愛にはぐれた獣は闇夜に溶ける

琉斗六

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第12話

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 街道から外れた場所にあるうち捨てられた農家に入り、多聞は後ろを振り返った。

「お前も懲りないな。それとも、そんなに俺が恋しいのか?」

 強張った顔で後に着いてきた柊一は、多聞の顔をギッと睨み付ける。
 多聞が挑発すれば、柊一は必ずそういう反応を示す。
 それが何より、多聞を楽しませた。

「さっさと脱いで、俺を誘ったらどうだ?」
「誰がそんな事を…っ!」

 言いかける柊一の顎に手を掛けて、多聞は口唇を重ね合わせた。
 柊一の全身が、たったそれだけの行為で凍り付いたように強張る。
 逃れようと胸を突いてくる腕を押さえ、身体をしっかりと抱きすくめながら多聞は執拗に舌を絡め合わせた。

「…んん………っ」

 帯を解き、露わになった白い肌を掌でゆるりと撫で上げる。
 接吻だけで既に固く尖り始めている胸の突起に触れれば、塞がれている口からくぐもった悲鳴があがった。
 こうして肌を合わせるのは、一体何度目になるのか?
 多聞に挑み掛かってくる度に、柊一は確かに腕を上げてきている。
 もし柊一がもっと狡猾で、己の目的の為に手段を選ばなければ、今頃多聞はこうしていないだろう。
 肩から着物を落とし、多聞はゆっくりと愛撫を首筋から鎖骨へと移した。
 そこに立ったまま、柊一はただ黙って口唇を噛み締めている。
 何度抱いても、この高潔な剣士はそれに馴れる事はない。
 全身から感じられるのは、この行為に対する嫌悪。
 しかし、彼の身体はすっかり多聞の指先を覚えている。
 緩く勃ち上がりかけているソレを、多聞はスッポリと口に含んだ。

「…う……ぁ……」

 性別が曖昧な柊一のソレは、屹立してもそれほどの質量にはならない。
 口の中のソレを舌で弄び、先端にやんわりと歯を押し当てる

「ひ……っ」

 柊一の膝が目に見えてガクガクと震え、支えを求めるように両手が多聞の肩にかけられた。
 ゆっくりと口の中からソレを引き出し、多聞は今度根本に口唇を押し当てる。
 熱く脈打ち始めたソレの、特に裏側の根本のあたりが一番感じやすい場所だという事を、多聞は知っていた。
 そこはいわば女性器の名残にあたるらしく、そのあたりを舐め上げると柊一は完全に立っていられなくなる。
 崩れ落ちそうになる身体を支え、多聞は柊一を床に寝そべらせた。
 膝を大きく開かせ、一番感じやすいその場所を執拗に責める。
 必死になって押さえているはずの声が、か細く啜り泣くように漏れ始めるのを楽しみながら、多聞はなおもそこをきつく吸い上げた。

「ふ……う……んん……っ」

 ヒクヒクと柊一の太ももが痙攣し、小さな秘所から蜜が溢れ出す。
 多聞は小さく笑うと、身体を起こした。
 先に女性器でイカされる事で柊一がひどく傷つく事に気付いてからは、多聞は必ずそうする事にしていた。
 今も、逸らせた顔に悔しさの証の涙が光っている。
 その表情が、なにより多聞を煽り立てる事にも気付かずに。

「おい、誰がマグロみたいに寝転がっていればイイと言ったんだ?」

 多聞の言葉に、柊一はギクリと怯えたような顔でこちらを振り返った。

「さっさと終わらせたいなら、もっと協力的にしろ。俺は別に、長引いても構わんのだぞ」

 冷たい笑みを向けると、諦めたようにのろのろと身体を起こす。
 そのまま眺めていると、柊一はゆっくりと身を屈めて多聞の裾をまくり上げた。
 眉を顰め、柊一の形良い口唇が多聞のソレを迎え入れる。

「お前最近、巧くなったな。…あの小僧で練習でもしているのか?」

 挑発に柊一は多聞をくわえたまま、ギッと睨み上げてきた。
 自分に奉仕を続ける柊一を眺め、多聞はその滑らかな線を描く背中を見やった。
 二つの性を同居させているその身体は、結局そのどちらとも付かない不思議な美しさを醸している。
 手を伸ばすと、多聞は少し乱暴に柊一の髪を掴んだ。
 そして、強引に自分のソレを柊一の喉の奥へと突き上げる。

「…ぐ……」

 息苦しさに逃れようとするのを許さず、多聞は柊一の頭を押さえつけたまま腰を前後させた。
 熱が極まりかけたところで柊一を解放し、咳き込む隙も与えずに身体を押し倒して小さな秘所に屹立したソレを押し当てる。

「ひぃっ!」

 身を引き裂かれるような衝撃に、柊一は悲鳴を上げた。
 目元に溢れ出す涙と、恐怖に強張った表情。
 だがそれも、しばらく動かずにいてやるとやがて緩和されてくる。
 頃合いを見計らって腰を揺すれば、甘い疼きに身体と表情が溶けていく。
 こうなってしまえば、後はもう柊一に意識も自我もほとんど無いに等しい。
 多聞に縋り付き、啜り泣きながら腰に足を絡めてくる。
 さんざんに嬲られて教え込まれた快楽に、抗う術を持ち合わせている訳もなく。
 呪文のように唱え続ける拒絶の言葉は、まるで愛の囁きのように甘く情熱的に紡がれる。
 いつから柊一がこんな風に反応するようになったのか、多聞は覚えていない。
 しかし、柊一がこうして自分に溺れている姿に気付いてからは、他の誰を抱いても楽しめなくなった。
 多聞を手を伸ばすと、柊一の雄をしっかりと握り込んだ。
 快楽の極みに達するのは、異性の方だけで良い。
 それを何度も繰り返し、柊一が涙ながらに懇願してくる顔が見たい。
 自分から多聞の口唇に接吻をして、解放される瞬間に見せる一瞬の至福の表情。
 こんな回りくどい事をせずに、柊一をこのまま己に従属させてしまいたいとさえ思う。
 だが、自分に挑み掛かってくる柊一を失う事を、多聞はひどく恐れていた。
 それを失う事は、同時に自分の世界の生彩を失う事。
 その事をよく知っている多聞は、柊一を己の手元に置くという考えを、思い浮かべる度に否定するのだ。

「……あ…あぁ……っ!」

 柊一が先ほどにも増して強い力で自分にしがみついてくる。
 せがむように口唇を寄せてくる柊一を眺めながら、多聞はきつく掴んでいた手をゆっくりと外した。
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