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ハーヴィは、籐製の大きな椅子にゆったりと座って、二人を待っていた。
招かれたミスティとクリスが部屋に入ると、そこには既にミーミルもいる。
「やあ、おかえりミスティ。そちらは、クリスタルナイトくんだったね」
「あの火災の中、助けていただいてありがとうございます」
「お手数をおかけしまして」
二人はそれぞれ、礼を述べた。
「いや。きみたちがいなかったとしても、あの火災では通常の消火活動でどうにもなるまい。どのみち、出動はしていたよ」
「きみが囚われたことに気付いたシェイドが、ヴィクトリアに助けを求めにきたんだ。それで僕らは、ずっとレフュージの動向を追っていたんだよ」
隣に立つミーミルが、頷きながら言葉を添える。
「シェイドが?」
「そうだ。シェイドはダスクに "ミスティ、虜囚さる" のメッセージを送ったものの、俺がなかなか返事が出来ないままだったもんでな。こちらに助力をお願いしたんだ」
「多重防御魔導陣……だっけか? 脆すぎて、なにも面白くなかったけどね」
ミーミルはいつも通りの無表情な語り口ではあったが、その目の奥には微かに得意げな色が浮かんでいた。
「浮遊城に乗り込んできた私兵たちが着ていた鎧に、レスタークが騎士団長をしていた頃の、ルミナリア騎士団の紋章が入ってた。俺はそこから辿って、レフュージに行き着いた。それを教えようとしたら、既にシェイドからミスティが捕まったとメッセージが送られていたんだ」
そこでクリスは「本当に、遅くなってすまなかったな」と言った。
ハーヴィの机で、着信音が鳴る。
スイッチを入れると、豊かな葉に覆われていた壁が、スッとスクリーンに切り替わった。
「おじさま、火災の続報が入りました」
「うん。ちょうどよかった、今、二人と話をしていたところだったんだ。では、続報を聞こうか」
「火災の原因は、極めて揮発性の高い魔法薬をずさんに取り扱ったことによるもの……という発表になっておりますわ。地下の研究施設に関しては、箝口令が敷かれたようですわね」
「なるほど。ルミナリア王国としては、引退騎士のための施設で地下でそんなことをしていたなんて、知られれば国そのものの信用問題になる。もみ消すしかないさ」
「現場の後処理には、表向きルミナリア騎士団が当たっていますが、実態はほとんど暗部の方々ですわね。地下に残っていた機材やら、こっそり持ち出したようですわ」
「あの焼け具合では、機材の類も使い物にはならないだろうに。機材を持ち出して、まだ不死の研究をするつもりなんだろうか……?」
ミスティが不安を口にする。
だが、クリスが静かに首を横に振った。
「いや、単にそれらの機材が見つかって、勘ぐられるのを防ぐためだろう」
「僕もそう思います。それに例え、あれらの機材がなんらか使用出来たとして、ミスティさんのデータは、僕が魔導干渉した時に全部消しましたから。どのみち役にはたちません」
ミーミルが、畳み掛けるように言った。
「……それにしても、またしてもミスティさんはご活躍でしたわね。でも、無事で……。本当に良かった」
画面の向こうで、ヴィクトリアが優しい微笑みを浮かべる。
「……さて。残る課題は、ミスティの今後……ってことになりますね」
呆気にとられたミスティに代わって、クリスが言った。
「まぁ、あまり無理はしないことだ。今回の件は精神的な疲労が大きいだろう。少しゆっくり、考える時間が必要なんじゃないかな?」
ハーヴィは、戸惑ったままのミスティに微笑んだ。
その穏やかな笑みに、ミスティはほんの少しだけ、肩の力を抜いた。
招かれたミスティとクリスが部屋に入ると、そこには既にミーミルもいる。
「やあ、おかえりミスティ。そちらは、クリスタルナイトくんだったね」
「あの火災の中、助けていただいてありがとうございます」
「お手数をおかけしまして」
二人はそれぞれ、礼を述べた。
「いや。きみたちがいなかったとしても、あの火災では通常の消火活動でどうにもなるまい。どのみち、出動はしていたよ」
「きみが囚われたことに気付いたシェイドが、ヴィクトリアに助けを求めにきたんだ。それで僕らは、ずっとレフュージの動向を追っていたんだよ」
隣に立つミーミルが、頷きながら言葉を添える。
「シェイドが?」
「そうだ。シェイドはダスクに "ミスティ、虜囚さる" のメッセージを送ったものの、俺がなかなか返事が出来ないままだったもんでな。こちらに助力をお願いしたんだ」
「多重防御魔導陣……だっけか? 脆すぎて、なにも面白くなかったけどね」
ミーミルはいつも通りの無表情な語り口ではあったが、その目の奥には微かに得意げな色が浮かんでいた。
「浮遊城に乗り込んできた私兵たちが着ていた鎧に、レスタークが騎士団長をしていた頃の、ルミナリア騎士団の紋章が入ってた。俺はそこから辿って、レフュージに行き着いた。それを教えようとしたら、既にシェイドからミスティが捕まったとメッセージが送られていたんだ」
そこでクリスは「本当に、遅くなってすまなかったな」と言った。
ハーヴィの机で、着信音が鳴る。
スイッチを入れると、豊かな葉に覆われていた壁が、スッとスクリーンに切り替わった。
「おじさま、火災の続報が入りました」
「うん。ちょうどよかった、今、二人と話をしていたところだったんだ。では、続報を聞こうか」
「火災の原因は、極めて揮発性の高い魔法薬をずさんに取り扱ったことによるもの……という発表になっておりますわ。地下の研究施設に関しては、箝口令が敷かれたようですわね」
「なるほど。ルミナリア王国としては、引退騎士のための施設で地下でそんなことをしていたなんて、知られれば国そのものの信用問題になる。もみ消すしかないさ」
「現場の後処理には、表向きルミナリア騎士団が当たっていますが、実態はほとんど暗部の方々ですわね。地下に残っていた機材やら、こっそり持ち出したようですわ」
「あの焼け具合では、機材の類も使い物にはならないだろうに。機材を持ち出して、まだ不死の研究をするつもりなんだろうか……?」
ミスティが不安を口にする。
だが、クリスが静かに首を横に振った。
「いや、単にそれらの機材が見つかって、勘ぐられるのを防ぐためだろう」
「僕もそう思います。それに例え、あれらの機材がなんらか使用出来たとして、ミスティさんのデータは、僕が魔導干渉した時に全部消しましたから。どのみち役にはたちません」
ミーミルが、畳み掛けるように言った。
「……それにしても、またしてもミスティさんはご活躍でしたわね。でも、無事で……。本当に良かった」
画面の向こうで、ヴィクトリアが優しい微笑みを浮かべる。
「……さて。残る課題は、ミスティの今後……ってことになりますね」
呆気にとられたミスティに代わって、クリスが言った。
「まぁ、あまり無理はしないことだ。今回の件は精神的な疲労が大きいだろう。少しゆっくり、考える時間が必要なんじゃないかな?」
ハーヴィは、戸惑ったままのミスティに微笑んだ。
その穏やかな笑みに、ミスティはほんの少しだけ、肩の力を抜いた。
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