる。人族はそれからだね。でも注意しないと人族は他の種族を直ぐに差別し始めるから特に監視の目が必要だよ」
「だったら眷属増やすかなぁ。創るとしたら女の眷属が良いな」
「出たよ、女好き」
ローマンザックことローマンは頭部が猫、身体は人族と言った形を取った同僚だが、偶に頭部も人族になる時があった。
その時は猫の耳が付いているが、非常に美しい神だ。
神だから色んな姿を創れそうなものだが、大体楽で居られる姿に皆落ち着く。
持ってる魂の気質が関係しているらしいが、誰もそれについて研究した者はいない。
俺としては頭部も人族の時が好ましいのだが、猫の方が楽らしい。
「お前の人型の時と同じ顔の女の眷属ってのはどうだ?目の保養になりそうだ」
そんなことを俺が言うと、あからさまに嫌な顔をする。
「それ、絶対止めろよな」
残念だ。
「それと発展具合だけど、ある程度以上は抑えた方が良いかもしれない」
「ん?何でだ?」
「文明が発展し過ぎると自然破壊が始まって魔素が減るからさ」
詳しく聞けば、12番目の世界が発展し過ぎて自然破壊が著しいらしく、人族以外の種族が徐々に数を減らしているそうだ。
そう聞くと人族ってのは魔族や他の種族よりも力が劣っているのにしぶとい生き物なんだなと思う。
まぁ弱いから繁殖力が強いのか。
ローマンのアドバイスを加味しながら自分の世界を創って3000年、俺の世界はのんびりとして安定していた。
懸念された人族と他の種族の争いも無かった。
眷属の女達(女神と名付けた)が監視を怠らなかったからだ。
ある日女神の一人が居なくなった。
他の女神に聞いてみると、その女神の元に23番の創造神カルキントスが直々来ていて、どうやらいつの間にか良い仲になったらしい。
俺は別に女神達の恋愛を否定しているのでは無い。
俺に相談してくれれば移転の手続きも時間は掛かるが行っていただろう。
しかしその女神はカルキントスの入れ知恵か、追跡から逃れる為か、自身が監視している地域をひっちゃかめっちゃかにして姿を消した。
その女神が監視していたのは宗教的な力を誇示する人族の国で、創造神である俺とは違う女神を主神とした宗教国家だった。
その国に女神として神託を降し、人族以外を滅ぼす様に仕向けたのだ。
それからその国に加担する国と、他の種族を守る国に別れて戦争が起きた。
自然に起こってしまった戦争なら創造神である俺が手を出す訳にはいかないが、今回は女神が起こしたと言ってもいい戦争だ。
俺は眷属の別の女神を何人か地上に派遣し、漸くその宗教国家の国主をすげ替えることで何とか抑えることが出来た。
後々の慰謝料請求等はそれぞれの国の代表に任せたが、俺の怒りは計り知れなかったと当時頑張ってくれた女神達は口々に言う。
それから俺は二人の行方を探した。
情報屋から情報を得て探すが、何回もすり抜けられた。
漸く二人を捕まえたの場所は地球だった。
地球は多くの神々が管理しているが、監視している訳じゃない。基本地上世界にはノータッチだ。
だからこそ隠れ易かったのだろう。
人に紛れて手を繋いで歩く姿を後ろから見ていて、頭に血が上った俺は仕方ないと思う。
直ぐに二人をそれぞれ縛り上げて地球を離れた。
女神の方は俺の世界の無限牢に閉じ込める。
直ぐにでも存在を消せるが、反省させる為にそうした。
カルキントスがそれを見て釣り上げられた魚の様に暴れた為、鎖を持ってそこら中にぶち当てた。
やっと動かなくなったので、以前ローマンから連絡が来ていたこともあり、23番目の世界へ新たに来てくれた神の見習いに会いに行った。
あの硬派で実直なローマンが気に入った人間だと言うことでかなり気になっていたのだ。
23番の浮島に降り立つとフェンリル達がボールで遊んでいた。
俺に気付いて挨拶しに来るが、手に持っていたカルキントスを見て唖然としていた。
そりゃ、元ご主人様だもんな。
取り敢えず二頭に笑顔で挨拶し、玄関の呼び鈴を押す。
しかしこじんまりとした可愛らしい家だな。
地球で言えば観光地にあるペンションみたいな感じか?
出て来た彼は小さくてホンワカした感じの子だった。
しかしその魂の眩さに驚いた。
何て美しいんだろうか。
創造神である俺でも久々にお目にかかったぐらいだ。
ローマンもこの輝きに惹かれたんだろう。
彼の視線が俺の顔から手に移った時、ヤバいことに気付いた。彼の顔が青くなっていたからだ。
ええぃ、誤魔化してしまえ。
カルキントスの頭から手を話して家に入れて貰う。
彼は予想以上に気を遣うタイプだった様だ。突然来てしまったことに後悔し始めた時に、ローマンが猫の姿で現れた。
何だ、その姿は!?
つーか、痛いんだよ、その猫パンチ!
お前の方が力強いんだから加減しろ!
