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ラファエルは、ミスティを冷凍保存室へと連れてきた。
「僕をここに連れてきたって、騎士団長を蘇らせられる訳でもないだろう……」
「貴様の不死が解明できれば、レスターク様を蘇らせる手立てには出来る。だが、羽虫どもがこうもたかってくるのでは、うるさくてかなわん」
ラファエルはミスティを突き飛ばし、床に倒れた体に狙いも付けず数発、撃った。
「ああっ!」
肩に焼けつくような熱、腹の中で何かが破裂したような感覚、そして、太ももに走る痛みに脚が崩れた。
呻きながら倒れたミスティは、這うこともできなかった。
ミスティが傷で動けないことを目視で確認し、ラファエルは魔導コンピューターの操作パネルに向かった。
軽やかな起動音とともに、床からもう一つのクレイドルがせり上がってくる。
ラファエルは、ミスティをクレイドルに入れて、レスタークの遺体と共に運び出すつもりらしい。
するとその時、再び室内に銃声が轟いた。
コンピューターの画面が割れる。
ラファエルが振り返ると、入口にタイドがいた。
「いい加減にしないか! レスターク様は、我々がこんなに手を汚すことは望んでいない!」
「貴様にレスターク様のなにが分かる!」
互いに睨み合い、二人は同時に相手に殴りかかった。
老齢な魔導騎士で、肉弾戦は不得手だと言っていたタイドだが。
しかし彼もまた、老いを遠ざけるために、肉体を黒曜炭化シルフルーンで強化してあったのだ。
両者の腕がぶつかり合うと、大きな金属音が響く。
元はルミナリア騎士団で副団長を務めていたラファエルは、その大柄な体つきからも分かる通り、物理攻撃に長けている。
タイドは体格的に劣るところはあれど、魔導に関しては超一流であり、肉体のハンデを魔導で補いながら、互角に渡り合っていた。
「ミスティ。俺はきみを助けにきたんだぞ。きみが俺をかばってどうする!」
タイドの後ろから、部屋に入ってきたダスクが、倒れているミスティの傍に駆け寄った。
抱き起こされる感覚と、傷をいたわる様子や声音。
──そうだ……、彼も撃たれていたはずだ……。
ミスティは顔を上げ、抱き起こす相手の肩に手を伸ばした。
「……スヴェン……きみは、無事なのか……?」
「しっかりしろ。俺は、ダスクだ」
その言葉に、胸の奥で何かが、微かに軋んだ。
──いや、そうだ。救助に来たのはダスクだった。
「そう……、そうだったな……」
呟いたものの、その声には確信も納得もなかった。
ただ、体から失われていく血液とともに、思考や意識までもが流れ出ているような感覚がある。
「くそ……っ」
ダスクが、自分の袖を引き裂いて、太ももの傷を縛ってくれた。
金属がぶつかり合う、鈍い音。
二人は、ハッと顔を上げた。
ラファエルとタイドの戦いは、まだ続いていた。
「ダスク、ノートゥングはあるか?」
「ああ」
なぜダスクが自分の剣を使わず、ノートゥングを?
──だが、今は問いを挟む余地は無い。
ミスティはその剣を握り、ダスクの手を借りて立ち上がった。
魔力を刃に込める。
唯一ミスティの魔力にのみ呼応する剣身が、唸りとともに輝きを放つ。
狙うのは、ラファエルでもタイドでもない。
過去に縛られた希望を──それを解き放つべき未来へ。
──さようなら。
ルーファが焦がれた "伝説" に向けて、ミスティは一撃を放った。
「僕をここに連れてきたって、騎士団長を蘇らせられる訳でもないだろう……」
「貴様の不死が解明できれば、レスターク様を蘇らせる手立てには出来る。だが、羽虫どもがこうもたかってくるのでは、うるさくてかなわん」
ラファエルはミスティを突き飛ばし、床に倒れた体に狙いも付けず数発、撃った。
「ああっ!」
肩に焼けつくような熱、腹の中で何かが破裂したような感覚、そして、太ももに走る痛みに脚が崩れた。
呻きながら倒れたミスティは、這うこともできなかった。
ミスティが傷で動けないことを目視で確認し、ラファエルは魔導コンピューターの操作パネルに向かった。
軽やかな起動音とともに、床からもう一つのクレイドルがせり上がってくる。
ラファエルは、ミスティをクレイドルに入れて、レスタークの遺体と共に運び出すつもりらしい。
するとその時、再び室内に銃声が轟いた。
コンピューターの画面が割れる。
ラファエルが振り返ると、入口にタイドがいた。
「いい加減にしないか! レスターク様は、我々がこんなに手を汚すことは望んでいない!」
「貴様にレスターク様のなにが分かる!」
互いに睨み合い、二人は同時に相手に殴りかかった。
老齢な魔導騎士で、肉弾戦は不得手だと言っていたタイドだが。
しかし彼もまた、老いを遠ざけるために、肉体を黒曜炭化シルフルーンで強化してあったのだ。
両者の腕がぶつかり合うと、大きな金属音が響く。
元はルミナリア騎士団で副団長を務めていたラファエルは、その大柄な体つきからも分かる通り、物理攻撃に長けている。
タイドは体格的に劣るところはあれど、魔導に関しては超一流であり、肉体のハンデを魔導で補いながら、互角に渡り合っていた。
「ミスティ。俺はきみを助けにきたんだぞ。きみが俺をかばってどうする!」
タイドの後ろから、部屋に入ってきたダスクが、倒れているミスティの傍に駆け寄った。
抱き起こされる感覚と、傷をいたわる様子や声音。
──そうだ……、彼も撃たれていたはずだ……。
ミスティは顔を上げ、抱き起こす相手の肩に手を伸ばした。
「……スヴェン……きみは、無事なのか……?」
「しっかりしろ。俺は、ダスクだ」
その言葉に、胸の奥で何かが、微かに軋んだ。
──いや、そうだ。救助に来たのはダスクだった。
「そう……、そうだったな……」
呟いたものの、その声には確信も納得もなかった。
ただ、体から失われていく血液とともに、思考や意識までもが流れ出ているような感覚がある。
「くそ……っ」
ダスクが、自分の袖を引き裂いて、太ももの傷を縛ってくれた。
金属がぶつかり合う、鈍い音。
二人は、ハッと顔を上げた。
ラファエルとタイドの戦いは、まだ続いていた。
「ダスク、ノートゥングはあるか?」
「ああ」
なぜダスクが自分の剣を使わず、ノートゥングを?
──だが、今は問いを挟む余地は無い。
ミスティはその剣を握り、ダスクの手を借りて立ち上がった。
魔力を刃に込める。
唯一ミスティの魔力にのみ呼応する剣身が、唸りとともに輝きを放つ。
狙うのは、ラファエルでもタイドでもない。
過去に縛られた希望を──それを解き放つべき未来へ。
──さようなら。
ルーファが焦がれた "伝説" に向けて、ミスティは一撃を放った。
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