2 / 5
2
しおりを挟む
キアラは目の前の惨状にため息を吐いた。
(毎度毎度サラも飽きないわねぇ)
記憶が戻って3年─
キアラは8歳、サラは12歳になっていた。
あれからの日々は特に変わりなく、身の回りは自分で、食事も厨房に行って頼み込んで教えてもらい─最初は渋っていた料理長も今ではお互いに新しい料理を試行錯誤するぐらいにはいい関係を築けていると思う─、着々と自立への道を進めていった。
(思えばマリアンナの時も厨房の人たちは親切だったわ……まぁ普段から関わることがないっていうのも一つの理由よね…おかげで助かったけれど)
サラは年頃になっても変わらず、家庭教師から逃げ回ることはなくなったが、あまり内容が身についているとは言い難く、両親の頭を悩ませていた。
また、サラとキアラの関係も変わらず─どちらかというとサラが一方的に敵視しているのだか─、何かと嫌がらせを受けていた。
目の前の惨状……服を破かれることなんて日常茶飯事だ。
(これで何枚目かしら……勿体ない…)
キアラは裁縫道具を取り出すと、破かれたドレスを縫い始めた─
「よしっ!出来た!」
仕上がったドレスの出来栄えにキアラは満足そうに微笑んだ。
この3年、無惨な姿になったドレスを縫って縫って縫い続けた─頻度が多いので、買い直してもらうのが面倒というか極力頼みたくない─結果、彼女のスキルは王家お抱えの針子並にまで上がっていった。
しかも、元の形に縫い直すことが出来ないので、誤魔化す為に加えたアレンジが実は好評で、極々たまに出席する舞踏会ではキアラが着ているドレスに注目が集まっていることを彼女は知らない。
(今回も特に違和感なく仕上がったと思うけど……何だか視線が……うぅぅ……今回も直ぐに退散ね)
というわけで、会場について挨拶を終えると、すぐにキアラが退出するため、令嬢たちは今夜も落胆の表情を隠せずにいた。
公爵家にも問い合わせがくるのだが、本人に聞いても両親から買ってもらったものとしかいわない─あながち間違いではない─ので、それも二人の頭を悩ませることとなっていた。
ちなみにサラの目には、ただの破られたドレスにしか見えない─まず趣味ではない─ので、友人に聞かれても「あんなの継ぎ接ぎじゃない」としか言わない。
▽ ▼ ▽
キアラは部屋にあったサラの忘れ物を届けるために、中庭に向かった。
そこにはサラとその婚約者のウィルが仲良くお茶を飲んでいた。
ふとウィルがキアラに気づき顔をしかめた。
(何かサラに吹き込まれたのかしらね……)
「キアラ、何のようかな?」
「こんにちは、ウィル様。お楽しみのところ申し訳ありませんけど、ちょっとお姉様に用がありますの」
チラッとサラを見ると、ビクッと肩をふるわせた。その彼女の手をそっと握るとウィルは厳しい目をこちらに向けた。
「キアラ嬢、君は将来私の義妹になるのだから、こんなことは言いたくないのだけれど、姉のものを勝手に捕ったりしてはいけないよ?彼女は優しいから気にしないと言っているが、人の物を捕るのは悪いことだ。今のうちに直した方がいい」
「……………お姉様……私の部屋に忘れ物をしていたので持ってきてあげましたわ。もしかしてこれを捕られたと勘違いなされたのかしら?」
キアラはウィルの言葉を無視してそう言うと、テーブルの上にハサミを置いた。
「あぁそうですわ、いつもお部屋に勝手に入るのはいいんですけれど、私の服をソレで切るのはやめていただけませんか?毎度毎度縫うの大変ですの……」
「なっ!」
サラは顔を赤くし、何か言葉を発しようとするが、突然の展開に口をパクパクさせるだけで何も出てこない。
その様子に何か怪しいと気づいたウィルは握っていた手を離した。
「どういうことですか、サラ嬢」
「こっこんなのデタラメです!むしろ私の方がっ!」
「あっそのネックレスも以前私の部屋から持っていった物ですよね?この前のパーティーで隣国にいるお祖母様からお土産に頂いたものですわ。もし次回来られたときに私が着けていなかったらとても悲しむと思いますの……」
キアラは悲しげに言うと、俯いて両手を握りしめた。
(これで弱々しく見えるといいのだけれど……)
ウィルは先ほどキアラに向けていた厳しい視線を、今度はサラに向けた。
「君は私に嘘をついていたのか?」
「いや……えっと……」
動揺するサラを一瞥すると、キアラに向き直り頭を下げた。
「すまなかった!確認もせずサラ嬢の意見だけで君を糾弾するなど……」
「いえっ!私は大丈夫ですから……わかっていただければ大丈夫ですので」
えへへと笑って見せればウィルは顔を赤くし、視界の隅ではサラが憎々しげにこちらを見ていた。
「き…今日はこれで失礼する!」
ウィルは顔を赤くしたまま慌てて去っていった。
─────────────
何かキャラ変わってしまったかなぁ……どうしよ(-_-;)
(毎度毎度サラも飽きないわねぇ)
記憶が戻って3年─
キアラは8歳、サラは12歳になっていた。
あれからの日々は特に変わりなく、身の回りは自分で、食事も厨房に行って頼み込んで教えてもらい─最初は渋っていた料理長も今ではお互いに新しい料理を試行錯誤するぐらいにはいい関係を築けていると思う─、着々と自立への道を進めていった。
(思えばマリアンナの時も厨房の人たちは親切だったわ……まぁ普段から関わることがないっていうのも一つの理由よね…おかげで助かったけれど)