そう思ってると、小声でローマンが耳元に話し掛けてくる。
「私が神であることはまだ彼に話してないんだ」
「え?なんで?」
「……撫でて貰いたいし甘えたいから」
え?何を言ってるのかな?
俺が無言になると鋭い目付きで睨んでくる。
「おまっ………いや、そう睨むなよ。というか、そうなると23番の眷属にもそう話を通してる訳?」
「彼等はまだ彼の魂の輝きが直で見れないからね。だから言語も解放していないよ」
「は??いくら23番の世界を救うのに助力したって言っても正座二ヶ月はさせられるぞ??」
「いいんだよ。その価値はある。兎に角彼はまだここが地球だと思ってる節があるから、当たり障りの無いように説明してよね」
だから睨むなっつーの。
それから俺は青い顔色をした彼に甘えるローマンを見ながら脱力気味に話せそうなことだけ説明した。
一応怪しんだりしてないみたいだ。
話も終わり、カルキントスを裁判所まで連れて行かなければならないのもあってお暇することにした。
庭に出てローマンと話していると浮島の上空に23番の眷属の闇龍が現れた。
そこで彼の魂の輝きの秘密がほんのひと握り明らかになった。
「うん、見ての通り、彼の原点はあの闇龍への生贄だよ。だから彼には自分の幸せを望む考えが全く無い。自己犠牲の輪廻を繰り返していたんだ」
「この世界から地球へ転生したのか?」
「いや、色んな世界で転生してるね。私の世界にも君の世界にも転生してる。それを知った時は流石に驚いたよ」
「あの魂の輝きに納得だな。しかしどうする?あの大きさの闇龍だと地球だって誤魔化せないぞ?」
闇龍はヘルメットを被っている彼が、あの時の生贄だったことに気付いている。
一目見た時からオイオイ泣いてるから、その涙で彼がビショビショになってるよ。
「ちょっと闇龍に説明して来る。君はこれから裁判所だろ?」
「あぁ、落ち着いたら又連絡する。だから後で闇龍と彼がどうなったのか教えてくれ」
「うわぁ、そのワクワクした顔、止めてよね」
ローマンはそのまま闇龍まで飛び跳ねて行った。
名残惜しいが、カルキントスの意識が戻る前に裁判所で預かって貰わなければならない。
23番の管理人くん、俺は君を歓迎するぞ。又遊びに来るからな。
「人族を先に創ると発展は進むけど、繁殖力が強いんだよね」
「じゃあ、やっぱ星の魔素を上手く使える魔族当たりが先か?」
「魔族以外の種族も同時に創った方が良いと思うよ。彼らは繁殖力は弱いけど、魔素を魔法や魔術に変える力、獣人は身体強化に回すのに長けた種族だから、星の安定が早くなる。人族はそれからだね。でも注意しないと人族は他の種族を直ぐに差別し始めるから特に監視の目が必要だよ」
「だったら眷属増やすかなぁ。創るとしたら女の眷属が良いな」
「出たよ、女好き」
ローマンザックことローマンは頭部が猫、身体は人族と言った形を取った同僚だが、偶に頭部も人族になる時があった。
その時は猫の耳が付いているが、非常に美しい神だ。
神だから色んな姿を創れそうなものだが、大体楽で居られる姿に皆落ち着く。
持ってる魂の気質が関係しているらしいが、誰もそれについて研究した者はいない。
俺としては頭部も人族の時が好ましいのだが、猫の方が楽らしい。
「お前の人型の時と同じ顔の女の眷属ってのはどうだ?目の保養になりそうだ」
そんなことを俺が言うと、あからさまに嫌な顔をする。
「それ、絶対止めろよな」
残念だ。
「それと発展具合だけど、ある程度以上は抑えた方が良いかもしれない」
「ん?何でだ?」
「文明が発展し過ぎると自然破壊が始まって魔素が減るからさ」
詳しく聞けば、12番目の世界が発展し過ぎて自然破壊が著しいらしく、人族以外の種族が徐々に数を減らしているそうだ。
そう聞くと人族ってのは魔族や他の種族よりも力が劣っているのにしぶとい生き物なんだなと思う。
まぁ弱いから繁殖力が強いのか。
ローマンのアドバイスを加味しながら自分の世界を創って3000年、俺の世界はのんびりとして安定していた。
懸念された人族と他の種族の争いも無かった。
眷属の女達(女神と名付けた)が監視を怠らなかったからだ。
ある日女神の一人が居なくなった。
他の女神に聞いてみると、その女神の元に23番の創造神カルキントスが直々来ていて、どうやらいつの間にか良い仲になったらしい。
俺は別に女神達の恋愛を否定しているのでは無い。
俺に相談してくれれば移転の手続きも時間は掛かるが行っていただろう。
しかしその女神はカルキントスの入れ知恵か、追跡から逃れる為か、自身が監視している地域をひっちゃかめっちゃかにして姿を消した。
その女神が監視していたのは宗教的な力を誇示する人族の国で、創造神である俺とは違う女神を主神とした宗教国家だった。
その国に女神として神託を降し、人族以外を滅ぼす様に仕向けたのだ。
