異世界就職!?

pさん

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第一章 ー始まりー

出会い

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目を開けると、そこは湖だった…。

水面には太陽が反射し、キラキラと眩しい。

周囲は木に囲まれ、鳥たちの鳴き声が聞こえる…。



(ここが異世界…。)



俺は大きく息を吸い、身体を伸ばした。



「空気がうまい!」



俺の心はワクワクしていた。


(こんな気持ち、いつ以来だろう?)


まさか、今まで仕事ばかりが全てだった俺に、こんな日が来るなんて…。
本当に空白様には感謝しなくちゃ…。

俺は空を見上げながら、心から感謝した…。


(おっ、太陽が高い…今はお昼くらいかな?)


そんな事を考えていると急にお腹が鳴った…。


(そう言えば最後に食べたのってあの炒飯だっけ…)


グゥ~


思い出すと、余計に腹が減ってきた。



(腹減った~。そういや俺の上司はどこにいるんだろう?)


そんな事を考えていると、急に後ろから声を掛けられた…。




『やぁ、君が例の子だね。』




振り返ると、そこには金髪サラサラロングのエルフの男性が居た…。




「あなたは…」





『初めまして、私の名前はディアノス。今日から君の……上司?って言うんだっけ?まぁ、よろしくね。』


ディアノスは、俺に近づくと握手を求めた。




「あっ、初めまして!俺の名前は柏手 三木かしわで みつきです。よろしくお願いします!」


俺も自己紹介をし、握手に応じた。



『えーっと、か…かし…わ』




「す、すいません!ミツキで大丈夫ですので!」



どうやらこの世界では聞きなれない言葉のようだった。



『ミツキか…。では私の事もディーアと呼んでくれて構わないからね。』



「はい!ありがとうございます!」


(ディーアさんが俺の上司か…何だか凄く頼りになりそうな人だ!まぁ…エルフだけど。)


グゥ~~


安心したら、腹の虫が暴れ出した。



『アハハ、凄い音だ。』



俺は咄嗟に腹を押さえた。



「すいません…。」


俺が照れながら言うと、ディーアさんは微笑みながら言った。


『まずはお昼にしようか。この森を抜けた先に私の所有する家があるから、話しは歩きながらにしよう。』




「ありがとうございます…。」



俺たちは、家に向かって歩いて行った…。
しばらく森の中を歩いていると、ディーアさんが何か思い出した様子で言った。




『そう言えば、私の弟が世話になったみたいだね。』



俺の頭に!?が浮かんだ…。




(弟?ってまさか…。)

「ディーアさんの弟さんって、もしかして空白様と一緒にいたあの無表情でメガネでオールバックの…。」



ディーアさんは俺の顔を見て頷いた。



「えぇー!?ご兄弟なんですか!?」



俺は心底驚いた。俺に兄弟はいないけれど、兄弟って似た者同士と言うのが、俺の中のイメージだったのだ。
それにディーアさんの目は青…てっきり別人だとばかり…。


(人は見かけによらないと言うか何と言うか…。)


ディーアさんは苦笑いを浮かべて言った。



『アハハ、その様子だと、どうやらアスティロとは馬が合わなかったようだね。』



(えぇー!!アスティロさんって言うんだ…)



「えぇ、まぁ。正直少し苦手でした…。」


ディーアさんは少し悲しそうな顔をしながら言った。



『本当にすまない、昔は可愛くて優しい子だったんだけど…。』



(どうやら訳ありのようだ…。)




俺は、苦手な人はとことん克服するタイプだ、社会人だった頃は苦手な人なんて会社にゴロゴロいたし、こっちが折り合いをつけなければ仕事も前には進まない。
だからこそ、部下もついて来てくれたし、クビになるまでの数年はあの会社でどうにか生き残れたのだと思う。


俺は思い切って、アスティロさんの事を聞いてみる事にした。



「ディーアさん、よければアスティロさんとディーアさんに何があったのか聞かせてもらえませんか?」


内心、ちょっと余計だったかな?と思ったのだが、ディーアさんは俺の顔を見て頷いてから話した…。




『私達兄弟は…双子で産まれ、それはそれは仲良く暮らしていたのさ。しかし、言葉を話せるようになった頃、厳しい家庭と言うのもあって、父と母は私達の才を比べ始めた…。』


