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海の世界で呪い解き

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「爆発の直後。おかしなことを言う白髪の男が現れた。」

 イシリオンはそう話し始めた。

 * * *

「やぁ、エルフの皆、鬼族の血が混ざってる女の子!」
「誰だ貴様。」
「僕はニルゼン、神様さ。」
「神?あいにく俺らはあんたを信仰する宗教に入っていない。」
「問題ないさ!」

 次の瞬間、仲間全員の姿が一瞬消えた。そして。ニルゼンの後ろにいつの間にか現れた鳥かごの中に。
 
「お前ら!」
 
 イシリオンは必死にニルゼンに対抗するが、エルフ一人の力が神に届くはずもなく、無惨に敗北した。
 ニルゼンは言う。

「この子達を助けたいならさ、イザナギテンリを連れてこい。無理ならこの子達は―――」

 ニルゼンは鬼のような表情でつぶやくようにその言葉を放った。

「殺す。」


  *  *  *

「……ニルゼン。あいつこの世界まで来られるのか?」
「残念なことにその通り。神のヒエラルキーが自分より上の神が自分の領域に侵入するのを拒むことはできないんだ。」
「頼む、アマテ殿。俺たちを助けてくれ。」

 アマテは深刻な空気も読まず、ニカッと笑った。

「任されたよ。その代わり戦いが終わったら私達の国の住人になりなさい」
「え?」
「パワハラ上司なんて捨てちゃいな!」

 イシリオンはなぜパワハラ上司を知っているのか?と疑問を頭に浮かべている。

「私はこの世界の神様だよ?そのくらいわかる。」
「ふっ。恐れ入りましたアマテ様。お力添え感謝します。」

 イシリオンの案内で、俺たちは囚われたエルフたちと紅葉がいる階層へと向かった。
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