サラは年頃になっても変わらず、家庭教師から逃げ回ることはなくなったが、あまり内容が身についているとは言い難く、両親の頭を悩ませていた。
また、サラとキアラの関係も変わらず─どちらかというとサラが一方的に敵視しているのだか─、何かと嫌がらせを受けていた。
目の前の惨状……服を破かれることなんて日常茶飯事だ。
(これで何枚目かしら……勿体ない…)
キアラは裁縫道具を取り出すと、破かれたドレスを縫い始めた─
「よしっ!出来た!」
仕上がったドレスの出来栄えにキアラは満足そうに微笑んだ。
この3年、無惨な姿になったドレスを縫って縫って縫い続けた─頻度が多いので、買い直してもらうのが面倒というか極力頼みたくない─結果、彼女のスキルは王家お抱えの針子並にまで上がっていった。
しかも、元の形に縫い直すことが出来ないので、誤魔化す為に加えたアレンジが実は好評で、極々たまに出席する舞踏会ではキアラが着ているドレスに注目が集まっていることを彼女は知らない。
(今回も特に違和感なく仕上がったと思うけど……何だか視線が……うぅぅ……今回も直ぐに退散ね)
というわけで、会場について挨拶を終えると、すぐにキアラが退出するため、令嬢たちは今夜も落胆の表情を隠せずにいた。
公爵家にも問い合わせがくるのだが、本人に聞いても両親から買ってもらったものとしかいわない─あながち間違いではない─ので、それも二人の頭を悩ませることとなっていた。
ちなみにサラの目には、ただの破られたドレスにしか見えない─まず趣味ではない─ので、友人に聞かれても「あんなの継ぎ接ぎじゃない」としか言わない。
▽ ▼ ▽
キアラは部屋にあったサラの忘れ物を届けるために、中庭に向かった。
そこにはサラとその婚約者のウィルが仲良くお茶を飲んでいた。
ふとウィルがキアラに気づき顔をしかめた。
(何かサラに吹き込まれたのかしらね……)
「キアラ、何のようかな?」
「こんにちは、ウィル様。お楽しみのところ申し訳ありませんけど、ちょっとお姉様に用がありますの」
チラッとサラを見ると、ビクッと肩をふるわせた。その彼女の手をそっと握るとウィルは厳しい目をこちらに向けた。
「キアラ嬢、君は将来私の義妹になるのだから、こんなことは言いたくないのだけれど、姉のものを勝手に捕ったりしてはいけないよ?彼女は優しいから気にしないと言っているが、人の物を捕るのは悪いことだ。今のうちに直した方がいい」
「……………お姉様……私の部屋に忘れ物をしていたので持ってきてあげましたわ。もしかしてこれを捕られたと勘違いなされたのかしら?」
キアラはウィルの言葉を無視してそう言うと、テーブルの上にハサミを置いた。
「あぁそうですわ、いつもお部屋に勝手に入るのはいいんですけれど、私の服をソレで切るのはやめていただけませんか?毎度毎度縫うの大変ですの……」
「なっ!」
サラは顔を赤くし、何か言葉を発しようとするが、突然の展開に口をパクパクさせるだけで何も出てこない。
その様子に何か怪しいと気づいたウィルは握っていた手を離した。
「どういうことですか、サラ嬢」
「こっこんなのデタラメです!むしろ私の方がっ!」
「あっそのネックレスも以前私の部屋から持っていった物ですよね?この前のパーティーで隣国にいるお祖母様からお土産に頂いたものですわ。もし次回来られたときに私が着けていなかったらとても悲しむと思いますの……」
キアラは悲しげに言うと、俯いて両手を握りしめた。
(これで弱々しく見えるといいのだけれど……)
ウィルは先ほどキアラに向けていた厳しい視線を、今度はサラに向けた。
「君は私に嘘をついていたのか?」
「いや……えっと……」
動揺するサラを一瞥すると、キアラに向き直り頭を下げた。
「すまなかった!確認もせずサラ嬢の意見だけで君を糾弾するなど……」
「いえっ!私は大丈夫ですから……わかっていただければ大丈夫ですので」
えへへと笑って見せればウィルは顔を赤くし、視界の隅ではサラが憎々しげにこちらを見ていた。
「き…今日はこれで失礼する!」
ウィルは顔を赤くしたまま慌てて去っていった。
─────────────
何かキャラ変わってしまったかなぁ……どうしよ(-_-;)
13
あなたにおすすめの小説
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
過程をすっ飛ばすことにしました
こうやさい
ファンタジー
ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。
どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?
そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。
深く考えないでください。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
良くある事でしょう。
r_1373
恋愛
テンプレートの様に良くある悪役令嬢に生まれ変っていた。
若い頃に死んだ記憶があれば早々に次の道を探したのか流行りのざまぁをしたのかもしれない。
けれど酸いも甘いも苦いも経験して産まれ変わっていた私に出来る事は・・。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる