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第一章 ー始まりー
ブラックな予感。
しおりを挟むそれから俺は、ティアさんの案内で、2階へと上がった。
(ドアが左右に3つずつ並んでる…)
どうやら、2階には合計6部屋あるみたいだ…。
「ミツキ様は、こちらのお部屋をお使い下さい。」
ティアは、階段を登ってすぐ左のドアを開けた…。
「ありがとうございますティアさん。」
部屋の中には、ベットにタンス、窓に机と椅子とランタン、あと壁には突起が何個かついていて、俺の腰ベルトもそこに掛けてあった。
(おぉ…。元いた世界の部屋と違って凄く新鮮だ。)
俺が一通り見渡すと、ティアさんが声をかけた。
「ではミツキ様、私は着替えを持って参りますので、しばらくお待ち下さい、それと…」
「はい、何でしょうか?」
ティアさんは、少し呆れた顔をして言った。
「本日から、共に生活するのですから、私の事はご主人様同様、ティアとお呼び下さい。」
(えぇー!!それはそれで気まずいものが…)
「あ…えぇーと…」
俺は今、気まずい感情と恥ずかしい感情の渦に飲まれている…。
「ティアとお呼び下さい。」
ティアが、少しオーラを出し始めている。
(ヤバい…)
「あっ、はい!よろしくお願いしますティア!」
「はい、ミツキ様。それでは失礼します。」
ティアは笑顔で答え、ドアを閉めて行った。
(ふぅ~危なかった…)
俺はとりあえず、窓を開けて外を眺めた…。
(大都会とは違う景色…でも、とても自然豊かで風も心地いい…これはこれで凄く落ち着くな…。)
俺は机の上にある、さっきより少し大きいランタンを見た…。
(さっきのと作りが少し違う、丸くて回せそうなつまみが付いている…。)
「よし…。」
俺はランタンを手に持って、つまみを回してみた…。
「おぉ!光った!」
つまみは回した後反発して元の位置に戻り、中の小さなクリスタルが暖かい色の光を放った。
(あれ…?何か今、少し力が抜けたような…。)
俺が、もう一度つまみを回すと、光は消えて行った…。
(なるほど…これで気になっていた照明問題はひとまず解決だな…ん?他の照明も同じかな?いや待てよ…1階にあった照明はつまみなんて無かったけど…。まぁ、後で確認するか!)
コン コン コン。
「ミツキ様、着替えの服をお持ちしました。」
あれこれ考えていると、ティアが来た。
「はーい!今開けます!」
返事をしてドアを開けると、ティアが着替えと、靴を持って来てくれた。
「では、着替えの方が終わりましたら、1階までお越しください。」
「分かりました!」
ティアは、お辞儀をして、1階へと降りて行った。
(さてと、着替えますか。)
俺は装備していた防具を外し、壁の突起に掛け、ブーツはタンスの横に置いて、服を着替えた。
(おっ、なんかファンタジーって感じ!胸元はスースーするけど…)
「慣れるまでは時間がかかりそうだ…。」
脱いだ服は綺麗に畳んでタンスの中に閉まってから1階へと降りた。
「お待たせしました!」
俺は降りてすぐにティアに声をかけた。
「お待ちしておりました。ではご案内します。」
ティアはメイド服からこれまたファンタジーな服装に変わっていた…。
(身体のラインが凄く綺麗だ…それに胸が大き過ぎず小さ過ぎずでバランスがいい…)
「凄く似合ってますね。」
俺は思わずそう口にした。
「ありがとうございますミツキ様、これから当分の間、メイド服はお預けですので。」
ティアは少し微笑んでから言うと、家の案内をしてくれた。
それから、一通り家の中を周り、風呂やトイレの使い方や調理場、食料倉庫、洗濯場などの説明を受けた。
「生活における説明は以上です。何か分からない事はありましたか?」
俺は、こっちでの年齢は13歳だが…こう見えても向こうの世界では長年一人暮らしをしていたオッサンだ。
これくらいの事なら一発で理解できる。
「いえ、全て理解しました!」
ティアは少し、心配そうな顔をしていた。
(大丈夫だって…そんな顔しなくても…)
「では、もし分からない事があればご遠慮なく聞いて下さい。」
(ティアはきっと、根は優しい人なんだな…国滅ぼしたけども…。)
「はい!わかりました!」
俺は心の中で、早く大人になりたいと強く思った。
「では、外に出ているついでに、訓練場へ案内します。」
俺達は、家の裏手にある森へと入っていった。
5分ほど小道を進み森を抜けると空き地が見えてきた。
(近くにこんな場所もあるのか…)
ティアは立ち止まり、辺りを確認してから言った。
「私の担当する訓練はここで行います、まずは体術からと言う事なので、基礎体力を確認してから、私と実践形式で鍛えます。ご主人様からは手加減をするように言われていますが、気を抜いたら大怪我では済まないと思って下さい。」
(えっ?心構えの話しだよな…いや、教えるとなると性格が変わる属性なのか…?)
俺は不安になった、今まで格闘技や喧嘩なんてしたことも無いのに、いきなり実践形式でしかも下手をすれば大怪我では済まないなんて…。
(一応、聞いておこう…)
「あ、あの。もし大怪我をするとどうなるんでしょうか?」
俺は恐る恐るティアに聞いた…。
「心配しなくても大丈夫ですよ、エルフもハーフエルフも治癒魔法は得意ですから、致命傷でも一瞬で心臓や脳が吹き飛ばない限り、すぐ治ります。」
ティアは笑顔でそう言った…。
(いや笑顔で言われましても…と言うか、マジのやつだこれ…。)
「はい、よろしくお願いします…。」
何だか自信が無くなって来た…。
「では、説明も終わりましたし、戻ってお茶でも入れましょうか。」
ティアは明日から楽しみだと言わんばかりに、ルンルンで歩いて行った。
(あぁ、空白様…じきに会いに行くかもしれません…その時はその優しい御心で私を慰めて下さい…。)
俺は空を見上げ、祈りを捧げてからティアの後を追った。
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