異世界就職!?

pさん

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第一章 ー始まりー

この世界…

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「お帰りなさいませご主人様。」


ドアが開くと、そこにはメイド服に身を包んだ、緑色の髪の女性が立っていた。


『やぁ、ティアただいま。』


ディーアさんは彼女に挨拶をすると、後ろを振り返り、ドアの手前で固まっている俺を見て、お互いの事を紹介してくれた。


『ミツキ、彼女はティア。ハーフエルフで私の身の回りの世話をしてくれている。ティア、こちらはミツキ、人族ひとぞくで別の世界から来た男の子だ。』



(男の子って…。まぁ、300歳からしたら男の子か。)


「初めましてミツキ様、本日から身の回りのお世話をさせていただきますティアと言います。どうぞ、よろしくお願いいたします。」


ティアさんは、それはそれは丁寧に挨拶をした。


(さすがメイドってところか…。見た目は20歳くらいに見えるが…。ん?本日から???)


「初めましてミツキです!よろしくお願いします。あの、本日からって言うのは…」



俺は、気になってしまった事をすぐに聞いてみた。
すると、ティアさんは微笑みながら緑のオーラを身体から出しながらディーアさんを睨み付けた。


『あっ、あぁ!そう言えば言い忘れていたね!ミツキ君!君は今日からここで勉強と訓練をしてもらうよ~』


ディーアさんは、冷や汗をかきながら俺に説明した。


(あはは~そう言う事ね。)


ティアさんは説明が終わると、俺の顔を見てニコっと笑った…。

(はぁ~、ティアさん怖ぇ~凄く美人なのに…)


「…………。」


俺は苦笑いを返すしか方法がなかった。


『さてと、話は後にして昼食を食べようか。ティア、準備は出来ているかい?』


ディーアさんは、気を取り直したようだ。


「はいご主人様、向こうの部屋に用意してあります。ご主人様には野菜メインのお食事を、ミツキ様にはお肉をメインに調理させていただきました。」


(お肉!!そう言えばなんかいい香りがすると思ったら…。)


『ありがとう、では案内しよう。』


俺がディーアさんについて行こうとした時、ティアが優しく話しかけてくれた。


「ミツキ様、短剣はお邪魔になると思いますので、私がここでお預かりいたします。」



そう言えば、すっかり忘れていた…


「ありがとうございます。」


俺は腰ベルトを外してティアに渡した。
すると奥からディーアさんの声が聞こえてきた。


『ミツキ君、早く来ないと冷めてしまうよ~』


「はい!今行きます!」


ティアさんに一礼して、奥の部屋に行くとオシャレなテーブルに、これまたオシャレな盛り付けの料理達が並んでいた。


(おぉ!凄く美味しそうだ!!)


俺はディーアさんと向かい合わせに椅子に座った。


『よし!では食べようか!』


「はい!いただきます!」





ーしばらく後ー






『うん、ティアの作る料理はいつも美味い。』


「ごちそうさまでした!」


料理はどれも味がしっかりしてて本当に美味しかった。
野菜なども、元いた世界とあまり変わらないようだ。


(はぁ~俺の特製オリジナル貧乏炒飯がかすむ……。)


「ご主人様、ミツキ様、食後のお茶を入れましたので、よければお飲みになって下さい。」


ティアはそう言って、暖炉がある部屋のテーブルにお茶を置いた。


『ではミツキ君、食後の休憩がてら、あっちの部屋で今後の話をしようか。』



「はい!よろしくお願いします!」


俺とディーアは部屋へ移動した。
小さなテーブルを囲うように配置された、何かの動物の皮で加工された椅子に座りお茶をいただいた。


『そうだ、ティアも片付けが済んだら来てくれないか?君にも頼みたい事があるから。』



「かしこまりました、すぐに片付けて参ります。」



そう言ってティアは頭を下げて、食事した部屋へと歩いて行った。


(なんだか、申し訳ないな…)


俺は少し、罪悪感にさいなまれていた。


俺達は、少しお茶を飲みながら休憩し、ティアが戻るのを待った。


改めて部屋の中を見渡すと、床や天井や壁などには全て木材が使われていて、凄く落ち着く匂いがする。
暖炉には大小様々な石が使われており、色味も部屋にピッタリの色だ…。

照明は、何やら透明な球体と…ランタン?があるけど、中には小さく透明なクリスタル?が浮いているようだ…。


(すげー、やっぱ異世界は違うなぁ~)


ついつい俺が部屋の内装に見とれていると、ディーアがニコニコしながら話してくれた。


『どうだ?私の家は、ここは全てドワーフ達に作らせたんだよ。』


(ドワーフ!)

「ドワーフって!あの小さくてヒゲがあって頑固でおっさんなあのドワーフですか!?」


ディーアさんは少し驚いた様子で言った。


『ミツキの世界にも、ドワーフが居たのかい?』


(そう言えば、バイトで大工をしているときにドワーフぽいおっさんは居たな…)


「い、いえ。ドワーフは居ないです、と言うか、この世界で言う人族ひとぞくしか居なかったですね。」

(流石に大工のおっさんがドワーフみたいだったなんて言えないしな…。)


ディーアさんは何だか残念そうな顔をしていた。


「ただ、おとぎ話し…あぁ…空想上の物語とかに想像された種族として書かれていたんです。」


ディーアさんは難しい顔をして少し考え込んでから言った…。


『そうか、おとぎ話し…興味深いな…。しかし、君の言うドワーフは私の知っている限り、大昔のドワーフだ…。』


俺の頭に ? が浮かんだ。



「大昔と今のドワーフは何が違うのですか?」





『あぁ…。今のドワーフの身長は小さいのは確かだが、それは普通の人族ひとぞくより少し小さいくらいにしかなからない。人族ひとぞくによっては、ドワーフより小さい者も居るくらいだ。まぁ、ヒゲはある者もない者も居るんだが…。もちろん、ちゃんと男女は居る。あと、手先はとても器用で頭も良い、だが、私の経験上、頑固な者にはまだ会った事がないかな。』


(器用なのは言い忘れてたけど。なるほど…。機会があれば会ってみたいな。)



ディーアさんが話し終わったところで、ティアさんが戻ってきた。



「お待たせしましたご主人様、ただ今戻りました。」


ディーアさんは頷くと、空いている椅子に座るように言った。



『さて、3人揃ったことだし。これから今後の説明をするよ?』



俺とティアさんは、頷きながら返事をした…。
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