22 / 27
第二章 ー旅立ちー
それは敵か味方か
しおりを挟む(あれ?まだ居たのか…)
俺が、林から出て来るのをみたレイナが話しかけて来た。
「ミツキさん!盗賊は大丈夫なのですか?」
「はい、しっかりと縛っておきましたので、問題無いと思います。」
そう言うと、レイナと男性は、安心した顔をした。
「それで、そちらの方は?」
俺が尋ねると、男性は自己紹介してくれた。
「先程は、助けていただきありがとうございました。私は商人を生業にしているモリスと言う者です。」
そう言って、モリスさんは深く頭を下げた。
「あ、いえお礼なんて、俺はミツキといいます、本当気にしないで下さい。」
モリスさんは人族で、歳は30代後半くらいに見える、短髪で髭もなく、とても人当たりが良さそうないかにも商人らしい人だ。
よく見ると、腕や足から血が滲んでいた。
「モリスさん、怪我を見せてもらえませんか?」
「あぁ、大した傷じゃないですよ、それに慣れてますし。」
(商人は良く怪我するのか?)
「いえ、もし菌などが入ったら、最悪切断もありえますので、俺に見せて下さい。」
そう、俺はどんなに小さい傷でも、医学を学んだからには放っては置けない、
「わ、わかりました。」
俺は、モリスさんの傷を確認した。
(これなら、ヒールで大丈夫だな…)
「よし、動かないで下さい。ヒール…」
モリスさんの足元に魔法陣が広がり、傷を治していく。
「おぉ、おぉー!!」
どうやら傷は治ったようだ。
「凄い、凄いです!まさか再生魔法を使えるなんて!」
モリスさんは驚いている。
「いえ、大した事じゃないです。」
すると、モリスさんがお願いをしてきた。
「あの~折り入ってお願いしたい事があるのですが…。」
モリスさんは何だか気まずそうにしている。
「はい?何でしょうか?」
俺が尋ねると、モリスさんは頭を下げながら言った。
「私を、クオークの街まで、護衛していただけませんか…もちろん、報酬もお渡ししますので何卒お願いします!」
俺は少し考えた。
確かに、俺の所持金は0…本当なら街についてすぐ冒険者登録をしてお金を稼ぐつもりだったが…。
(まぁ、出会ったのも何かの縁だし…目的地も同じだしな。)
「分かりました。引き受けさせて貰います!」
俺は、断る理由もないと判断した。
「あぁ、ありがとうございます!では、よろしくお願いします!」
「こちらこそ、よろしくお願いします。レイナも大丈夫ですか?」
俺がレイナに聞くと、笑顔でOKを出してくれた。
「よし!そうと決まれば出発しましょう、モリスさんは、そのまま先頭をお願いします。後方は俺が警戒するので、前方で何かあればすぐ止まって下さい。」
「はい、了解しました。」
そして俺達は、荷馬車に乗り、また進み始めたのだった。
あれから何時間か進み、日も落ちてきたので、俺達は地図を見て、あらかじめ目処を立てていた川の近くで野営をする事にした。
「ここまで来れば、明日の夜には街に着きますよ!」
「初めての街か、なんか緊張します。」
俺達は、寝泊まりする準備をした。
テントを錬成して作ろうと思ったのだが、レイナから、何かあればすぐ移動できるように、荷台で寝るのが常識だと教わったので、止めておいた。
俺は調理の準備を手伝い、火を起こした。
すると、モリスさんが、良ければと食材を分けてくれた。
俺達はご好意に甘え、いただく事にした。
それから、日も落ち、飯を食べ、俺達はモリスさんと話しをしていた。
「そう言えば、気になったんですけど、モリスさんはお一人で別の国から来たのですか?」
よくよく考えてみれば、盗賊がいるこの世界で、力の無い人が、一人で歩き周るのにはリスクが大き過ぎる。
今日だって、俺達があそこを通らなければ無事では済まなかっただろう。
すると、モリスさんは落ち込んだ顔をしながら話してくれた。
「実は、今までは相方と一緒だったのですが…。国を出て、ここに向かう最中に、ゴブリンに襲われまして…。」
「ゴブリン!?」
ゴブリンは元々、人間の悪感情から派生した種族で、知能は高くないが、繁殖力が強く、人間を好んで食べ、装備などを引き剥がして使ったりする種族だ。
ディーアは、恐らく元々人間だった事が、奴らの人間に対する劣等感を生み出し、人を襲い、己の劣等感を埋めようとしているのだろうと言ったいた。
「えぇ、たまたま集団に出会してしまって、腕には自信を持っていた彼は、私を先に逃す為に戦ったのですが…振り返ったときにはもう…。」
モリスさんは、悲しい顔をして、俯いた。
「すみません、思い出させたみたいで…。」
俺は何だか、やるせなくなった。
「いえ、過ぎたことですし、落ち込んでも彼は浮かばれないでしょう…それで、私は街に品物を下ろすついでに、新しい相方を探そうかと思いまして。」
(なるほど、商人か…悪い仕事じゃないけども…)
俺と、レイナは、黙って話を聞いていた、すると、警戒のために発動していた魔力感知に1つの反応が出た。
「っ…!誰かがこちらに向かって来ます!」
俺達は、警戒して向かって来る方向に構えた。
俺は魔法の準備をし、いつでも放てるように待機した。
すると、暗闇から誰かが走って来た。
「兄貴ぃー!やっと見つけましたよ兄貴ぃ~」
「お前!?」
なんと、走って来たのはさっきの若い盗賊だった。
彼は、息を切らしながら俺達の前に来た。
「お前、さっき俺があれほど言ったのに。」
(てか、兄貴ってなんだ…)
俺はもう一度、魔法を放つ準備をした。
すると彼は、慌てて膝をついた。
0
あなたにおすすめの小説
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。
あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる