5 / 5
神官騎士
しおりを挟む
「君が五百人目の聖女様だね?」
翌日、言われたとおりに大聖堂へやってくると、案内された部屋には一人の神官が待っていました。
年は三十代前半くらいでしょうか。
立派な口ひげと、神官とは思えないような立派な体躯からすると彼は神官騎士かもしれません。
神官騎士とは、神官の中でも武闘派で、癒やしの力だけで無く武の力を持つ戦士のような者たちだと聞いています。
それだけ聞くと神に仕える身でありながら武力を振るう彼らは異常に思えるかもしれません。
ですが、神官というのは世界各地に出向いて人々を救済する人たちです。
なのでもちろん安全な所だけで無く危険な土地に出向く事も多く、そうなると癒やしの力しか持たない神官では自らの身すら守ることが出来ないわけで。
そういう土地に向かう場合、武の力も併せ持つ神官騎士が出向くか、もしくは神官騎士と共に他の神官が出向く事になるわけです。
「五百人目ですか?」
「ああ、君でちょうど五百人目の聖女様だ」
多い多いと聞いていましたが、まさか既に五百人もの聖女がこの王都にやって来ているとは驚きです。
昨日も私の後にかなりの人数の聖女が町を訪れたとも聞いています。
いったいこの先何人まで聖女が増えていくのでしょうか。
「君も大体察している通り、大勢の聖女様が同時に訪れたおかげで我々教会側も、王国側も今はかなり混乱している」
「わかります。私も混乱しています」
「なのでかなりの不便や迷惑を掛けることになるかもしれない。先に謝罪させて頂く」
そういって神官騎士は片手を胸に当て頭を下げました。
神官式の礼というやつでしょう。
「いえ、こちらこそご迷惑をおかけするかもしれません」
私も慌てて彼を真似て頭を下げます。
「本来なら聖女様には様々な公務を行って貰うために、その演習などを行って貰うのですが」
神官騎士は少し言いづらそうにしながら続ける。
「なにせ既に五百人もの聖女様がいらっしゃる状況では一人一人に時間を掛けるわけにもいかず」
「気にしないでください」
「そういうわけでして今は上層部の決定待ちに近い状況なのです」
「ということはしばらくは指示待ちということですか?」
「自由に王都を散策してもらっていても良いですし、この大聖堂の中で行われる訓練や授業に参加して貰ってもかまいません」
「訓練ですか?」
「ええ。礼儀作法から武術、魔法訓練などを行っております。ただし、現状だけで五百人もの聖女様がいらっしゃるので訓練や授業によっては既に定員になっていて参加できない物も出てきております」
いくら大聖堂が大きく、世界中の信者たちが訪れ神学などを学ぶように作られているとは言っても限度があるということでしょう。
私はその後、神官騎士から詳しい話を聞くと試しに授業へ参加するために大聖堂の奥へ向かったのでした。
翌日、言われたとおりに大聖堂へやってくると、案内された部屋には一人の神官が待っていました。
年は三十代前半くらいでしょうか。
立派な口ひげと、神官とは思えないような立派な体躯からすると彼は神官騎士かもしれません。
神官騎士とは、神官の中でも武闘派で、癒やしの力だけで無く武の力を持つ戦士のような者たちだと聞いています。
それだけ聞くと神に仕える身でありながら武力を振るう彼らは異常に思えるかもしれません。
ですが、神官というのは世界各地に出向いて人々を救済する人たちです。
なのでもちろん安全な所だけで無く危険な土地に出向く事も多く、そうなると癒やしの力しか持たない神官では自らの身すら守ることが出来ないわけで。
そういう土地に向かう場合、武の力も併せ持つ神官騎士が出向くか、もしくは神官騎士と共に他の神官が出向く事になるわけです。
「五百人目ですか?」
「ああ、君でちょうど五百人目の聖女様だ」
多い多いと聞いていましたが、まさか既に五百人もの聖女がこの王都にやって来ているとは驚きです。
昨日も私の後にかなりの人数の聖女が町を訪れたとも聞いています。
いったいこの先何人まで聖女が増えていくのでしょうか。
「君も大体察している通り、大勢の聖女様が同時に訪れたおかげで我々教会側も、王国側も今はかなり混乱している」
「わかります。私も混乱しています」
「なのでかなりの不便や迷惑を掛けることになるかもしれない。先に謝罪させて頂く」
そういって神官騎士は片手を胸に当て頭を下げました。
神官式の礼というやつでしょう。
「いえ、こちらこそご迷惑をおかけするかもしれません」
私も慌てて彼を真似て頭を下げます。
「本来なら聖女様には様々な公務を行って貰うために、その演習などを行って貰うのですが」
神官騎士は少し言いづらそうにしながら続ける。
「なにせ既に五百人もの聖女様がいらっしゃる状況では一人一人に時間を掛けるわけにもいかず」
「気にしないでください」
「そういうわけでして今は上層部の決定待ちに近い状況なのです」
「ということはしばらくは指示待ちということですか?」
「自由に王都を散策してもらっていても良いですし、この大聖堂の中で行われる訓練や授業に参加して貰ってもかまいません」
「訓練ですか?」
「ええ。礼儀作法から武術、魔法訓練などを行っております。ただし、現状だけで五百人もの聖女様がいらっしゃるので訓練や授業によっては既に定員になっていて参加できない物も出てきております」
いくら大聖堂が大きく、世界中の信者たちが訪れ神学などを学ぶように作られているとは言っても限度があるということでしょう。
私はその後、神官騎士から詳しい話を聞くと試しに授業へ参加するために大聖堂の奥へ向かったのでした。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
「異常」と言われて追放された最強聖女、隣国で超チートな癒しの力で溺愛される〜前世は過労死した介護士、今度は幸せになります〜
赤紫
恋愛
私、リリアナは前世で介護士として過労死した後、異世界で最強の癒しの力を持つ聖女に転生しました。でも完璧すぎる治療魔法を「異常」と恐れられ、婚約者の王太子から「君の力は危険だ」と婚約破棄されて魔獣の森に追放されてしまいます。
絶望の中で瀕死の隣国王子を救ったところ、「君は最高だ!」と初めて私の力を称賛してくれました。新天地では「真の聖女」と呼ばれ、前世の介護経験も活かして疫病を根絶!魔獣との共存も実現して、国民の皆さんから「ありがとう!」の声をたくさんいただきました。
そんな時、私を捨てた元の国で災いが起こり、「戻ってきて」と懇願されたけれど——「私を捨てた国には用はありません」。
今度こそ私は、私を理解してくれる人たちと本当の幸せを掴みます!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
料理スキルしか取り柄がない令嬢ですが、冷徹騎士団長の胃袋を掴んだら国一番の寵姫になってしまいました
さら
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢クラリッサ。
裁縫も舞踏も楽器も壊滅的、唯一の取り柄は――料理だけ。
「貴族の娘が台所仕事など恥だ」と笑われ、家からも見放され、辺境の冷徹騎士団長のもとへ“料理番”として嫁入りすることに。
恐れられる団長レオンハルトは無表情で冷徹。けれど、彼の皿はいつも空っぽで……?
温かいシチューで兵の心を癒し、香草の香りで団長の孤独を溶かす。気づけば彼の灰色の瞳は、わたしだけを見つめていた。
――料理しかできないはずの私が、いつの間にか「国一番の寵姫」と呼ばれている!?
胃袋から始まるシンデレラストーリー、ここに開幕!
誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。
木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。
それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。
誰にも信じてもらえず、罵倒される。
そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。
実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。
彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。
故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。
彼はミレイナを快く受け入れてくれた。
こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。
そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。
しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。
むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる