暁闇の騎士

琉斗六

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5.行き先

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 ダイアナの乗った飛竜が、森の樹々の向こうへと姿を消していく。
 ミスティは、その影が完全に見えなくなるまで、じっと立ち尽くしていた。

「彼女に言われたこと、気にしてるのか?」

 ダスクは野ウサギの肉を、焚き火で炙っている。

「なに?」
「感情の起伏が昔に比べて減ってること、自覚あるかい?」

 ミスティは火の近くに戻り、ダスクが差し出した野ウサギの肉を受け取る。
 無意識に味を確かめたが、 "美味い" とは言い難かった。

「まずそうに、食うなぁ」

 ダスクは呆れたように笑った。

「野営の食事なんて、美味いものでもないだろう?」
「そうか? こいつはマシだと思うがな」

 ミスティはふと、最後に "美味いもの" を食べたのはいつだったかと考えた。
 それ以前に、ずいぶん前からなにを食べても砂を噛むような気がしているような気もする。

「スヴェンがな……」

 空白を埋めるようにダスクが話し出す。
 だが、一瞬、誰のことかわからなかった。
 数秒の思考のあと、それがクリスの本名──スヴェン・ダムノスだと気づく。

 ミスティにとって、騎士の "個人名" は自分とは無関係の呼称だった。
 人間にとっての切り札であるミスティは、同時に同盟連邦評議会の "所有物" なのだから。

「おまえさんはな、戻るたびに笑わなくなってきてるって……そんなこと、ずっと言ってるんだよ」
「戻る……?」
「生き返ると言ったほうがわかりやすいか?」
「もともと、それほど朗らかな性格でもないぞ」
「そうだな。煌環騎士団ラディアントオーダーで、最も生真面目な男だと思うが、冗談の一つも言えないような野暮でもなかったぜ」

 そう言うと、ダスクは食事を終え、テントの設営を始めた。
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