俺は黙って話を聞いて歩いた…。


『早くに才能が開花してしまった私は、父や母、周りの同族にまでもてはやされ、どんどん知識を叩き込まれ大きな期待を背負わされた。弟は逆にさげすまされ、父や母にまでののしられていた…。それは私にとって、本当に辛い事だった。私はただ、弟にこんな辛い思いをさせたくない一心で、どんなに苦しくても弱音を吐かずに、必死で勉強にも訓練にも耐え、一刻も早く、父と母から離れたかった。私が居なくなれば父と母は弟を大切にしてくれると思った…。』


『より一層訓練が厳しくなったとき、私は、弟と家族と離れた別の場所で大魔法の訓練をすることになった。私はこれで、やっと弟と両親が仲良くなると思い、安心して出て行った。』


『そして何年か経った時、やっとの思いで全ての訓練を終え、家族の元に帰った頃には、アスティーの顔には表情がなくなっていた。』

『私は、一体何があったのかと弟に尋ねたが。弟は私に一言だけ「何でもない。」と答え、次の日には家族の元を離れて出て行ってしまった。』

『私は父と母に何があったのかと聞いたが、「知らん。」「放っておきなさい。」としか返って来なかった。私はなんて馬鹿な事を考えてたのだろうと、自分自身に怒り、後悔した…。』

『私は次の日に、父と母に国を出て行くと告げ。二度と私と弟に関わらぬよう言い残し、関わろうとすればこの国を滅ぼすとまで脅しをかけた。もちろん反発はされたが、私は皆の静止も謝罪も振り切って国を出たのさ。』




俺は少し俯きながら歩いていた。


(まさか、そんな事情があったなんて…。嫌いだと思っていたけど、今ならなんとなく、アスティロさんの気持ちが分かる気がする…。)



ディーアさんは話し終わると、俺の頭にポンと手を置いた。


『ミツキが落ち込む事じゃないよ、それにもう何百年も前の事だしね!』



(何百年…。やっぱりエルフは長寿なのか。)


「あの~失礼ですが、ディーアさんてお幾つなんですか…?」


ディーアさんは自慢げな顔で答えた。


『私かい?私は今年で丁度300歳だよ。』


(やっぱり…。)

俺はもう、驚きもしなかった。


『あれ?驚かないんだね、普通はみんな驚くんだけども…。』


ディーアさんが逆に驚いた顔をしてる…。


「まぁ、ここに来るまでに色々ありすぎまして…ははっ…」


俺が申し訳なさそうに言うと、ディーアさんは目を輝かせながら言った。


『そう言えばミツキは、別の世界から来たんだよね!』


ディーアさんの目が眩しい…。


「えぇ…そうですけど…。」


ディーアさんは俺の手を握りながら顔を近づけて頼んで来た…。


『なら、後でゆっくり話しを聞かせてくれないかな?私の知識欲がどうしてもと騒いでいるんだよ!』


(あー眩しっ、顔が眩しいよぉ…。)


「えぇ…後でゆっくり話しますからぁ…!」


(近い近い近い近い…)


俺は両手でディーアさんの顔を押し返した。


『おっと、すまない…知らない知識があるとどうも欲求が抑えられなくなってしまって…。』


ディーアさんは申し訳なさそうに笑った。


(はぁ~日焼けするかと思った…。)

俺がため息をつくと、ディーアさんがツンツンと肩をつついた。


『さぁミツキ君、私の家が見えてきたよ。』


前を向くと、森が開けた場所に、なんともファンタジー感溢れるログハウスが見えてきた…。


「おぉー!!」


今度は俺が目を輝かせた。
少し暗めの綺麗な色の木材達が、周囲の木や草の色とマッチしている。


『こういった場所は初めてかい?』



「はい!!」


ディーアさんは、目をキラキラさせながら返事をする俺を、嬉しそうに見ながらドアを開けたのだった…。
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