それからその国に加担する国と、他の種族を守る国に別れて戦争が起きた。
自然に起こってしまった戦争なら創造神である俺が手を出す訳にはいかないが、今回は女神が起こしたと言ってもいい戦争だ。
俺は眷属の別の女神を何人か地上に派遣し、漸くその宗教国家の国主をすげ替えることで何とか抑えることが出来た。
後々の慰謝料請求等はそれぞれの国の代表に任せたが、俺の怒りは計り知れなかったと当時頑張ってくれた女神達は口々に言う。
それから俺は二人の行方を探した。
情報屋から情報を得て探すが、何回もすり抜けられた。
漸く二人を捕まえたの場所は地球だった。
地球は多くの神々が管理しているが、監視している訳じゃない。基本地上世界にはノータッチだ。
だからこそ隠れ易かったのだろう。
人に紛れて手を繋いで歩く姿を後ろから見ていて、頭に血が上った俺は仕方ないと思う。
直ぐに二人をそれぞれ縛り上げて地球を離れた。
女神の方は俺の世界の無限牢に閉じ込める。
直ぐにでも存在を消せるが、反省させる為にそうした。
カルキントスがそれを見て釣り上げられた魚の様に暴れた為、鎖を持ってそこら中にぶち当てた。
やっと動かなくなったので、以前ローマンから連絡が来ていたこともあり、23番目の世界へ新たに来てくれた神の見習いに会いに行った。
あの硬派で実直なローマンが気に入った人間だと言うことでかなり気になっていたのだ。
23番の浮島に降り立つとフェンリル達がボールで遊んでいた。
俺に気付いて挨拶しに来るが、手に持っていたカルキントスを見て唖然としていた。
そりゃ、元ご主人様だもんな。
取り敢えず二頭に笑顔で挨拶し、玄関の呼び鈴を押す。
しかしこじんまりとした可愛らしい家だな。
地球で言えば観光地にあるペンションみたいな感じか?
出て来た彼は小さくてホンワカした感じの子だった。
しかしその魂の眩さに驚いた。
何て美しいんだろうか。
創造神である俺でも久々にお目にかかったぐらいだ。
ローマンもこの輝きに惹かれたんだろう。
彼の視線が俺の顔から手に移った時、ヤバいことに気付いた。彼の顔が青くなっていたからだ。
ええぃ、誤魔化してしまえ。
カルキントスの頭から手を話して家に入れて貰う。
彼は予想以上に気を遣うタイプだった様だ。突然来てしまったことに後悔し始めた時に、ローマンが猫の姿で現れた。
何だ、その姿は!?
つーか、痛いんだよ、その猫パンチ!
お前の方が力強いんだから加減しろ!
そう思ってると、小声でローマンが耳元に話し掛けてくる。
「私が神であることはまだ彼に話してないんだ」
「え?なんで?」
「……撫でて貰いたいし甘えたいから」
え?何を言ってるのかな?
俺が無言になると鋭い目付きで睨んでくる。
「おまっ………いや、そう睨むなよ。というか、そうなると23番の眷属にもそう話を通してる訳?」
「彼等はまだ彼の魂の輝きが直で見れないからね。だから言語も解放していないよ」
「は??いくら23番の世界を救うのに助力したって言っても正座二ヶ月はさせられるぞ??」
「いいんだよ。その価値はある。兎に角彼はまだここが地球だと思ってる節があるから、当たり障りの無いように説明してよね」
だから睨むなっつーの。
それから俺は青い顔色をした彼に甘えるローマンを見ながら脱力気味に話せそうなことだけ説明した。
一応怪しんだりしてないみたいだ。
話も終わり、カルキントスを裁判所まで連れて行かなければならないのもあってお暇することにした。
庭に出てローマンと話していると浮島の上空に23番の眷属の闇龍が現れた。
そこで彼の魂の輝きの秘密がほんのひと握り明らかになった。
「うん、見ての通り、彼の原点はあの闇龍への生贄だよ。だから彼には自分の幸せを望む考えが全く無い。自己犠牲の輪廻を繰り返していたんだ」
「この世界から地球へ転生したのか?」
「いや、色んな世界で転生してるね。私の世界にも君の世界にも転生してる。それを知った時は流石に驚いたよ」
「あの魂の輝きに納得だな。しかしどうする?あの大きさの闇龍だと地球だって誤魔化せないぞ?」
闇龍はヘルメットを被っている彼が、あの時の生贄だったことに気付いている。
一目見た時からオイオイ泣いてるから、その涙で彼がビショビショになってるよ。
「ちょっと闇龍に説明して来る。君はこれから裁判所だろ?」
「あぁ、落ち着いたら又連絡する。だから後で闇龍と彼がどうなったのか教えてくれ」
「うわぁ、そのワクワクした顔、止めてよね」
ローマンはそのまま闇龍まで飛び跳ねて行った。
名残惜しいが、カルキントスの意識が戻る前に裁判所で預かって貰わなければならない。
23番の管理人くん、俺は君を歓迎するぞ。又遊びに来るからな。
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