これは私の物ではない

callas

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 キアラは目の前の惨状にため息を吐いた。

 (毎度毎度サラあの子も飽きないわねぇ)





 記憶が戻って3年─
 キアラは8歳、サラは12歳になっていた。
 あれからの日々は特に変わりなく、身の回りは自分で、食事も厨房に行って頼み込んで教えてもらい─最初は渋っていた料理長も今ではお互いに新しい料理を試行錯誤するぐらいにはいい関係を築けていると思う─、着々と自立への道を進めていった。

 (思えばマリアンナの時も厨房ここの人たちは親切だったわ……まぁ普段から関わることがないっていうのも一つの理由よね…おかげで助かったけれど)

 サラは年頃になっても変わらず、家庭教師から逃げ回ることはなくなったが、あまり内容が身についているとは言い難く、両親の頭を悩ませていた。

 また、サラとキアラの関係も変わらず─どちらかというとサラが一方的に敵視しているのだか─、何かと嫌がらせを受けていた。

 目の前の惨状……服を破かれることなんて日常茶飯事だ。

 (これで何枚目かしら……勿体ない…)

 キアラは裁縫道具を取り出すと、破かれたドレスを縫い始めた─
 


 「よしっ!出来た!」

 仕上がったドレスの出来栄えにキアラは満足そうに微笑んだ。

 この3年、無惨な姿になったドレスを縫って縫って縫い続けた─頻度が多いので、買い直してもらうのが面倒というか極力頼みたくない─結果、彼女のスキルは王家お抱えの針子並にまで上がっていった。

 しかも、元の形に縫い直すことが出来ないので、誤魔化す為に加えたアレンジが実は好評で、極々たまに出席する舞踏会ではキアラが着ているドレスに注目が集まっていることを彼女は知らない。

 (今回も特に違和感なく仕上がったと思うけど……何だか視線が……うぅぅ……今回も直ぐに退散ね)

 というわけで、会場について挨拶を終えると、すぐにキアラが退出するため、令嬢たちは今夜も落胆の表情を隠せずにいた。

 公爵家にも問い合わせがくるのだが、本人に聞いても両親自分たちから買ってもらったものとしかいわない─あながち間違いではない─ので、それも二人の頭を悩ませることとなっていた。


 ちなみにサラの目には、ただの破られたドレスにしか見えない─まず趣味ではない─ので、友人に聞かれても「あんなの継ぎ接ぎじゃない」としか言わない。




 ▽ ▼ ▽


  キアラは部屋にあったサラのを届けるために、中庭に向かった。

 そこにはサラとその婚約者のウィルが仲良くお茶を飲んでいた。

 ふとウィルがキアラに気づき顔をしかめた。
 
 (何かサラに吹き込まれたのかしらね……)

 「キアラ、何のようかな?」
 「こんにちは、ウィル様。お楽しみのところ申し訳ありませんけど、ちょっとお姉様に用がありますの」
 チラッとサラを見ると、ビクッと肩をふるわせた。その彼女の手をそっと握るとウィルは厳しい目をこちらに向けた。

 「キアラ嬢、君は将来私の義妹になるのだから、こんなことは言いたくないのだけれど、姉のものを勝手に捕ったりしてはいけないよ?彼女は優しいから気にしないと言っているが、人の物を捕るのは悪いことだ。今のうちに直した方がいい」

 「……………お姉様……私の部屋に忘れ物をしていたので持ってきてあげましたわ。もしかしてこれを捕られたと勘違いなされたのかしら?」
 
 キアラはウィルの言葉を無視してそう言うと、テーブルの上にハサミを置いた。

 「あぁそうですわ、いつもお部屋に勝手に入るのはいいんですけれど、私の服をで切るのはやめていただけませんか?毎度毎度縫うの大変ですの……」

 「なっ!」
 サラは顔を赤くし、何か言葉を発しようとするが、突然の展開に口をパクパクさせるだけで何も出てこない。
 その様子に何か怪しいと気づいたウィルは握っていた手を離した。

 「どういうことですか、サラ嬢」
 「こっこんなのデタラメです!むしろ私の方がっ!」
 「あっそのネックレスも以前私の部屋から持っていった物ですよね?この前のパーティーで隣国にいるお祖母様からお土産に頂いたものですわ。もし次回来られたときに私が着けていなかったらとても悲しむと思いますの……」
 キアラはに言うと、俯いて両手を握りしめた。

 (これで弱々しく見えるといいのだけれど……)

 ウィルは先ほどキアラに向けていた厳しい視線を、今度はサラに向けた。
 「君は私に嘘をついていたのか?」
 「いや……えっと……」
 動揺するサラを一瞥すると、キアラに向き直り頭を下げた。
 「すまなかった!確認もせずサラ嬢の意見だけで君を糾弾するなど……」
 「いえっ!私は大丈夫ですから……わかっていただければ大丈夫ですので」
 えへへと笑って見せればウィルは顔を赤くし、視界の隅ではサラが憎々しげにこちらを見ていた。

 「き…今日はこれで失礼する!」

 ウィルは顔を赤くしたまま慌てて去っていった。















─────────────


何かキャラ変わってしまったかなぁ……どうしよ(-_-;)



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